Windows Server 2016が目指すDevOpsインフラ
DevOpsの成否は“運用”次第、「インフラ技術者」に期待する役割とは(1/2 ページ)
開発中心に語られがちな「DevOps」だが、サイクルを回し続ける上で運用の役割は非常に重要だ。運用はアプリケーションの利用状況を集約し、改善のためのフィードバックを提供するDevOpsの“頭脳”のような存在なのだ。
Windows Server新版でDevOps向けインフラをつくる
開発寄りで語られがちな「DevOps」だが、開発・運用の循環を支えるのはインフラだ。DevOpsにおけるインフラエンジニアの役割とは何なのか、インフラはどうあるべきか。日本マイクロソフトが5月末に開催した技術者向けイベント「de:code 2016」で興味深いセッションがあった。その内容をレポートする。
de:code 2016で掲げられたトラックテーマの1つが「DevOps&OSS」であり、興味深いセッションが幾つもあった。その中でも「Azure/Windows Server 2016から学ぶWindows系インフラエンジニアのためのDevOps」は示唆に富んでいた。前半に日本マイクロソフトの小塚大介氏(ディベロッパー エバンジェリズム統括本部 オーディエンスエバンジェリズム マネージャー)がDevOpsでインフラ技術者が果たす役割について、後半では高添 修氏(同本部 エバンジェリスト)がWindows Server 2016の新機能に沿って、DevOpsに向けたインフラの在り方について語った。
2016年上半期「クラウド」記事ランキング(2016年1月1日~2016年6月20日)
1位 Appleの「iCloud」がGoogleクラウドを選んだ理由
2位 メールからチャットへ――「Slack」「LINE」が変える情報共有と開発手法
3位 やはり強いクラウド“ビッグスリー”、次のサービス停止はどこ?
改善フェーズに入れば運用が起点
小塚氏は最初に「DevOpsが開発(Dev)中心の話というのは誤解」と訴えた。DevOpsのセミナーでは往々にして、短期開発や迅速デプロイの手法が紹介され、Dev中心が目立つという。そもそもDevOpsは、開発・運用サイクルを通じてアプリケーションの質を高め続け、事業への貢献度を上げていくものだ。「開発とデプロイが大きなウェイトを占めるのはサイクル1周目だけで、2周目からは改善がメインだ。それは運用(Ops)からビジネス部門へのフィードバックが起点になる」と小塚氏は語る。
的を射たフィードバックをするには、ページビューや応答時間、ユーザー特性などを定量的に数値化した各種メトリスクのデータを収集する仕組みが要る。小塚氏は一例として、「Microsoft Azure」でSaaS提供される運用監視サービス「Application Insights」を紹介した。「ビジネスがより良い(改善)アイデアを出せるようデータを集める。また、そのアイデアがすぐ実現するよう開発とコミュニケーションを図ったり、時には実験用の環境を用意したりと、運用の役割は大きい」
「開発→運用→フィードバック→改善(開発)」というDevOpsサイクルが回り始めたら、次は徐々に回転を速めていく。それが極まると「10 deploy/day(1日当たり10デプロイ)」といった域になるわけだが、小塚氏は「サイクルを早めるには、開発面では小回りの利くアプリケーションアーキテクチャ、運用面ではフィードバックのセルフサービス化が欠かせない」とした。
小回りのきくアーキテクチャとは、例えば、標準的なAPIで疎結合する小規模サービス群でアプリケーションを構成する「マイクロサービス」のことだ。「更新はサービス単位なので影響範囲が狭く、テストを簡単に済ませられる」(小塚氏)。フィードバックのセルフサービス化とは、ビジネスが運用を介さず必要なときに必要な情報を自ら入手できるようすることだ。「専門ツールを使わなくとも、サーバのログデータをCSV形式で共有フォルダに吐き出し、それを表計算ソフトで自動集計する仕組みを構築することなど、インフラ技術者ならお手の物だろう」(同氏)。
インフラがDevOpsのリスクを吸収
DevOpsサイクルを速めるのは変化する市場ニーズにきめ細かく対応するためだ。とはいえ、何よりもシステムの安定性を求めるインフラ技術者は普通、保守的である。“n deploy/day”のような世界を受け入れられるのだろうか。小塚氏も「理想と現実にはギャップがある」と認める。頻繁にデプロイを繰り返してシステムは不安定にならないか、リソースは足りるか、セキュリティは大丈夫か……、インフラ技術者なら不安にならないはずがない。
ここで小塚氏に代わって登壇した高添氏がこう引き取った。「インフラ技術者がリスクを取りたくない気持ちは分かるが、現状、ノーリスク&ノーバリューのITになっていないか。やはり高いバリューを目指すべきで、その上でリスクはできる限り減らす。テクノロジーの選択によって、低リスク&高バリューのITは可能になる」
まさにDevOpsも高バリューのITを目指す取り組みの1つだが、インフラ次第でそのリスクはかなり吸収できる。そう考えるMicrosoftが今夏投入するサーバOS新版が「Windows Server 2016」である。特に3つの新機能「Windows Serverコンテナ」「Nano Server」「Service Fabric」は「DevOpsをかなり意識している」(高添氏)という。3つの機能は別個のものではなく、連動して効果を高めるのが特徴だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[日本オラクル株式会社] ピンチをチャンスに変えたEPR製品は? 先行企業の導入事例3選 -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] 無自覚なリスク 秘伝Excelファイルが監査の壁、不正・ミスの温床となる理由 -
製品資料
[日本オラクル株式会社] 戦略的経理の第一歩 失敗のない「脱Excel」を実現する秘訣とは? -
技術文書・技術解説
[日本オラクル株式会社] いまさら聞けないオンプレERPとクラウドERPの違い 最適な製品をどう見極める? -
事例
[株式会社ビザスク] 連結売上高が約2倍に成長、富士フイルムが実践した新規事業創出の戦略とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
3
「ノートPC派」は損をしている? Dellと考える“自作PC”のメリット
-
4
「有線LAN環境」に関するアンケート
-
5
LINEヤフーはなぜ「社内の管理者」すら信用しないインフラを作ったのか
-
6
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
7
「業務改善とツール活用」に関するアンケート
-
8
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
-
9
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
9
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー