仮想化技術でマルウェアの社内感染を防ぐ
さようならIE、「Microsoft Edge」が挑むWebブラウザセキュリティの極北
Microsoftは、「Microsoft Edge」に新しいセキュリティ機能を追加すると発表した。どのような場面でどのように威力を発揮する機能なのか紹介する。
企業のセキュリティにとって最大の脅威の1つに、社内ユーザーの存在がある。「Windows 10」で使えるWebブラウザ「Microsoft Edge」(Edge)に搭載予定の新しいセキュリティ機能は、社内ユーザーがもたらす脅威の軽減に役立ちそうだ。
「Windows Defender Application Guard」(WDAG)は、ユーザーが改ざんされたWebサイトにアクセスしたり、各種のコンテンツに含まれる悪意あるリンクをクリックしたりした場合に、企業をマルウェアから保護する役割を果たす。この機能はセキュリティソフトウェアベンダーBromiumの技術をベースとしており、仮想化技術を用いて、マルウェアがデバイスの他の領域や社内ネットワークに広がるのを阻止する。
「良いアイデアだ。社内では、年齢層の高い従業員を中心に、クリックすべきではないリンクをクリックするユーザーが後を絶たない」と、ある製造会社で主任アナリストを務めるジェレミー・マルコム氏は語る。
EdgeはWindows 10のデフォルトのWebブラウザだ。Microsoftの従来のブラウザ「Internet Explorer」(IE)と比べてシンプルな作りを特徴とする。Microsoftは2016年9月に開催した年次カンファレンス「Microsoft Ignite」でWDAGを発表した。WDAGは、2017年に「Windows 10 Enterprise」で動作するEdgeに組み込む方針を明らかにした。
WDAGの仕組み
ユーザーがEdgeを開くと、WDAGはマルウェアをハードウェアレベルで隔離するためのコンテナを作成する。ユーザーが改ざんされたWebサイトにアクセスすると、WDAGが作動する。WDAGはフィッシング攻撃に対する防御もする。例えば、ユーザーが受信メールに含まれる悪意あるリンクをクリックした場合、WDAGはそのWebサイトが開くや否や、クライアントPCに新たにセキュアなコンテナを作成する。セキュリティにサンドボックスを用いるWebブラウザはあるが、WDAGの仮想コンテナとは仕組みが異なる。
「WDAGは強力なウイルス対策ツールになるだろう。メールで送られてくるリンクに対する防御になる。うまく機能するのであれば、素晴らしい」と、ある小規模企業のITマネジャーは語る。
ただしWDAGには幾つか必要なシステム要件があり、Windows 10を搭載する古いクライアントPCでは利用できない可能性がある。さらにWDAGは、悪意あるWebサイトの問題を完全に解消するわけではない。他のブラウザを利用しているユーザーもいるからだ。
「Edgeユーザーは少数派だ。『Google Chrome』や『Firefox』、IEなどを使うユーザーが多い。他のWebブラウザにも対応すれば、素晴らしいのだが」と前出のITマネジャーは語る。
ただしBromiumはこうしたEdge以外のWebブラウザに加え、「Windows 7」や「Windows 8」を搭載したクライアントPC、WDAGに必要なシステム要件を満たさないWindows 10搭載クライアントPCを全てサポートしている。Bromiumの製品は、改ざんされたWebサイトだけでなく、潜在的に危険なドキュメントや添付ファイル、ダウンロードなどに対する防御機能も備える。
Edge独自のセキュリティ機能
WDAGのセールスポイントは、Windows 10 Enterpriseの一部としてEdgeに組み込まれる点にある。だが企業はBromiumのセキュリティ製品を別途購入する必要があるかもしれない。Microsoftによれば、WDAGはいずれEdge以外のブラウザでも利用できるようになるという。
「WDAGに匹敵する機能はない。これまでにない独自の機能だ。マルウェアはファイルシステムにもネットワークリソースにも一切アクセスできない」と調査会社Moor Insights & Strategyの社長パトリック・ムーアヘッド氏は語る。
政府機関や医療、金融など、厳しいセキュリティ基準を設けている業界は、WDAGに興味を抱くことになるだろう。
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