壁の向こうを透視できる世界が実現するかも
ARは「Pokemon GO」だけではない、驚きをもたらすAR活用事例とは(1/2 ページ)
スマートフォンゲーム「Pokemon GO」によって、拡張現実(AR)が世の中に広く認知されるようになった。ビジネスでは、AR技術をどのように活用されているのかを紹介する。
拡張現実(AR)は2016年夏、世界中の人たちを夢中にさせたスマートフォンゲーム「Pokemon GO」の流行によって皆の知ることになった。だがこの大人気ゲームは、氷山の一角にすぎない。AR技術は、小売りから製造まで、さまざまな業界を変革する大きな可能性を秘めている。
これまで仮想現実(VR)ほど知られてこなかったが、ARはコンピュータが作り出す仮想環境に没入するVRとは異なり、コンピュータが生成する画像をユーザーの現実世界の視界に重ね合わせ、情報を付加する技術だ。音やグラフィック、GPSデータ、動画、3Dモデルなど、コンピュータが生成するさまざまな知覚データが、デジタルな世界と現実の世界とを橋渡しする。企業にとってARの可能性は無限大だ。例えば、ARを活用して倉庫内の作業員や店舗の販売員に有用な情報を与えることで、生産性を向上できる。また顧客とのやりとりを効率化し、現場で常に最適な保守点検を実現できる。
まずはマーケティング分野から
専門家は、スマートフォンの普及やスマートセンサーの導入、3Dグラフィックス機能の向上によって、ARの時代がついに到来したとの見方を示す。投資銀行Digi-Capitalは、ARとVRを合わせた市場規模が2020年には1200億ドルに拡大し、そのうち900億ドルがAR関連ビジネスの売上高になると予想する。コンサルティング会社PricewaterhouseCoopersは報告書において、今後、従業員の間で、業務遂行に必要な情報(回路図やカタログ、説明書、図表など)をハンズフリーで入手したいとの要望が高まり、ARが急速に普及するとの見通しを示している。そうなれば、専門家が遠隔地から現場の技術者に指示を出し、問題を診断したり機器を修理したりといったことが可能となる。
企業による早期のAR活用事例は今のところ、消費者キャンペーンへの活用など、マーケティング分野に集中している。ARを活用し、従来と異なる方法で製品を展示するといった事例も豊富だ。Audiは、従来の取扱説明書の代わりとなるARアプリケーションを用意し、ドライバーがより直観的な方法で自分の車のさまざまな機能について知ることができるようにしている。Microsoftは、ヘッドセット「HoloLens」のデモンストレーションにおいて、Caterpillarのフォークリフトを例に、大型製品の営業にARを活用する方法を披露した。従来の製品カタログから実物大の3Dホログラムを作成し、現実世界に投影することによって、ショールームで現物を見てもらわなくても、見込み客に詳しい製品説明を提供できるというわけだ。
「営業担当者はパンフレットを持ち歩かなくても、訪問先で実物大の3Dホログラムを提示できるようになる。消費者向け製品や工業製品を販売する上で貴重なツールとなるだろう」。ハイエンドCAD大手Parametric Technology Corporationの傘下にあるAR企業で、ARプラットフォームを開発するVuforiaの社長兼ゼネラルマネジャー、ジェイ・ライト氏はそう語る。
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