特集:IoT時代のセキュリティリスクに備える

「クラウドでOK」と主張するIoTを信頼してはいけない理由「ネットワークが重くて」は言い訳にできない(1/2 ページ)

全ての機器をIoTによって制御する時代が来るという。素晴らしい未来が実現と思っているかもしれない。しかし、非常事態が起きたとき、それら全てが「机上の空論」となる可能性もあるという。

2017年01月07日 08時00分 公開
[Aaron AllsbrookTechTarget]
IoTの接続先にクラウドサーバを採用するのは新規参入にとってコストや導入リソースの節約になる。しかし、ユーザーの使い勝手を考えると最善の策とはいえない場面も多い

 生活や仕事の場がサイバー環境を認識し、その環境で起きる出来事に反応するようになる中で、産業IoT(モノのインターネット)は急速に現実のものとなりつつある。そうした多様で複雑性に富む「モノ」の分野には、温度などを測定するセンサーや、メッセージなどを送信できるCPU、Bluetoothなどのプロトコル経由で通信できるアンテナなどが含まれ、その全てが物理的なネットワークエッジに位置している。

 多くのベンダーは初歩的なアプローチを取り、単純にクラウド内の単一のサーバに全てを接続してIoTを構築している。このアプローチでは確かにソリューションを単純化できるが、つながる世界という究極の展望を実現できない。

 クラウドベースのみのIoTにおけるギャップには、以下のような実例がある。

  • 全土を結ぶ貨物輸送列車が常時接続されていなければ、即座に制動をかけなければならない場合はどうするのか
  • 溶接機はシールドが壊れれば即座に停止させる必要がある。クラウドサーバでデータが転送される30秒の間であっても動き続けてはならない

 以上のような事例で分かるように、安全警報はリアルタイムで出す必要があり、通信事情による15秒以上の遅れは許されない

 さらに以下のような事例もある。

  • 保険会社が追加的コストをクラウドベンダーに転嫁させることなく、日々ネットワークに流入する何テラバイトもの余剰データのための経費を負担する余裕はない
  • 短距離無線規格「ZigBee」と通信する現代的で効率性の高いLED電球は、クラウドサーバと通信できない

 IoTの真の課題を解決するためにはエッジベースのコンピューティングが必要だ。IoTエッジコンピューティングには、即座に成果が出るメリットがある。コンシューマー向けの「Amazon Greengrass」やエンタープライズ向けの「ClearBlade IoT EDGE」ではそうした成果の実現を目指している。

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