企業で今後モバイルファーストの戦略を考える場合、4つの事柄を認識して取り入れる必要がある。
後のモバイル時代の幕開けとなったAppleの「iPhone」登場から10年がたった。だが私たちは今も、モバイルファーストの構想を実現しようと苦慮している。
新しいコンシューマーアプリケーションは位置情報認識や音声操作といったモバイル独自の機能を活用しているが、エンタープライズアプリケーションはまだ道半ばだ。ほとんどの企業は1980年代に設計されたアプリケーションとエクスペリエンスの制約の中で業務をしている。
モバイルファースト戦略を取り入れる上での課題は、単なる技術の成熟度にとどまらない。モバイルファースト戦略は、新しいデータとデバイス機能を活用するために、ビジネスプロセスとワークフローの刷新が求められる。そのためには、モバイルに照準を絞る以上の対応が必要だ。
「モバイルファースト」という用語は、今となっては場違いに思える。結局のところ、今の時代にクライアントPCでしか使えない新しいアプリケーションやサービスを誰が構築するだろうか。企業がクラウドベースのサービスを構築したとしても、それはWebブラウザを使ってどんな端末でも実行できる。ではモノのインターネット(IoT)市場の急成長はどうだろう。アプリケーションはIoTファーストになるべきか。それは違う。
あと数年もすれば、私たちはモバイルのことを口にさえしなくなるだろう。私たちが構築するものは全て、モバイルとクライアントPCおよびネットに接続された多様なデバイスを横断して機能する設計になる。新しいITの世界は、この10年で発展してきたモバイルとクラウドコンピューティングのコンセプトを全て取り込み、その上で拡大する。2017年の次世代コンピューティングは、以下の4つの特性を備えたアプリケーションやサービス、ビジネスワークフローを提供するはずだ。
1つのデバイスでワークフローやトランザクションを開始し、それを別のデバイスにシームレスに移転できることが理想とされる。Appleは「Continuity」で、Microsoftは「Windows Continuum」で、それぞれこの種の移植性を提供している。
この場合のコンテキストは、キーボードや音声、スタイラス、タッチ、動作といった入力方式とデバイスの大きさを指す。アプリケーションがカメラやGPS、生体センサーといった機能が使えるかどうかを感知し、そうした機能に応じてユーザーが選択できる行動について個々に選択肢を提示する必要がある。コンテキスト認識アプリケーションは、位置情報に基づき、例えば特定のメモを呼び出したり、ユーザーが特定の建物の会議室に入ると「Microsoft PowerPoint」が起動したりするなど、異なる情報を表示させることもできる。
スマートフォンは、加速度計やジャイロスコープといったセンサーの新たな波をもたらした。ウェアラブルデバイスやIoTデバイスは、心拍数や湿度といったセンサーデータを収集することができる。次世代コンピューティングは、ネットに接続する幅広いデバイスとの密接な連係が求められる。ウェアラブルデバイスは、例えばセンサーからの情報を収集してユーザーが起こすとある瞬間の行動や感情に関するコンテキストの認識を強化し、そのコンテキストに反応するアプリケーション内オプションを提供できる。
モバイルは、ユーザーの行動理解に基づくパーソナライズ化されたサービスの概念をITにもたらした。2017年のエンドユーザーコンピューティングは、ビッグデータストレージや分析、機械学習を活用し、適切な情報を適切なタイミングでユーザーに提示するサービスを提供するだろう。
私たちが生きているモバイルファースト、クラウドファーストの世界は、多様な種類のデバイスと、ビジネスデータにアクセスする手段に依存する。このアプローチをまだ取り入れていない企業は取り残された状態だ。唯一の問いは、そうしたツールを活用するためにモバイルファースト戦略に変更するのかどうかだ。変更しなければ、IoTや拡張現実、仮想現実という次の変化の波が到来した時点で、一層の後れを取ることになる。
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