ビデオ会議システム紹介:ポリコム
HD映像でも利用帯域は半分に、音声にも優れる「Polycom HDXシリーズ」
企業のHD対応ビデオ会議システムの採用が進んでいる。映像が高品質化する半面、帯域の圧迫という問題が浮上してくる。業界に先駆けてH.264ハイプロファイルに対応し、利用帯域の削減を実現した製品を紹介する。
企業でも高品質のHD映像でビデオ会議を行う時代に
1990年の設立以来、ポリコムは映像・音声・データ会議システム分野のリーダーとして、世界市場をけん引してきたグローバルベンダーである。同社のビデオ会議システムは、現在までにワールドワイドで75万台を出荷しており、そのマーケットシェアも41%という圧倒的な数字を誇る。
ここでは、ユニファイドコミュニケーション(以下、UC)分野の需要にも応える、同社のビデオ会議システムのフラグシップ製品「Polycom HDXシリーズ」を中心に紹介する。同シリーズは2010年春から、映像・音声品質のさらなる向上と製品ラインアップの強化が図られることになった。具体的には、グループ用システム全製品のフルHD対応と、製品ラインアップの変更、従来オプションで提供されていた基本パッケージ機能の拡張などが行われている。
HDXシリーズは、パーソナルからグループ用途まで幅広く対応するラインアップをそろえている。グループ用途では低価格なエントリモデルの「HDX 6000」や、クオリティを追求したハイエンドモデルの「HDX 8000」「HDX 9000」などが用意されており、グループ用全モデルで高精細映像を実現する「フルHD 1080p」(30fps)と、鮮明で滑らかなモーションが可能な「HD 720p」(60fps)に対応している。いずれもオープン価格となっている。
HD対応のビデオ会議システムに注力する理由について、米POLYCOM アジア太平洋地区ソリューションプロダクトマーケティング担当のジュン・シャオ氏は「かつてHD対応のビデオ会議システムというと、ハイエンド製品のみに限られていた。しかし最近では機器のコストが下がってきたことで、HD製品が採用されるケースが多くなった。一度でもHD製品を導入すると、そのクオリティの高さのため、元に戻れなくなる」と説明する。
また、ポリコムジャパン マーケティング部シニアマネージャーの青木律子氏も「日本国内では、HDテレビの普及によってユーザーの目が慣れてきており、より優れた品質の映像で見たいという要望が大きくなりつつある。現在では、ノンHDよりHD製品の方が採用率が高くなっており、大学連携ネットワークでのビデオ配信といった教育分野のほか、一般企業のコミュニケーション用途でもHD製品が広がっていく」と予測している。
その場にいるかのような臨場感狙うビデオ会議の発展形「テレプレゼンス」
ビデオ会議システムとは厳密なカテゴリーは異なるが、本当の会議のような臨場感で疑似体験型会議室環境を提供できるソリューションとして「テレプレゼンス」という分野もある。ポリコムでは、これを「イマーシブ テレプレゼンス ソリューション」と呼んでおり、幾つかのユニークな製品をそろえている。その1つである「Polycom RealPresence Experience High Definition」(RPX HD)は、巨大なシネマビジョン型スクリーンからのHD映像や、超ワイドサラウンド音声などを採用し、あたかもその場に相手がいるかのような錯覚さえ起こすほどの一体感・臨場感をかもし出すことが可能だ。実物大の相手と目線を合わせた会話ができるため、コミュニケーションも自然に行える。
高品質ながら帯域の消費を抑えるポリコムの映像技術
このようにHD対応ビデオ会議システムの企業需要は高まりつつあるが、ポリコムのHDXシリーズには他社との差別化を図るための大きな特徴がある。その筆頭に挙げられるのは、高品質な映像を保証する優れた周辺技術と、低帯域による映像技術だろう。
例えば同社では、映像品質を向上する工夫の1つとして、すべてのビデオ会議システムにおいて「Lost Packet Recovery」というテクノロジーを採用している。これは、IPネットワーク上でパケットロスが発生しても、ボイス・ビデオのデータを修復して高品位のビデオ会議を維持できる特許技術だ。冗長パケットを送信してパケットロスの影響を最小限に抑えることで、5%以内のロスであれば、他社の標準製品より高い品質を保てるという。
さらに、ビデオ会議システムとして映像圧縮符号化方式「H.264 ハイプロファイル」を業界で唯一サポートしている点も見逃せない。高精細なHD製品が求められる一方で、帯域の問題も出てくるからだ。「特に国内では、大企業になるほどほかのアプリケーションとの兼ね合いで帯域を抑えて通信するケースが多い。必要とされる帯域幅を狭めつつ、高画質な通信ができるような技術が求められている」(青木氏)
これにより、高品質な映像・音声通信を従来の半分の帯域幅で実現することが可能になるという。例えばHD 720p(30fps)の映像を送る場合、業界標準のH.264 スタンダードプロファイルでは1024kbpsの帯域が必要だが、同社のH.264 ハイプロファイルであれば512kbpsで対応できる。今後、映像のHD化が進んでいく中で、利用帯域幅を削減するという相反した課題がクローズアップされることは間違いない。ネットワーク全体の負荷を抑える上で、本技術は大いに役に立つと考えられる。
| 解像度/フレームレート(fps) | H.264 スタンダードプロファイル | ポリコムのH.264 ハイプロファイル |
|---|---|---|
| CIF/30 | 128kbps | 64kbps |
| 4CIF/30 | 256kbps | 128kbps |
| 4CIF/60 | 1.024Mbps | 512kbps |
| 720p/30 | 1.024Mbps | 512kbps |
| 720p/60 | 1.512Mbps | 832kbps |
| 1080p/30 | 2.048Mbps | 1.024Mbps |
このほか映像関連のユニークな技術として、プレゼンテーションを効果的にする「People On Content」機能も挙げられる。これは、HDX 8000/9000シリーズなど一部のシリーズに装備されているもので、複数の映像をクロマキー技術で合成してビデオ会議に活用できる機能だ。
具体的には、グリーンスクリーンを背景にして映した人物映像を、プレゼンテーションの資料や写真、映像などの背景と合成し、ビデオ会議システムで送信することが可能になる。テレビの天気予報で、天気図を背景に気象予報士が説明をするシーンがあるが、ここにも同様の技術が用いられている。シャオ氏は「遠隔授業で資料を背景にして説明したり、プレゼンテーションの資料で強調したい部分をポイントすることもできる」と説明する。
ビデオ会議システム選定の決め手は「音声の品質」
ポリコム製品の特徴は、映像品質だけではない。ビデオ会議システムで意外と見過ごされがちなのが音質の問題だ。青木氏は「ビデオ会議というと、どうしても映像の品質や見栄えが重視される傾向にあるが、会議を行う上で大変重要なファクターは音声。われわれの製品が支持される理由として、他社に比べて音声が良いという評価が実は最も多い」と指摘する。いくら映像の品質が良くても、音声が悪ければ会議でコミュニケーションをする際に疲れてしまうのだ。
ポリコムでは、ささやき声から大迫力の音楽まで、高品質なステレオサラウンドの音声を実現する技術に力を注いでいる。もともと同社は優れた音声技術を持っており、テレビ会議の国際標準制定機関であるITU(国際電気通信連合)において、国際標準として採用された経緯もあるほどだ。音声の帯域は、一般の電話機の倍以上の周波数帯をカバーしており、人間の声に含まれる周波数のほぼすべてを再現する。小さな声も自然にピックアップでき、マイクに向かって大声で話す必要がないため、会議での疲労を大幅に軽減するという。
例えば、音声会話を160Hz~22kHzの広帯域ステレオ音声で実現する「Polycom Siren22 StereoSurround」では、複数の人が同時に話をした際に、遠隔地の話者の位置を音で識別できる。「右側の人の声は右側から、左側の人の声は左側から」というように、自然な形で臨場感あふれる音声の再生が可能だ。複数の人が話してもそれぞれの声がはっきり聞き取れ、エアコンやファンなどの外部ノイズ、エコーを自動除去する技術も含まれている。このほか、国際会議で話者と通訳の音声チャンネルを分け、相手側に送信する2チャンネル音声同時放送などもサポートしている。
他社製品とのUC連携も強化
今後の展開について、シャオ氏は「低コストで導入できる会議ソリューションや、投資対効果を迅速に得られる製品を提供する」と語る。昨今の経済状況を見ても、予算に対する圧力は企業規模によらず大きな課題といえる。同社では低価格のHDビデオ会議システムとして、前述したエントリモデルのHDX 6000やデスクトップ型のHDX 4000を用意している。このような低価格帯の販売を強化していく意向だという。
さらに操作性や管理面での課題もある。「電子メールを使うように、誰もが簡単にビデオ会議システムを利用できる。そんな操作性が求められる」(シャオ氏)。そのような使いやすさを実現するために、先ごろ「Polycom Touch Control」というタッチセンス型のコントローラーも発表している。ビデオ会議の開始やカスタマイズを手元で簡単に操作できるデバイスで、HDX全シリーズに対応している。直感的なGUIと分かりやすいアイコンを利用し、指でスライドさせながら操作することが可能だ。
このPolycom Touch Controlは、同社の戦略的パートナーとなる「Polycom Open Collaboration Networkパートナー」(アバイア、ブロードソフト、ヒューレット・パッカード、IBM、ジュニパーネットワークス、マイクロソフト、シーメンスの7社)が提供するユニファイドコミュニケーション(UC)の主要アプリケーションと連携し、ビデオ通話をシームレスに開始できる点も特徴だ。シャオ氏はこの取り組みにより、ビデオ会議を活用するUCの企業導入を一歩進めるという。その一例として挙げられるのが「Polycom Conference for Outlook」である。Polycom Touch Control上で、ユーザーが利用するMicrosoft Office Outlookの会議スケジュール情報を表示したりできる。今後は、他社のソリューションとのインテグレーションもより強化する考えだ。
Outlookからシームレスに会議に参加するUCツール
「Polycom Conferencing for Outlook」は、アプリケーションからのビデオコミュニケーションを容易に実現するため、Microsoft Exchange Server 2007と統合されている。ツールをOutlookにアドインすることで、簡単に会議の予約を行ったり参加できるようになる。実際に会議に参加するには、メール画面上の「会議に参加する」のリンクまたはボタンをクリックするだけでよい。また、自動生成されたリンクにアクセスすると、録画済みの会議の模様を後から確認することもできる。
企業の導入規模によっては、会議システムのプロビジョニングから、導入、管理までを一括して支援するツールも重要になってくるだろう。こうしたツールの目的は、多地点会議でのスケジューリング、監視、運用など、会議に参加するユーザー管理の簡易化である。ポリコムでは、具体的な管理用ツールとして「Polycom CMA 4000/5000」を用意している。CMAを利用すると、プレゼンス機能で相手の在席状況を確認し、クリックするだけでコミュニケーションを開始するといったUCが可能だ。同社はビデオ会議システムと同様、管理製品も併せてサポートを強化していく方針だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー