コストパフォーマンスに優れた手のひらサイズのHDビデオ会議「LifeSize Passport」ビデオ会議システム紹介:ライフサイズ・コミュニケーションズ

ビデオ会議システムの業界再編が急速に進んでいる。その中で、いち早くHD対応製品を投入したライフサイズは今後、コンシューマー市場に強いLogitechとの統合で、どのような路線を打ち出すのか。

2010年07月29日 08時00分 公開
[井上猛雄]

 今、ビデオ会議システム業界で再編の動きが加速している。前回の記事で紹介したタンバーグは、シスコシステムズの傘下に収まり、ネットワークソリューションと結び付いた展開を急ピッチで進めている。今回はタンバーグと同様、今後業界の「台風の目」になりそうなライフサイズ・コミュニケーションズ(以下、ライフサイズ)に焦点を当てる。

加速する業界再編の中で新たな門出を迎えるライフサイズ

 ライフサイズは、設立当初からHD製品に注力、2005年に業界初のHDビデオ会議システムを発売した専業メーカーとして知られる。いわばHD市場を開拓してきたパイオニア的な存在である。これまでも積極的な価格攻勢を仕掛け、競合するポリコムやタンバーグなどとグローバルで激しいシェア争いを繰り広げてきた。実は同社も2009年12月、マウスやキーボードなどの製品で知られるスイスの周辺機器メーカー大手、Logitech International(日本ではロジクールとして展開)に買収されている。現在、Logitech内でライフサイズとして部門が独立・分離して運営され、新しい製品展開を進めている段階だ。

 従来Logitechは、WebカメラなどPCカンファレンス向けの製品を提供してきたが、ライフサイズでは専用機を中心に展開。従って、製品カテゴリー上重複する部分が少ないため、両社製品の統合により守備範囲は広がる。将来的には両社の優れた技術を融合し、シナジー効果を発揮した新製品を提供する機会があるかもしれないという。

画像 「豊富な販路を利用できることがLogitechとの統合のメリットの1つ」と語る小幡氏

 しかし現時点では、「ライフサイズがLogitechの傘下に収まることで、われわれの戦略がコンシューマー寄りにシフトするわけではなく、これまでと何ら変わらない。今回の買収では、Logitechがエンタープライズ向けの専用ビデオ会議システムソリューションを獲得する一方で、ライフサイズにとっても、安定した資本供給が得られるメリットがある」と、Logitech日本法人に当たるロジクール ライフサイズ事業部 カントリーセールスマネージャーの小幡 修氏は説明する。さらに個々の部品面でも、Logitechの工場から共通するものを調達することで、直接的なコストを下げられるメリットがあるのだという。

 以下、ライフサイズの最新製品を中心に紹介していく。

手のひらサイズでテレプレゼンスを実現するPassport

 2009年秋に発売された「LifeSize Passport」(以下、Passport)は、これまで高価な印象が強かったHDビデオ会議システムの低廉化を進める製品として注目を集めている。

 Passport最大の特徴は「サイズ、重量、価格を、従来比で3分の1程度にしたこと」(小幡氏)だという。これまでHDビデオ会議システムを導入したくてもコスト面で二の足を踏んでいた、中堅・中小企業ユーザーにも手が届く価格帯を実現している。例えば、組み込み型マイクロホンを備えた固定焦点カメラモデルは39万8000円、パン、チルト、ズーム機能付きカメラと小型マイクを備えたPTZカメラモデルでも49万8000円という価格で手に入る。

画像 サイズ、重量、価格を従来に比べて3分の1程度に抑え、導入しやすくしたPassport
画像 パン、チルト、ズーム機能付きカメラと小型マイクを備えたPTZカメラモデル
LifeSize Passportの基本スペック
機種 LifeSize Passport with Focus LifeSize Passport with PTZ
液晶ディスプレー HDMI入力サポートする全ハイビジョンディスプレーに対応(1台)
HDカメラ マイク付き固定焦点カメラ パン・チルト・ズーム機能付きカメラ
画像符号化方式 H.263、H.263+、H.264、H.239(受信)
最大有効画素数 720p30(1280×720ピクセル/30fps)など
音声符号化方式 G.711、G.722、G.722.1(Polycom Siren 14)、G.729、MPEG-4 AAC-LC
音声機能 HD音声、内蔵リンガー、エコーキャンセラー、オートノイズリダクション、オートゲインコントロール、Skypeからの音声通話受信
多地点会議 内蔵MCUは未装備
データ共有 デュアルストリーム機能(H.239、H.323)、解像度最適化技術
ネットワーク H.323、SIP対応、Skype(音声)、順応モーション制御(AMC)、自動通話帯域幅検出、NAT/Firewall Traversal
本体サイズ、重量 W206×D121×H33mm、重量450グラム(ケーブルと電源アダプター込みで約1.2キロ)
価格(税別) 39万8000円 49万8000円

 さらに外形は、幅200×奥行き120×高さ30ミリと小さく、重量も450グラム(ケーブルと電源アダプター込みでは約1.2キロ)と軽量だ。名前の通り手のひらに載るパスポートサイズで、一見すると家庭用ルータのようだ。これほどコンパクトであれば、本体をカバンに入れて持ち運んで、出先でモニターと接続して使うこともできるだろう。「実際に出張先で、ホテルの部屋が会議室にもなる」と小幡氏。まさにどこでもテレプレゼンスが行える、「モバイルHDビデオ会議システム」とも呼べる新機軸の製品だ。

ITmedia マーケティング新着記事

news058.jpg

次世代生成AIで優位に立つのはMeta? Google? それともマスク氏のあの会社?
生成AI時代において、データは新たな金と言える。より人間らしい反応ができるようになる...

news183.jpg

GoogleからTikTokへ 「検索」の主役が交代する日(無料eBook)
若年層はGoogle検索ではなくTikTokやInstagramを使って商品を探す傾向が強まっているとい...

news160.jpg

B2B企業の市場開拓で検討すべきプロセスを定義 デジタルマーケティング研究機構がモデル公開
日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構は、B2B企業が新製品やサービ...