ビデオ会議システムのグローバル市場シェアの一角を占めてきたタンバーグ。シスコシステムズの傘下に入り、縮小するどころかテレプレゼンスの領域をさらに押し広げた。主力となる2つのHD対応製品を紹介する。
ノルウェーのオスロに拠点を置くタンバーグは、テレプレゼンスや高精細HDビデオ会議、モバイルビデオ会議などのシステムを提供するグローバル企業として知られる。全世界のビデオ会議システム市場における同社のシェアは41%を占めているが、この2010年4月に同社は米国シスコシステムズ(以下、シスコ)の傘下に収まり、シスコの新しいテレプレゼンス・テクノロジー・グループの一翼を担う大きな存在になった。
シスコは、従来サポートしてきたハイエンドのテレプレゼンス製品と、ビデオ会議システムなどの映像端末を融合し、より大きなくくりで新たに「テレプレゼンス」という分類を再定義している。つまり、空間を共有しながらコミュニケーションを実現する手段として、ユーザーに訴求しているのだ。従って、一般的に用いられている狭義の意味でのテレプレゼンスとは若干ニュアンスが異なる点は注意していただきたい。
シスコのテレプレゼンスのポートフォリオは、「エンドポイント」「インフラストラクチャ」「クラウドサービス」に大きく分類される。このうち、本連載のテーマとなるビデオ会議システムはエンドポイントに属し、さらにこれらを「イマーシブ」「多目的用」「個人」「ソリューション」の4つのカテゴリーに分けている。シスコ テクニカルデベロップメント プロダクトマネージャの佐藤慎治氏はこう説明する。
「今回、新たにタンバーグ製品が加わったことで、あたかも相手の部屋にいるような臨場感を作り出す“イマーシブ”や、あらゆる空間や環境に合う柔軟な構成が可能な“多目的用”、移動・在宅勤務・エグゼクティブなどの幅広い用途に利用できる“個人用”と、ラインアップが広がった。さらに、われわれが取り扱ってこなかった“ソリューション”というカテゴリーもできた。ソリューションとは、コーデック機器単体で提供し、ユーザーごとに最適なカスタマイズをしたり、教育・医療・軍事といった新しい業界向けのアプリケーションとして使えるもの。ラインアップ拡充の鍵になる」
現時点におけるシスコの戦略は、「タンバーグ製品の統合により製品の選択肢を拡充し、ユーザーの要望に幅広く応えること」だという。従来のシスコ製品とタンバーグ製品は相互補完性も保証されており、両者製品が混在した環境で使用できる点も大きな強みといえる。
ここからはタンバーグの2つのHDビデオ会議システムにフォーカスし、その機能や特徴について紹介していく。これらは、前述のポートフォリオではそれぞれ多目的用と個人用にカテゴライズされ、いずれも高品位な映像と音声によるコミュニケーションを実現する同社の代表的な製品となっている。
これまでの製品紹介記事でも触れてきたように、ここ数年のビデオ会議システム市場では、SDよりもHDに対するニーズが高まりつつある。この傾向はタンバーグブランドについても同様で、現時点で既に6割から7割がHD製品で占められているという。このような市場動向の中で、同社は多目的用途として「TANDBERG Profileシリーズ」(以下、Profileシリーズ)を投入している。
Profileシリーズは、ワイド液晶ディスプレー、HDカメラと1080pフルHDをサポートするコラボレーションエンジンを一体化した会議用のHD端末システムだ。すべてのコード類が本体に収納され、機能性を重視しながらもシンプルで洗練された北欧式デザインの外観が目を引く。これら一体化されたシステムでは、1つの保証で全体のパーツ類をカバーするため、もしHDカメラなどの個々のパーツが壊れたとしてもパッケージとして保証してくれるメリットがある。
機種 | Profile 42” | Profile 52” | Profile 65” |
---|---|---|---|
液晶ディスプレー | 42インチHD | 52インチHD | 65インチHD |
画像符号化方式 | H.261、H.263、H.263+、H.264 | ||
最大有効画素数 | WUXGA(1920×1200ピクセル)、1080p60(1920×1080ピクセル)など | ||
最大フレーム数 | 60fps(720p) | ||
音声符号化方式 | MPEG-4 AAC-LD ステレオ(64kbpsおよび128kbps)、AAC-LD ステレオなど | ||
高音質機能 | アコースティックエコーキャンセラ、オートゲインコントロール、オートノイズリダクション、アクティブリップシンクなど | ||
多地点会議 | 最大4地点 | ||
データ共有 | デュアルストリーム機能(H.239、H.323)、解像度最適化技術 | ||
ネットワーク | SIP対応、暗号化、ファイアウォール越え、QoS機能、IP帯域幅コントロールなど | ||
価格(税込み) | オープン価格 | ||
次世代生成AIで優位に立つのはMeta? Google? それともマスク氏のあの会社?
生成AI時代において、データは新たな金と言える。より人間らしい反応ができるようになる...
GoogleからTikTokへ 「検索」の主役が交代する日(無料eBook)
若年層はGoogle検索ではなくTikTokやInstagramを使って商品を探す傾向が強まっているとい...
B2B企業の市場開拓で検討すべきプロセスを定義 デジタルマーケティング研究機構がモデル公開
日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構は、B2B企業が新製品やサービ...