2011年08月04日 09時00分 公開
特集/連載

編集者が一押し! もっと読まれてもいいホワイトペーパーホワイトペーパーレビュー

ERPの製品情報だけではなく、製品選択や技術トレンド、導入手法についての情報が含まれるホワイトペーパー。数多くあるERP関連のホワイトペーパーの中から編集者が選ぶ一押しのホワイトペーパーを紹介する。

[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパン「ERP&IFRS」に掲載されたホワイトペーパーの2011年上半期(1月1日〜6月30日)のダウンロード数ランキングを下記にまとめた。人事関係のソリューションに関するホワイトペーパーやIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)、ERPのグローバル展開に関したホワイトペーパーが多く読まれたようだ。だが、サイトを運営する編集としては読んでほしいホワイトペーパーが他にもたくさんある。今回は、ランキングからはこぼれてしまったが「もっと読まれてもいい」ホワイトペーパーを紹介しよう。

順位 タイトル
1位 優良企業が行っている人材戦略“3つの習慣”
2位 具体的なポイントを解説「販売管理に求められるIFRS対策」
3位 人事の悩みを解決! 次世代リーダー選抜、育成の勘所
4位 コスト&リスクを低減しERPのグローバル導入を成功させた理由とは
5位 海外工場の見える化に! 製造業向けパッケージ

システムの基本要件としてのグローバル対応

グローバルシステム構築の推奨アプローチ

画像 提供:日本オラクル、ページ数:21

 調査会社のアイ・ティ・アールが執筆するホワイトペーパーで、情報システムをグローバル対応する場合の基本方針やフレームワーク、導入手法について解説している。これまで情報システムをグローバル展開する必要があるのは大手企業の一部に限られてきたが、企業の海外依存度が上がり、中堅・中小企業でも海外に拠点を設けるのは一般的になりつつある。情報システムのグローバル展開をどう考えるべきか。そのガイドとなるのがこのホワイトペーパーだ。

 システムをグローバル展開する場合、システムを分散させるか、集中させるか、パッケージか、手組みかなどさまざまな観点を検討する必要がある。しかし、重要になるのは「どのような目標に向けてシステムを導入するかのビジョンを明確にし、グローバル・インプリメンテーションの外部要件に落とし込んでいくのかということ」とホワイトペーパーは説明する。つまりどのビジネス領域を成長させるか、そのためにはどのような人員やシステムのリソースが必要かというビジネス上の目標があって初めてシステム展開のフレームワークも定義できるのだ。

 グローバル展開するERPでトレンドになっているのが全世界のデータを1つのデータベースに統合し、全世界のユーザーが1つのアプリケーションを利用する「グローバルシングルインスタンス」。ホワイトペーパーはグローバルシングルインスタンス構築の考え方についても紹介している。

ERPを導入した3社の事例を紹介

10人という従業員数でもERPを導入決定。小回りのよさを生かした企業の成長戦略

画像 提供:SAPジャパン、ページ数:28

 ERPを導入した中堅・中小企業の事例を紹介したホワイトペーパー。グローバル展開と同様に、中堅・中小企業のERP導入も近年のトレンドだ。これまでは独自の業務アプリケーションを使っていた中堅・中小企業が業務の効率化や標準化、拡張性からERPに注目している。

 ホワイトペーパーで紹介されているボールフィルタージャパンは、船舶産業用機器の輸入販売を手掛ける専門商社。業務提携をきっかけに業務の拡大が見込まれていたことから、これまでのMicrosoft Excelベースの経理処理をERPに移行することを決めた。また、親会社に月次でリポートを提出する必要があり、その業務プロセスのスピードアップも狙った。海外に親会社があるため、多言語・他通貨の対応が必要で、そのためにもグローバルで利用できるERPを選んだ。

 ERPを導入することで、このリポートの作成期間は従来の2週間を5営業日に短縮できたという。ERPの標準機能ではカバーできなった業務要件については3つのアドオンを開発することでカバー。それでも導入期間は2カ月で済んだ。ホワイトペーパーではその他に電子部品・電子材料の製造・販売を行う山十産業、工場資材の調達・供給や原料調達などさまざまな事業を行う黒崎産業の事例を紹介している。

 中堅・中小企業のERP導入で課題になるのはコスト問題だ。特にカスタマイズなどによる開発コストの増大が問題になる。これを避けるためには要件定義をしっかり行うとともに、パッケージの標準機能をできる限り使い、カスタマイズを避けることが有効だ。さらにハードウェアや運用管理のコスト低減の可能性があるクラウドコンピューティングを組み合わせれば、ERP導入のハードルはさらに低くなる。

不透明感が増す中で企業のIFRS適用は

日本企業を取り巻くIFRSの現況とその対応

画像 提供:マイクロソフト、ページ数:3

 ここ最近のERP市場で最大のトピックスだったIFRSが揺れている。金融担当大臣 自見庄三郎氏が2011年6月21日に「2015年3月期のIFRS強制適用は考えていない」と発言し、IFRS適用の議論が振り出しに戻ったからだ。金融庁では企業会計審議会で今後のIFRS適用についての議論が始まった。2012年にも結論を出す予定だが、その結論の内容を今の時点で見通すのは不可能だ。

 既にIFRSの適用を見越して適用プロジェクトを行ってきた企業の多くは、大臣発言に関係なくプロジェクトを進めているようだ。自社のビジネス戦略やERPのライフサイクルなどさまざまな要素を検討して決めたプロジェクトだけに、大臣発言でプロジェクトを止めてしまうのは逆にリスクを招きかねないと判断しているようだ。

 一方でプロジェクトをこれから始めようとしていた企業は大臣発言で一息つくことになる。大臣は仮に強制適用を決めた場合でも5〜7年の準備期間を置くとしている。2012年に強制適用が決まったとしても実施されるのは2017年以降になる計算だ。また強制適用されるにしても企業の規模などに応じて段階適用される可能性がある。中堅・中小の上場企業にとっては動きづらい時期といえよう。

 かといってIFRSを無視するのはリスクが高い。将来的に日本がIFRSを受け入れる可能性があるし、日本基準は改正によって次第にIFRSに近づいている。今後、ERPをリプレースしたり、改修するのであればIFRS対応の機能を盛り込んでおくのは当然の対応だろう。ここで紹介するホワイトペーパーは、講演を基にIFRSの基本を説明する内容だ。IFRSの特徴である「原則主義」を説明し、求められる企業の対応を取り上げている。

 またIFRS対応で必要となるERPの要件も紹介し、その中で「IFRSと日本基準の2帳簿対応」を解説している。企業はIFRSを適用しても子会社対応や税法への対応などで日本基準向けのERP機能を残す必要がある。そのためERPを、IFRSと日本基準の両方に対応させる必要があるのだ。

 ホワイトペーパーの中でPwCアドバイザリーのマネージングディレクター 村田達紀氏は「IFRSへの対応を単なる制度対応に限定せず、併せて、会計基盤の刷新や標準化に乗り出す企業が増えている」と指摘している。ERPをはじめとして社内の業務システムの構成やプロセスが現状で最適という企業は少ないだろう。将来のIFRS対応も見越して、これを機に情報システムの最適化を図るという考えは納得できる。

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