アプリの“自滅”でOS保護、進化する「サンドボックス」エンドポイントセキュリティに新たな兵器

システムから隔離された領域でアプリを動作させる「サンドボックス」技術。ハードレベルの仮想化技術を活用する新技術も登場した。最新の技術、製品動向を示す。

2012年11月01日 08時00分 公開
[James Furbush,TechTarget]

 デスクトップのセキュリティ対策として、アプリケーションをサンドボックス化するアプローチが加速している。だが、この方法はまだ万能とは言いにくいと、専門家はくぎを刺す。

 サンドボックス化の技術は、米新興企業のBromiumがリリースした「Bromium vSentry」によって、あらためて脚光を浴びた。vSentryは、従来型のソフトウェアをベースとするアプローチではなく、ハードウェアベースのサンドボックスを採用した。IT部門はこの製品で、セキュリティ破りを防ぐ手段を手にすることになるかもしれない。だが中には、このコンセプトに完全には納得していないIT専門家もいる。こうした専門家は、JavaやGoogle Chromeが採用する、より一般的なソフトウェアベースのアプローチにも弱点があると指摘する(参考:Java狙いの攻撃が活発化、米Oracleはどう対処している?)。

 エンタープライズ向けのソフトウェアセキュリティコンサルティングを手掛ける、米Cigitalのギャリー・マグロウ氏は言う。「IT部門が振りかざせるような魔法のつえや、セキュリティ問題を解決してくれる魔法の呪文は存在しない。サンドボックスは、セキュリティ対策に加わった新たな兵器であり、IT部門はできる限りの兵器を配備するだけだ」

次世代のデスクトップセキュリティソフト

 従来型のマルウェア対策ソフトは、感染したマシンから既知のマルウェアを検出する。ネットワークファイアウォールは、不正なパケットに対して守りを固める。ただし、両ツールとも攻撃の検出をベースとしている。残念ながら、現代の攻撃経路は検出不可能なことも多く、結果として多くの企業が脆弱な状態になっている。

 IT部門は、ソフトウェアのパッチ適用に気を配り、アプリケーションスタックからネットワークインフラまでセキュリティ対策を階層化し、アプリケーションが「攻撃されたときに機能停止したりしないよう」、ベンダーと連携する必要があるとマグロウ氏は話す。

 BromiumのvSentryは、「Bromium Microvisor」と呼ばれる同社独自の技術を使い、生成されたタスクを仮想コンテナに隔離する。Microvisorは、ユーザーがURLをクリックしたり、メールの添付ファイルを開いたり、外付けUSBメモリのファイルへアクセスしたりすると、即座に起動する。

 マルウェア配布サイトに誘導するURLをユーザーがクリックしたとしても、そのマルウェアのコードは、コンテナ外にあるOSの他の部分には一切アクセスできない。

ハードウェア仮想化技術でマルウェアの行動を食い止める

 タスクの実行に不要なシステムリソースは、「最少権限」の原則に従って隔離される。マルウェアがOSの他の部分へアクセスしようとすると、Intel製ハードウェアが搭載する仮想化技術が働き、そのタスクを直ちに食い止める。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品レビュー サイオステクノロジー株式会社

マンガで分かる:クラウドシステムの障害対策でユーザーが考慮すべきポイント

ダウンタイムが許されない基幹系システムやデータベースをクラウドに展開している場合、システムの障害対策をベンダー任せにすることは危険だ。本資料では、その理由を解説するとともに、クラウドの障害対策を実施する方法を紹介する。

製品資料 Absolute Software株式会社

サイバーレジリエンスがなぜ今重要? 調査で知るエンドポイントの3大リスク

エンドポイントがサイバー攻撃の対象となるケースも増えている今、企業にはどのような対策が必要なのか。2024年に実施された調査の結果を基に、3つの重大なリスク要因と、その解決策としてサイバーレジリエンスが重要な理由を解説する。

製品資料 東京エレクトロン デバイス株式会社

クラウドセキュリティを強化する注目手法、WAAPとCNAPPを組み合わせるメリット

マルチクラウド化が進み、アプリケーションとインフラを効率的に保護する手法が求められる昨今。そこで注目したいのが、WAAP(Web Application and API Protection)とCNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)の活用だ。

製品資料 LRM株式会社

標的型攻撃が増加傾向、“攻撃を受けても情報が漏れない”仕組みづくりが重要に

標的型攻撃は主にメールで行われ、企業側が気を付けていても防ぎきれないケースがある。そのため、対策には検知・防御だけでなく、“攻撃を受けても情報が漏れない”仕組み作りが重要であり、各従業員のITリテラシー向上が不可欠だ。

製品資料 LRM株式会社

従業員のセキュリティ教育「ToDoリスト」、実施に当たり注意すべきことは?

巧妙化を続けるサイバー攻撃から企業の資産を保護するには、従業員のセキュリティリテラシーを高める教育が不可欠だ。教育を実施するに当たって重要となるポイントを「ToDo」リストとしてまとめた。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。