【連載コラム】医療ITの現場から
診療科別IT化のポイント(2)――耳鼻咽喉科、眼科、心療内科、産婦人科 編
診療スタイルが診療科ごとに異なるように、IT化のスタイルも診療科によって違ってくる。例えば、内科における電子カルテ導入では「検査機器との連携」や「機能の豊富さ」などが最適なIT化を実現する。
「診療科別IT化のポイント(1)――内科、小児科、整形外科、皮膚科 編」に続き、診療科ごとに最適なIT化を実現するポイントを紹介します。
耳鼻咽喉科診療所の場合
耳鼻咽喉科診療所は、皮膚科同様に「処置」が多い診療科です。そのため、電子カルテの選定には、処置をしながらでも簡単に入力できる「操作性」が重要となります。ペンタブレット入力の採用や医療クラークが代行入力する運用などが多い科です。また、X線装置やオージオグラム、内視鏡、スコープなどの医療機器があるため、それらの機器と医用画像管理システム(PACS)との連携性も考慮した方がよいでしょう。さらに、1日当たりの患者数が多いことから、診療予約システムを導入することも重要なポイントです。
眼科診療所の場合
眼科診療所のIT化のポイントは、眼科特有の診療スタイルに対応するIT化が鍵となります。内科では「診察後」に「検査」を行うという流れが一般的ですが、眼科の場合は視力や眼圧、レフケラといった目の基本検査を実施した後、医師の診察が行われます。そのため、検査で用いられる眼底カメラや視野計、眼圧計、レフケラなどとの連携が重要となります。それらの検査機器のデータの管理を「自動取得ソフトを利用して電子カルテで行う」「外部システムを導入する」「紙で行う」などの運用方法を選択することもあります。
また、眼科はシェーマを多く書く科でもあります。他の科と比べるとグラデーションを付けたり、色を変えたりと、さまざまな機能が必要となります。最近の電子カルテには、ペンの圧力(筆圧)によってグラデーションが変わる機能も出てきました。
眼科診療所におけるIT化に当たって注意すべきなのは、システム投資の総額が高額になりがちな点です。眼科では連動する医療機器が多く、また医療スタッフが多いため操作端末が多くなります。そこで、価格を低く抑えるためにスキャナーを活用して連動機器を減らすなどの運用で工夫するケースもあります。
心療内科診療所の場合
心療内科は脳波を測定する場合を除くと、医療機器をあまり用いない診療科です。IT化では電子カルテが中心となりますが、普及が遅れている診療科の1つです。その理由としては「患者の表情を見ながら、その精神状態と深く向き合う診察を重視することから、電子カルテを用いた診療を避ける傾向にある」ことが考えられます。そのため、IT化のポイントとしては「いかに患者の顔や目を見て診察ができる環境を作り出すか」が重要となります。
また、心療内科では患者の悩みや苦しみなど、患者の主訴が診療のベースとなるため、臨床心理学士によるカウンセリングや医師の初診などでは多くの文章を入力することになります。そのため、主訴や所見欄の入力がしやすい電子カルテの機能を利用した方がよいでしょう。手書き入力が可能な電子カルテを選択するケースも多くあります。
さらに、同意書や診断書の他にも、家系図など心療内科特有の文書を多く作成することも特徴の1つです。その業務の効率化に役立つ点も電子カルテ選定のポイントとなります。最近の傾向では、初診やカウンセリングの場合だけ紙のデータをスキャナーで取り込み、それをカルテ情報とひも付けるなど、紙文書との併用を行っているクリニックもあります。
産婦人科診療所の場合
産婦人科診療所では、「産科」と「婦人科」で分けて考える必要があります。分娩を行うか、入院施設を必要とするかがIT化のポイントとなります。
産科がメインとなる場合、周産期管理システムや看護支援システムとの連携が必要になりますが、多くの診療所向け電子カルテではそれらシステムとの連携機能を搭載していないからです。そのため、入院支援機能や外部との連携、周産期の管理など、診療科特有の機能が求められる点も特徴といえます。婦人科ではマンモグラフィやエコーなど「がん検診における画像管理」が重要視されます。また、処置が多いため「操作が簡単である」ことも大切でしょう。
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