診療科別に最適なIT化を実現する5つのポイント【連載コラム】医療ITの現場から

診療科によって診療スタイルが異なるように、その科目に適したIT化が望ましい。では、具体的にどう進めていけばいいのか? 電子カルテの選定を例に診療科の特性に応じたIT化のポイントを考えてみよう。

2012年06月07日 09時00分 公開
[大西大輔,メディキャスト]

診療科ごとに異なるIT化の重要ポイント

 電子カルテは診療所の約半分を占める内科への対応をベースに開発が進められてきました。そのため、内科の診療スタイルと異なる他の診療科では、導入が遅れる傾向があります。例えば、複数の診療科目がある総合病院では全体的に電子カルテの導入・運用が進められているのに、眼科だけが紙のままカルテを運用しているというケースもあります。

 電子カルテの誕生から約15年が経過し、眼科や産婦人科などの診療科に特化した電子カルテが発売されたり、各種の医療機器やPACS(医用画像管理システム)、予約システム、透析管理システム、リハビリ管理システムなどとの連携も進められ、診療所のIT化の動きが活発になっています。本稿では、診療科に応じたより最適なIT化を実現するために重要な電子カルテ選定の5つのポイントを紹介します。

1. 医療機器との連動を重視するか?

 診療科によって使用する医療機器はさまざまです。診療所のIT化は電子カルテが中心ですが、各種の医療機器からアウトプットされる情報をどのように管理し、電子カルテと連携していくかという点も重要になります。医療機器との連動性はIT化のスタイルを決定する要因の1つであり、IT化全体の投資コストにも大きく影響します。

 例えば、内科ではCRや内視鏡、エコーなど多くの医療機器を使用するため、外部システムとの親和性がより重要となります。また、眼底カメラや眼圧計、視野計など特有の検査機器を使用する眼科、MRIの導入が進んでいる整形外科なども医療機器との連携を重視する必要があるでしょう。

2. 1日当たり患者数は多いか、少ないか?

 1日当たりの患者数が比較的多い耳鼻咽喉科や小児科では、電子カルテの操作性がその選定の最重要ポイントといえます。処置の合間にカルテをより迅速に入力するためには、ペンタブレットモニターによる手書き入力や医療クラークの活用などを考える必要があります。また、患者数が多いこれらの診療科では、予約管理システムとの連携性も選定要素として考慮した方がよいでしょう。

3. 診療内容(カルテの記載)は複雑か?

 カルテへの記載内容は、診療科によって大きく異なります。患者とのコミュニケーション(問診)がベースとなる診療科と、検査結果の記載が多い診療科では主訴・所見欄の記載スタイルは異なります。そのため、文章量や提出書類が多い心療内科ではテキスト入力やデータ転用などがスムーズに実施可能であることが重要です。また、心療内科では家系図、小児科では力価処方や体重計算機能、成長曲線など、診療科特有の機能を備えた電子カルテを選ぶこともポイントです。

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