企業のWindows管理者は米Microsoftの「Surface RT」をほとんど利用してこなかったが、間もなく登場する「Surface Pro」はタブレットを導入する企業において「Apple iPad」の有力な対抗馬になるかもしれない。
米Microsoftは、同社製タブレットのプロフェッショナル版「Surface with Windows 8 Pro」(以下、Surface Pro)を2013年1月にも発売すると発表した。現行の「Surface with Windows RT」(以下、Surface RT)はARMプロセッサ搭載でWindows RTを実行するが、Surface ProはCPUにIntel Core i5を搭載し、Windows 8を実行する。
このことは、新しいSurface ProではWindowsのレガシーアプリケーションを実行可能であることを意味する。これがSurface RTと大きく異なる点だ。ユーザーやアナリストによると、グループポリシー管理やActive Directoryドメイン対応といったWindows 8の機能と共に、Surface ProはエンタープライズIT環境により適した製品になっているという。
「Surface ProはWindows 8だ。Surface RTの問題はWindowsでないことだ」と語るのは、米調査会社J. Gold Associatesのジャック・ゴールド社長である。
富士通製のWindowsタブレットを数百台導入している米医療センター、Dartmouth-Hitchcock Medical CenterのようにWindowsがメインの現場には、WindowsアプリケーションをサポートしたSurface Proは強くアピールするだろう。同センターのITスタッフは、Surface RTデバイスの導入は検討しなかった。「タブレットで利用したいアプリケーションの多くが、従来のWindows PC向けに作られていたからだ」と、上級システムエンジニアのロブ・マクシンスキー氏は語る。
Microsoftは、Surface RTタブレットを2012年10月25日(米国時間)に発表した。Windows 8をリリースした、まさにその日である。Microsoftは米AppleのiPadのような人気タブレットに対抗するため、ARMプロセッサをベースにSurface RTを設計。より高速で、メモリ消費量が少なく、バッテリー寿命も長くできるからだ。
しかし、当初からITプロたちは、従来のデスクトップPCやノートPCと同じように、自分たちの権限で管理できるタブレットを求めていた。
それにしても、Surface Proの高価格な設定は一部の人々を驚かせている。同製品には、発売時には少なくとも2つのモデルが用意される。ストレージ容量が64Gバイトのモデルは899ドル、128Gバイトでは999ドルの予定だ。カバー兼用のキーボードは別売り。従来型キーボードの「Type Cover」は130ドルとなっている(タッチ式キーボードの「Touch Cover」は120ドル)。
「Surface Proの購入価格は高いと思われるかもしれない。だが、タブレットの支出全体から見れば、それはほんの一部だ」とゴールド氏は語る。「ITはお金が掛かる。(デバイスの)購入コストは、その一部にすぎない」と同氏。
他社製品と比較すると、「Dell Latitude 10」はキーボードなしで927ドル、「HP ElitePad 900」は同様の構成で1010ドルである。
マクシンスキー氏の医療センターでは、一部の医師が持ち込むIT部門に管理されない私物のiPadは別にして、一括導入したタブレットの価格帯は1台1700ドル前後だという(タブレットのコストは装備の違いで異なり、特定のアプリケーション向けに画面が非標準サイズのタブレットもある)。
Surface ProがSurface RTよりも普及するかどうかは、もちろん、まだ分からない。Microsoftは先週(訳注:米国時間2013年1月8日)、2012年10月末から12月末までの間にWindows 8が6000万本販売されたと発表したが、Surface RTタブレットの販売台数は明らかにしていない。Surface Proはまだ出荷されていないので、この6000万本のライセンスにSurface Proは当然含まれない。
それでも、Surface Proはコーポレート環境においてニッチなニーズを満たすだろう、と多くの人が考えている。
「じわじわと火が付くだろう」とゴールド氏。「人気が出るまで恐らく2年か3年はかかる」
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