英国政府が開発資金援助を発表するなど、IT業界から熱い注目が集まるIoT(モノのインターネット)。キャメロン英国首相はIoTのメリットだけを強調するが、リスクを見落としてはならない。
英国テクノロジー業界は、インターネット接続型デバイスへの取り組みに対する政府の支援を歓迎しているが、セキュリティやインフラを見過ごすことはできないと警告を発している。
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デービッド・キャメロン英国首相は、ドイツで開催されたCeBIT(世界最大級のIT系展示会)で、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)テクノロジーの開発に4500万ポンドの予算を追加投入することを発表した。
この結果、英国がデジタル技術業界で世界のトップに立つための取り組みの一環として行われているIoTテクノロジーに対する政府の財政支援は、7300万ポンドに達することになる。
IoTテクノロジーがもたらすメリットに異論はないとした上で、情報セキュリティやネットワークの専門家はこの予算の配分について詳しい説明を求めている。
「IoTテクノロジーから得られるメリットは十分理解しているが、コアインフラも同様に進化させる必要がある」とネットワーク企業の米BrocadeでEMEA西部地区責任者を務めるジョイ・ガーダム氏は話す。
「IoTテクノロジーによって接続される“モノ”が増えることによるトラフィック量の増大にコアインフラが対応できなければならない」
「確固たるネットワーク基盤がなければ、ソフトウェアやアプリケーションの開発に着手することはできない」と同氏は述べている。
IoTテクノロジーのメリットばかりに注目が集まっているが、プライバシーやセキュリティに関する懸念も広がっている。機密データをやりとりするチャネルやデバイスが増えればサイバー犯罪の絶好の標的になる。
情報セキュリティの専門家によれば、テクノロジーの将来性を見越した政府の財政支援は、新製品の開発だけを目的とするのではなく、IoTのセキュリティ確保と適切なバランスを取る必要があるという。
政府の財政支援がテクノロジー業界にとって絶好の機会であることに異論はないが、現在IoTテクノロジーが広く受け入れられているのは、個人情報と商業データの安全性を確保し、セキュリティとプライバシーを当初から製品に組み込んできた企業努力によるものであると専門家は見ている。
「このようなインターネット接続型のインテリジェントデバイスが生活にもたらすメリットは数え切れない。だが、こうしたモノに知性と感性を与えることは、モノの性質そのものを根本的に変えることにもなる」と、米Lookoutのセキュリティ主任研究員 マーク・ロジャーズ氏は語る。
「存在に慣れ、特にセキュリティを気にすることもないありふれたモノが、突然、機密データ保護の対象となる。守るべき情報は、重要な財務情報から生活に関連する細かい個人情報まで広範囲に及ぶ」と同氏は話す。
「セキュリティへの関心が高まるのは当然だ」と独立系セキュリティアナリストのグラハム・クルーリー氏は述べる。「こうした接続型の家電製品のメーカーは、情報セキュリティを十分確保しようとは考えていない可能性があることを認識すべきだ」と同氏はComputer Weeklyのインタビューに答えて話している。
同氏によれば、インターネットに接続するデバイスのセキュリティは、ソフトウェアと同等に扱わなければならないという。
「インターネット接続型デバイスを製造するメーカーは、米Microsoft、米Google、米Facebookのような先進的なソフトウェア企業と全く同じように、製品の安全性を高めるためにセキュリティ業界と連携して開発中も開発後もシステムの欠陥を見つける必要がある」と同氏は語る。
情報セキュリティの専門家は、製品のセキュリティやプライバシーを根本から徹底的に検討することを求めている。
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