GoogleのFIDO U2Fセキュリティキー対応で認証技術はどう変わる?パスワードよさようなら

GoogleはFIDO AllianceのU2F標準のサポートを発表。ChromeとU2F対応USBキーがあればユーザー認証が簡単かつセキュアになる。この動きは他社にも広まるのか?

2014年12月17日 08時00分 公開
[Warwick Ashford,Computer Weekly]
Computer Weekly

 米Googleは同社の2段階認証プロセスで6桁のワンタイムパスワード(OTP)を使用しているが、これに代わるシンプルかつ強力な手段としてUSBセキュリティキーを発表した。

 これまでのテキストメッセージによるOTPには、ユーザーが携帯電話を紛失したときなど、幾つか課題があった。また、ハッカーはユーザーの資格情報やOTPを盗む手段を生み出すことでOTPの使用に対抗している。

Computer Weekly日本語版 12月3日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 12月3日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 Googleのセキュリティキーは、米Fast Identity Online(FIDO)Allianceが公開したユニバーサル2要素認証(U2F)標準の最初のリリースだ。

 FIDO Allianceは米PayPal、中国Lenovo、GoogleなどのIT企業が参加する国際団体だ。同団体は、業界がサポートする標準ベースのオープンプロトコルによるオンライン認証を根本的に変えることを目指している。

 このプロトコルは、強力な認証テクノロジー間の相互運用性の欠如に対処するよう設計されており、ユーザーが複数のユーザー名とパスワードを作成および記憶しなければならないという問題を是正する。

 パスワードの代替手段を導入するこれまでの試みでは、全てのWebサービスが同じ標準を採用することを要求した。専門家によると、これに応じるにはFIDOのメンバーが巨大すぎて失敗したという。

 FIDOの標準は、生体認証などの認証テクノロジー全般をサポートすると同時に、トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)、USBセキュリティトークン、エンベデッドセキュアエレメント(eSE)、スマートカード、近距離通信(NFC)などの既存のテクノロジーを強化する。オープンスタンダードの仕様は、拡張可能で将来のイノベーションに対応でき、既存の投資を保護するように設計されている。

 Googleの新しいセキュリティキーは、セキュリティを重視するユーザーにとって優れた保護を提供する。

 パスワードを入力するのではなく、ユーザーは自分のPCのUSBポートにセキュリティキーを差し込み、Google Chromeに表示されるプロンプトをタップするだけだ。

 この方法でGoogleアカウントにサインインしているときは、ユーザーは2段階目の認証でフィッシングを受けないことが保証される。それは、偽のサイトがChromeでGoogleのサインインページの偽装を試みても、セキュリティキーが暗号化署名を提供しないためだ。 また、Google ChromeはFIDO Alliance認証標準のサポートを実装する最初のWebブラウザでもある。FIDOによれば、これは全てのWebサイトが、シンプルかつ強力なFIDO U2F認証をGoogle Chromeのユーザーに導入するきっかけになるという。

 Google ChromeがFIDO U2Fオープンプロトコルを組み込むようになると、アカウントログインシステムを備えた他のWebサイトも、自身のWebアプリケーションにFIDO U2Fのサポートを組み込むことができる。

 Googleセキュリティ製品部長のニシット・シャー氏は、ブログに以下のコメントを投稿している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

CISOからセキュリティアナリストまで、役割ごとの課題から考える製品選びの勘所

CISO、SecOpsリーダー、セキュリティアーキテクト、セキュリティアナリストなど、組織のセキュリティを担う担当者は、役割ごとに異なる課題を抱えている。それぞれの課題を整理し、解決につながる製品を選ぶ際のポイントを紹介する。

技術文書・技術解説 パロアルトネットワークス株式会社

今さら聞けない「XDR」の基礎知識:EDRやEPP、SIEMと何がどう違うのか?

ITインフラが複雑化し、ポイント製品の組み合わせでは完全な保護が難しくなっている今、注目されているのがXDR(Extended Detection and Response)だ。その特長から選定のポイント、ユースケースまで、分かりやすく解説する。

製品レビュー エヌアイシー・パートナーズ株式会社

事業を止めないランサムウェア対策、「セーフガードコピー」が担う役割とは?

ランサムウェア対策が不可欠な取り組みとなる中、サイバーレジリエンスを強化する手段として、「セーフガードコピー」を実装した製品が注目されている。本動画では、その機能や特徴を約3分で簡潔に紹介する。

製品レビュー エヌアイシー・パートナーズ株式会社

ファームウェアにまで拡大するサイバー攻撃、検知困難な脅威にどう対応する?

サイバー攻撃の巧妙化が進み、攻撃対象はOS・アプリケーション層だけでなくハードウェアの土台である「ファームウェア」にまで拡大している。従来の対策では検知が難しい「見えない攻撃」に対抗するには、どのような方法を取ればよいのか。

製品資料 パロアルトネットワークス株式会社

ブラウザがサイバー攻撃の標的に、生産性を保ちつつセキュリティを強化するには

ブラウザ上での業務が増加する一方、そのブラウザがサイバー攻撃の格好の標的となっている。そこで注目したいのが、SASEフレームワークにネイティブに統合されたセキュアブラウザだ。同ブラウザの特長や機能について詳しく解説する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...