BaaS普及を妨げる、バックアップベンダー「3つの誤解」
「クラウドバックアップ」はSIerから買いたくない――調査で見えたIT幹部の本音(1/2 ページ)
バックアップベンダーのパートナーに関する誤解が、Backup as a Service(BaaS)の普及を妨げるハードルとなる可能性がある。
筆者はデータ保護に25年携わってきた。最初の数年はベンダーのチャネルパートナー(再販業者/販売代理店)に勤めたり、フィールドセールスを担当したりした。このキャリアの中で気付いたことは、「バックアップベンダーは、チャネルパートナーについて理解していないことが3つあるらしい」ということだ。
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誤解1:全てのVAR/SIerがバックアップサービスのプロバイダーになるとは限らない
一部のバックアップベンダーは、自分たちの後押しにより、自社の全てのパートナーが「Backup as a Service(BaaS)」のプロバイダーになれると思い込んでいる。「パートナーは製品を熟知している。『手軽に使える』ことを売りにして少し大々的にBaaSのマーケティングをすれば、クラウド化の波に乗れるだろう」というわけだ。この思い込みには2つの問題がある。
1つ目の問題は、付加価値リセラー(VAR)/システムインテグレーター(SIer)が導入展開サービスに強いからといって、「データ保護の最後の砦」としてインフラ全体を運営できる、あるいは運営すべきだということには必ずしもならないことだ。運用管理と導入展開/統合とでは、求められる専門知識やノウハウが異なる。また「XaaS(X as a Service)」のシステム基盤を適切に管理できるだけのスタッフを、全てのVAR/SIが抱えているわけではない。
2つ目の問題は、全てのVAR/SIerが、クラウドベースのビジネスのマーケティングや事業開発モデルに貢献するとは限らないことだ。VAR/SIerが、クラウド移行を考えている既存顧客にBaaSを提供しやすいのは確かである。ただし、BaaSが事業モデルの中核でないと判断したVAR/SIは、大した努力もせずに、業務提携を通じてBaaSを再販するかもしれない。
実のところ、大きな成功を収めているVAR/SIerは、ユーザー企業と良好な関係を築き、ユーザー企業の環境に精通した上で、専門知識やノウハウを提供している。VAR/SIはそのおかげで多くのITシステムを導入してきたのだろうし、何かが故障したら彼らが最初に呼ばれるのは確かだろう。
ただし、筆者が勤務する米調査会社Enterprise Strategy GroupがIT意思決定者を対象に、「どのような企業からBaaSを購入したいか」を調査したところ、地元のVAR/SIは最下位に近く、通信事業者も同様だった。
通信事業者は一般的に、XaaSインフラの運用方法とクラウド利用者へのマーケティング方法を知っているが、顧客のIT環境を知らない。また、大抵の通信事業者は、顧客が障害に見舞われた際には、要求に応じてBaaSのシステム基盤をデータリストア用に提供することを除けば、踏み込んだサポートはできない。
多くの場合、VAR/SIerがクラウドサービスに進出して成功するには、通信事業者やマネージドサービスプロバイダー(MSP)と手を組まなければならない。BaaSを理解している通信事業者やMSPは、地元のVAR/SIerと組みたいと考えている。
こうした面々が協業に当たって目指すべき構図は、VAR/SIerが顧客との関わりを継続し(専門知識やノウハウ、環境に関する経験を提供し)、MSP/通信事業者が信頼性の高いサービスを提供し、ユーザー企業がクラウドベースのデータ保護の恩恵を受けるというものだ。言い換えれば、VAR/SIerはBaaSの選択、導入、利用管理に携わるべきであり、BaaSの運用と提供はしない方が賢明だ。
誤解2: VAR/SIはベンダーにとって顧客の良き代弁者とは限らない
ベンダーは、「50社の顧客を抱えるVAR/SIerは、顧客が1社の場合と比べて、ユーザー企業が何を求めているかについて50倍近くの(あるいは少なくとも10倍の)洞察を持っているはずだ」と考える。一部のベンダーは、販売施策の展開やマーケティングメッセージの策定、さらには製品開発に当たって、多くの顧客を抱えるVAR/SIerパートナーからユーザー企業の要望を聞き出そうとする。パートナーは間違いなく洞察を持っており、物事を広い目で見ることができるが、2つの点で偏りがありそうだ。
多くの場合、VAR/SIerパートナーは主要な取引先ベンダーと長年の付き合いがある。このことは、パートナーが「顧客からのフィードバック」を集約して提示する意見の客観性に影響を与える可能性がある。またVAR/SIerパートナーは利益を追求しているので、彼らが売りたい製品は、さまざまな点でユーザー企業が買いたいものとは違う可能性がある。
競合がひしめくデータ保護市場でベンダーが勝ち抜こうとするなら、VAR/SIerパートナーが持つユニークな洞察は、絶対に耳を傾けて考慮しなければならないものだ。ただし、個々のユーザー企業の考え方はそれぞれ固有であり、定量化するのは非常に難しい。ベンダーが、長期にわたって良好な関係にあるパートナーからユーザー企業に関する話を聞いても、そのパートナーのサービスを利用していない見込み客に関する洞察は得られないだろう。
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