カジノゲームの達人が指南
「ブラックジャック」に学ぶ、ビジネスで負けない意思決定とは?(1/2 ページ)
直感とデータドリブン型の意思決定のどちらが優れていのだろうか。ジェフリー・マー氏は、同氏がどのようにデータを活用してブラックジャックと起業家で成功したのか紹介する。
ルーレットで勝つには運が必要だ。だが、カジノゲーム「ブラックジャック」で勝つには戦略が必要だ。「ブラックジャックは『条件付き確率』と呼ばれる理論が適用できる唯一のカジノゲームだ。条件付き確率とは、現在の事象が今後の事象に影響を及ぼすという理論だ」――2015年11月下旬に米マサチューセッツ州で初開催されたイベント「Society for Information Management Boston Technology Leadership Summit」でジェフリー・マー氏はこのように語った。
マー氏はブラックジャックのことを人一倍よく知っている。同氏はかつて、米MIT(マサチューセッツ工科大学)のブラックジャックチームの一員だった。このチームは数学理論と「カードカウンティング」という手法を使って何百万ドルもの大金を稼いだ。この成功は、ベン・メズリックの小説『ラス・ヴェガスをブッつぶせ!』や映画『ラスベガスをぶっつぶせ』の題材にもなった。マー氏は最近、別の種類のギャンブラーとして名を上げた。それが起業家である。同氏はこの分野でも勝ち続けているようだ。米TechCrunchによると、2015年4月に、同氏の最新のベンチャー企業である米tenXerを米Twitterが約5000万ドルで買収した。tenXerはエンジニア向けのプロジェクト管理プラットフォームの開発を手掛ける企業だ。
マー氏の起業家としての成功物語がITプロフェッショナルの関心を集めるのは、同氏に金もうけの才覚があるからではない。大失敗を何度か経験したにもかかわらず、データドリブン型の意思決定に対して同氏が揺るぎない信念を持ち続けているからだ。
マー氏はプレゼンテーションの中で、ブラックジャックで瞬時に5万ドルを2回も失った経験について語った。ブラックジャックはトランプゲームの一種で、プレイヤーはディーラーよりも高い点数になるようにカードを集めなければならないが、点数が21点を超えてはならない。マー氏は2回目に5万ドル負けたときに、そこでゲームをやめようかと悩んだが、そのとき「やめるという判断は2回の負けに影響されており、私がこの1年間、ゲームで勝ってきたという事実に基づいていない」ことに気付いたという。同氏はテーブルに戻り、それから2日間で負けを取り戻しただけでなく、7万ドルを手に入れた。
マー氏はこの経験について、これは短期的な価値判断が誤った意思決定につながる可能性があるという教訓だと考えている。同氏はこのエピソードの他にも、健全な戦略とデータドリブン型の意思決定がブラックジャックだけでなくビジネスでも有効であることを示すさまざまなポイントをITリーダーたちに紹介した。これらの4つのポイントを下記で紹介する。
直感に頼らない
マー氏は「世界で最も危険な人物は作家のマルコム・グラッドウェルだ。彼は誤ったコンセプトを真実であるかのように人々に信じ込ませることができるからだ」と冗談交じりに語った。グラッドウェル氏は自身の著書『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』の中で、「シン・スライシング(Thin-slicing)」、すなわち経験によって研ぎ澄まされた自分の直感によって判断を下すべきだと論じている。これに対してマー氏は「こうした直感はデータと無縁ではない。意思決定者は『頭の中にあるデータを使っている』だけなのだ」と主張する。
その点はさておき、意思決定に関するマー氏の原則はシンプルだ。「意思決定で最善の方法はデータを利用することだ」と同氏は語る。数学的理論に基づいて次にどうすべきかを客観的に判断するという基本的な戦略を使ってブラックジャックをすれば、直感に頼っている相手に間違いなく勝てるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度で重要性が増す「SASE」 制度の要求事項と機能はどう関係する? -
製品資料
[株式会社kickflow] 3分でわかる「kickflow」 どのようなワークフローを実装できる? -
事例
[株式会社kickflow] 出前館も実践 ワークフロー刷新で得られる効果とは? -
事例
[株式会社kickflow] ワークフロー活用事例:社内システムとのAPI連携で業務効率化&統制強化を実現 -
事例
[株式会社kickflow] 武州製薬が挑んだ「脱・紙とハンコ」 IT部門と現場部門はどう変わった?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
2
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
3
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
4
なぜ情シスは評価されにくい? 読者調査で見えた「成果が見えない仕事」第1位は
-
5
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
6
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
7
パッチなしで「今すぐサーバを落とせ」 Kiteworks異例警告の波紋
-
8
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
ポストVMwareの新たな選択肢 NTTデータが示す国産仮想化基盤の全貌
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
4
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
5
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
6
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
7
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
8
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
9
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
10
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー