いまさら聞けない次世代メモリ技術「3D XPoint」とは主要ベンダーと製品も紹介(1/2 ページ)

IntelとMicron Technologyが共同開発した次世代メモリ/ストレージ技術「3D XPoint」。両社によれば、DRAMとNANDフラッシュメモリの間を埋める新しい技術になるという。

2017年08月24日 05時00分 公開
[Margaret RouseTechTarget]
Intel初の3D XPointベースのOptane SSD《クリックで拡大》

 IntelとMicron Technologyは、次世代メモリ/ストレージ技術の「3D XPoint」を共同で開発した。

 だが3D XPointを採用した製品については別々に開発し、独自のブランド名で販売している。

3D XPointメモリの仕組み

 IntelとMicronが2015年に3D XPointを発表した際、この技術はNANDフラッシュメモリと比べて速度と耐久性を1000倍まで向上でき、記録密度はDRAM(Dynamic Random Access Memory)の10倍という触れ込みだった。初期の3D XPoint製品は実際、NANDフラッシュよりも高速で耐久性が高く、DRAMより高密度ではあるが、両社が当初発表した性能レベルには達していなかった。

 3D XPointは高速な読み出し速度を実現する相変化メモリ技術を利用しており、NANDフラッシュとはアーキテクチャが異なる。トランジスタを使用しない独自のクロスポイント構造を採用し、電流を読み取るセレクターとデータを表すメモリセルを対にして、信号線が立体交差する部分に垂直に配置する。セルの素材は不明だが、各セルには上下の信号線に流す電流によって個別にアクセスが可能だ。記録密度を向上させるために、3D XPointのセルは3次元(3D)方向に積層できる。

 各セルには1ビットのデータを格納する。電流によってセル材料の性質が変化し、セルの抵抗値が変わることを利用して、「0」か「1」かを表す仕組みだ。セルは電気的に高抵抗か低抵抗のどちらかの状態となり、その抵抗値に基づいて「0」か「1」かが決まる。セルには永続性があるので、電源を切っても記録した内容は消えない。

 データの読み書きは、各セレクターに送る電圧を変えることで実行する。書き込みの場合は、ある一定量の電圧をセルとセレクターの周囲の信号線に印加する。するとセレクターがオンとなり、セルに電流が流れ、セルの抵抗値が変化するという仕組みだ。読み出しの場合は、別の量の電圧を印加し、セルが高抵抗状態にあるか低抵抗状態にあるかを判断する。

 3D XPointはデータをビット単位で書き込める点で、NANDフラッシュよりも優れている。NANDフラッシュはブロック単位でいったんデータを消去しなければ、データを書き込むことができない。そのため理論的には、3D XPointの方がNANDフラッシュよりも高い性能と低消費電力を実現できる。

主要なベンダーと製品

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       1|2 次のページへ

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

最新インフラの導入/運用でAIプロジェクトを成功させるための勘所

企業がAIプロジェクトを進める際、その成功にはさまざまな要因が絡んでくる。インフラの導入/運用、予算や人材の配分、計画立案などだ。では、どうすればAIプロジェクトを破綻なく成功させることができるのか、その勘所とは。

技術文書・技術解説 アイティメディア広告企画

AI時代に高まるストレージの重要性――選ぶべきはSSDか? HDDか?

生成AIをはじめとしたAI技術の進化と活用拡大で、SSDやHDDといったストレージの重要性はますます高まっている。そんなAI時代のストレージには、SSD、HDDどちらを選べばよいのだろうか。

事例 株式会社AIT

スケーラブルで高速・確実なデータアクセスを実現、某研究所のHPSS導入事例

データ生成デバイスの進化・多様化により、保存すべきデータ容量は急増した。その管理においては、コストとパフォーマンスのバランスが課題となっている。解決策の1つとして注目される「HPSS」の効果について、導入事例を紹介したい。

事例 株式会社AIT

データ量の急増でインフラ強化が急務に、JA大阪電算の事例に学ぶシステム移行術

業務のデジタル化が進み、データ量やワークロードが増大していた大阪府農協電算センター。それによりインフラの負荷が高まり、性能を向上させることが喫緊の課題になっていた。本資料では同社がどのようにインフラを移行したのか解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッド環境の構造化データ管理、レガシーストレージからどう脱却する?

AIでは構造化データの活用が進む一方、クラウド普及に伴いデータの分散化が加速している。この状況下で課題となるのが、レガシーストレージの存在だ。本資料では、構造化データに適したストレージ戦略を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...