Amazon.comのジェフ・ベゾスCEOが2021年に退任し、AWSのアンディ・ジャシーCEOが後任に就く。この人事交代に対して、アナリストは「当然の判断だ」と口をそろえる。その理由とは。
オンライン小売り大手Amazon.com(Amazon)のジェフ・ベゾス氏は、2021年第3四半期にCEOを退任し、同社の取締役執行会長になる。後任CEOに就くのは、ベゾス氏を補佐してきたAmazon Web Services(AWS)のCEO、アンディ・ジャシー氏だ。Amazonはこの突然のCEO交代を2021年2月、2020年第4四半期(2020年10月〜12月)決算に合わせて発表した。
ベゾス氏は声明で「われわれの業績は長年にわたって発明を積み重ねてきた結果だ」と強調。「Amazonは今、これまでで最も独創的であり、CEOの交代に最適な時期だ」と述べている。
Amazonの2020年第4四半期の売上高は、前年同期比44%増の1256億ドルとなった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)で消費者が実店舗での買い物を避けるようになり、年末商戦の好調でオンライン販売が伸びたからだ。純利益も前年同期の33億ドルから72億ドルへと増加した。2020年通期の売上高は3861億ドルとなり、前年の2805億ドルと比較して38%伸びた。
AWSの2020年の売上高が前年比29%増の4600億ドルになる見通しだと、ジャシー氏は2020年12月にAmazonが開催したカンファレンス「re:Invent 2020」で述べた。AWSのビジネスはパンデミックによって需要が拡大した。世界中のユーザー企業がテレワークを推進し、コミュニケーションやネットワークといった技術の導入が急速に進んだからだ。
ベゾス氏が退任し、ジャシー氏がAmazonのCEOに昇格するうわさは前から流れていた。AWSはAmazonの大きな収益源となっているためだ。2020年8月にAmazonが、同社のコンシューマー事業責任者ジェフ・ウィルク氏の退任計画を発表し、ウィルク氏がベゾス氏の後継者候補から外れたため、この人事観測の精度がより高まった。
ジャシー氏は1997年にAmazonに入社した。当初Amazonの一部門だったAWSの立ち上げから指揮し、同部門が2006年に初の商用サービスを開始してから、毎年膨大な新サービスを提供することで知られる大手クラウドベンダーになるまでに育て上げた。「ジャシー氏をベゾス氏の後継者に選ぶのは、理にかなっている」と、ITコンサルティング会社Constellation Researchの創業者兼CEOのR・レイ・ワン氏は指摘する。「Amazonは、顧客に選択肢と価値、イノベーションを提供することを目指す企業だ。ジャシー氏は、そのトップにふさわしい」(ワン氏)
後編は、CEO交代後のAmazonとAWSの行方を占う。
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