フォームファクターやハードウェアリソースに加えて、サーバ選定では運用に関する視点も欠かせない。安定運用のために評価すべきサーバの機能とは。
サーバ選びではフォームファクター(形状や大きさなどの仕様)やハードウェアリソースだけではなく、運用に関わる機能も重要になる。前編「『タワー型サーバ』『ラックマウント型サーバ』『ブレードサーバ』の違いは?」、中編「サーバ選びで重要なCPU、メモリ、ストレージ、ネットワークの賢い見極め方」に続き、安定したシステム運用を実現するためのサーバの選定ポイントを紹介しよう。
システム運用に関わるサーバの評価ポイントを見ていこう。まずサーバ運用を確実に維持できるように、電源や冷却ファンを用意する必要がある。電源については、サーバの消費電力がデータセンターの電力供給に及ぼす影響を試算することが重要になる。サーバラックで使用可能な電力量に制限があるデータセンターもあるからだ。
サーバの拡張性も検討しておく必要がある。利用可能な拡張スロットやポート、ストレージのインタフェースなどのコンポーネントの数や種類が重要になる。これらのコンポーネントによって、サーバのハードウェアリソースが限界に達するときにどのような拡張ができるのかが決まる。例えば「PCI Express 2.0」(PCIe 2.0)の拡張スロットを1つしか搭載していないサーバもあれば、PCIe 2.0と「PCI Express 3.0」(PCIe 3.0)を組み合わせて4つの拡張スロットを備えるサーバもある。将来のワークロード(システム運用で発生する負荷)を予測して、プロセッサやメモリ、ネットワークの各ハードウェアリソースを必要な分だけ追加できるサーバを選定する必要がある。
障害が発生してもシステム運用を継続できるように、可用性に関する機能も評価する。電源、冷却ファン、ストレージの冗長性が特に重要になる。ブレードサーバの場合、冗長性の一部は筐体に組み込まれている。電源や冷却ファンなどがその例だ。冗長性の要件は、運用するシステムにも左右される。ミッションクリティカルなシステムを運用する場合は、冗長性の要件は厳しくなる。
ダウンタイム(システムの稼働停止時間)を最小限に抑える必要がある場合は、サーバ稼働中にコンポーネントを交換する「ホットスワップ」ができるサーバが候補になる。ストレージのホットスワップが可能なサーバは珍しくない。中には冷却ファン、スイッチ、電源などのホットスワップができる機能を備えるサーバもある。
サーバが標準搭載する管理機能についても評価が欠かせない。例えば遠隔でサーバに接続するインタフェースである「IPMI」(Intelligent Platform Management Interface)や、IPMIを介してサーバを制御するチップである「BMC」(Baseboard Management Controller)を搭載するサーバであれば、管理や監視の作業が容易になる。暗号化や認証の機能を備えるチップである「TPM」(Trusted Platform Module)などのセキュリティ機能を搭載していることも同様に重要だ。
サーバを評価する方法に答えはない。最終的には運用するシステムの特性や、サーバ運用に影響を与える外部要因などに応じて変わる。重要なことは、不要なハードウェアに無駄なコストを掛けず、購入時と将来のニーズを満たすサーバを見つけることだ。将来を視野に入れると、すぐに時代遅れになるような選択は避けた方がよい。
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