クラウドサービスを使った新型コロナウイルスワクチン職域接種システムの構築事例やIaaS、PaaS市場の調査結果など、クラウドの主要ニュースを紹介する。
顧客向けスマートフォンアプリケーションのバックエンドシステムや新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン職域接種システムなど、さまざまなシステムの構築にクラウドサービスを利用して、開発の迅速化を実現する動きがある。こうした企業の事例や、クラウドサービスへの移行を支援するベンダーの取り組みなど、クラウドに関するニュースを6つ紹介する。
小田急電鉄と小田急エージェンシーは、小田急線乗客向けのスマートフォンアプリケーション「KYOUDOKO」(キョウドコ)を提供している。キョウドコは小田急線沿線の店舗情報を提供する他、掲載店舗とユーザー同士の情報交換機能を搭載する。掲載店舗には「店舗と顧客のコミュニケーションが活性化しているか」「店舗ファンの間で話されている最近の重要なキーワードは何か」などの洞察を提供する。キョウドコのデータ分析システムの構築には、データ分析サービス「Oracle Analytics Cloud」など、Oracleのクラウドサービス群「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)を利用した。特にOracle Analytics Cloudを利用することで、分析したい内容に合わせてダッシュボードに表示するデータ項目や表現方法を詳細に切り替えられる点を評価した。加えてデータベースサービス「Oracle Database Cloud Service」やOCIの仮想マシンサービスを活用することで、システムやインフラの構築期間を短縮。データ分析システムを3カ月で構築できたという。(発表:日本オラクル<2021年7月5日>)
SCSKは自社と関連企業の従業員を対象に、新型コロナウイルスワクチンの職域接種を実施している。ワクチン接種予約システムの構築にはSCSKのアプリケーション開発サービス「S-Cred+プラットフォーム」と、同サービスの提供インフラであるAmazon Web Servicesの同名クラウドサービス群を採用した。予約サイトから従業員や予約枠などのデータを格納したデータベースへアクセスする仕組みを構築するために、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)開発ツール「AWS AppSync」などのAWSサービスを利用。アジャイル型で開発した。これにより約5日で仕様の確定から初回のテストまで完了し、約10日の開発期間でシステムを稼働させることができたという。(発表:SCSK<2021年7月12日>)
同社はIaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)にコンサルティングや運用支援などの関連サービスを合わせた2020年の市場規模が8052億円になると見込み、2024年には1兆4022億円になると予測する。仮想マシンなどの仮想リソースを提供するサービスが市場をけん引する他、自社の要件に合わせてカスタマイズがしやすい物理リソース専有型のIaaSにユーザー企業の注目が集まりつつあるという。クラウドインフラを移行元のオンプレミスインフラと同じように運用したいというニーズの高まりを反映した動きだ。(発表:富士キメラ総研<2021年7月7日>)
Oracle Cloud Lift Servicesは、アプリケーションをOCIに移行させるための専任のエンジニアによる移行支援サービスとツール群で構成される。OCIの既存ユーザー企業や新規ユーザー企業は追加料金なしで利用可能だ。ユーザー企業はOracle Cloud Lift Servicesを利用することで、OCI移行計画の策定やOCIインフラの設計、移行作業、トレーニングなどの技術支援を受けることができる。「Oracle Database」などオンプレミスのOracle製品やVMware製品、コンテナオーケストレーター「Kubernetes」などを使って構築したアプリケーションのOCIへの移行を対象となる。(発表:日本オラクル<2021年7月8日>)
「対外接続クラウドサービス」は、銀行などの金融機関や資金移動事業者の勘定系システムと、金融機関のATM(現金自動預払機)などの社外システムを安全に連携させるためのゲートウェイシステムをサービスとして提供する。金融機関の間で広く使われているNTTデータの決済・金融業務システム「CAFIS」「ANSER」との連携も容易にする。ゲートウェイシステムとインフラを組み合わせて提供するため、ゲートウェイシステムの早期構築が可能となる点が特徴だ。ゲートウェイシステムの保守はセイコーソリューションズが担当する。主に送金サービスのシステム開発での活用を想定する。改正資金決済法施行で資金移動業への参入が容易になり、送金サービスのシステム開発が今後活発化する可能性があるとセイコーソリューションズはみる。(発表:セイコーソリューションズ<2021年7月21日>)
Googleは、クラウドサービス群「Google Cloud Platform」(GCP)の管理コンソールからアクセスできるリージョン(地域データセンター群)選択画面に、二酸化炭素排出量が低いリージョンをアイコンで視覚的に表示するようにした。まずコンテナ実行サービスの「Cloud Run」とデータ複製サービス「Datastream」で利用可能にし、他のGCPサービスでも順次利用できるようにする。主に「SDGs」(持続可能な開発目標)の達成を重視する企業にとって、二酸化炭素排出量の低いリージョンを選択しやすくするのが狙いだ。(発表:Google<2021年7月13日>)
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