「クラウドRPAはこれから売れる」と専門家が予想する理由クラウドRPAを取り巻く業界動向【後編】

さまざまなベンダーがクラウドRPAを提供する中、オンプレミスRPAに偏っていたユーザー企業のニーズに変化が見え始めた。「今後の新規導入はクラウドRPAが主流になる」と専門家は言い切る。その理由は。

2022年04月13日 05時00分 公開
[Mary K. PrattTechTarget]

 「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)はこれまで、オンプレミスインフラで稼働させるオンプレミスRPAが主流だった。近年はさまざまなベンダーがクラウドサービス形式のRPA(以下、クラウドRPA)を提供するようになったものの、オンプレミスRPAが主流である状況は変わっていない。ただしユーザー企業のニーズは少しずつ変化し始めている。

 RPAベンダーはクラウドサービスの普及を目の当たりにして、クラウドRPAを市場に投入してきた。Automation Anywhere、Blue Prism、UiPathをはじめとする大手RPAベンダーがクラウドRPAを提供している。一方「Microsoft Power Platform」を提供するMicrosoftをはじめ、RPAのような自動化機能を既存のクラウドサービスに追加するベンダーもある。

「クラウドRPA」が今度こそ売れる理由

 アナリストは「クラウドRPAの長所・短所は、他のSaaS(Software as a Service)の長所・短所と同じだ」と語る。クラウドRPA製品なら、ユーザー企業はインストールやメンテナンスの手間が必要ないため、オンプレミスRPAと比べて迅速に使い始めることができる。

 コンサルティング会社Protivitiでマネージングディレクターを務め、同社のデジタルプラクティスを担当するエバン・キャンベル氏は、今後の新規導入はクラウドRPAが主流になると予測する。同氏が勤めるProtivitiはクラウドRPAを導入済みだ。「一般的なRPA利用シーンで、瞬時の応答が必要になることはないため、RPAの遅延は問題視していない」と同氏は語る。クラウドRPAでセキュリティの懸念を感じたことはないという。「導入の迅速さ、拡張しやすさ、IT部門の運用の容易さなど、クラウドRPAにはさまざまなメリットがある」(同氏)

それでも残る懸念

 「クラウドRPAには遅延の問題やセキュリティ面のデメリットがある」と考える企業もある。このような企業はクラウドRPAの導入に難色を示している。「こうした懸念は今でも払拭(ふっしょく)されていない」と専門家は指摘する。費用もクラウドRPAの問題の一つとして挙げられる。クラウドRPAはオンプレミスRPAよりもコスト効率が良い場合があるが、導入規模が大きい場合や利用期間が長い場合はそうとも限らない。

 キャンベル氏は「オンプレミスRPAを導入している企業は、クラウドRPAへの機械的な移行は望んでいない」と考える。特にレガシーシステムは、新しいクラウドRPAと簡単に連携できないことがある。こうした状況でオンプレミスRPAを使っていた企業にとっては、「その事実そのものがオンプレミスRPAの運用に固執する理由になっている」とキャンベル氏は語る。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

事例 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

発展性・拡張性のある業務基盤を構築、「太陽化学」が実践するDXの取り組みとは

ビジネスを取り巻く環境が猛スピードで変化する中、DX推進は今や不可欠なものとなっている。本資料では、レガシーな業務環境を刷新し、多くの成果を生み出している「太陽化学」の取り組みを紹介する。

事例 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・イントラマート

年間1万時間相当の業務コスト削減、事例から学ぶ業務プロセス改善への取り組み

今後の企業成長を見据えた経営戦略の一環として、業務プロセスの改善・改革は必要な取り組みだ。「課題」「導入」「効果」の3つの観点から、大手金融各社が実際に成果を挙げている8つの成功事例を紹介する。

製品資料 株式会社ネオジャパン

改正道路交通法で義務化、アルコールチェックの記録・管理を効率化する方法とは

改正道路交通法により運転者へのアルコールチェックが義務化されたが、こうした管理を紙やExcelベースで行っている企業も少なくない。これでは安全運転管理者の負担が増大するばかりか、ミスも発生しかねない。この解決方法を紹介する。

製品資料 DoiT International Japan株式会社

クラウド運用の悩み、「ベンダーにお任せ」と「内製化/自走」はどちらが得か?

多くの企業でクラウド活用が加速する一方、ベンダー任せの構築や運用によって、コスト管理が不明瞭になるなど、さまざまな課題が顕在化している。クラウド運用はどのような体制が最適なのか、本資料ではそのヒントを解説する。

製品資料 NDIソリューションズ株式会社

「2025年の崖」は跳ばずに回避、基幹系システム“継続利用&モダナイズ”の秘訣

「2025年の崖」の中でDX推進の障壁として挙げられている基幹系のレガシーシステム。現場はモダナイズ不要と考えるが、経営層は業務効率への悪影響を懸念している。本資料では、現場と経営層との認識のギャップを解消する方法を紹介する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/05/31 UPDATE

「クラウドRPAはこれから売れる」と専門家が予想する理由:クラウドRPAを取り巻く業界動向【後編】 - TechTargetジャパン 経営とIT 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...