「RPA」(ロボティックプロセスオートメーション)はこれまで、オンプレミスインフラで稼働させるオンプレミスRPAが主流だった。近年はさまざまなベンダーがクラウドサービス形式のRPA(以下、クラウドRPA)を提供するようになったものの、オンプレミスRPAが主流である状況は変わっていない。ただしユーザー企業のニーズは少しずつ変化し始めている。
RPAベンダーはクラウドサービスの普及を目の当たりにして、クラウドRPAを市場に投入してきた。Automation Anywhere、Blue Prism、UiPathをはじめとする大手RPAベンダーがクラウドRPAを提供している。一方「Microsoft Power Platform」を提供するMicrosoftをはじめ、RPAのような自動化機能を既存のクラウドサービスに追加するベンダーもある。
アナリストは「クラウドRPAの長所・短所は、他のSaaS(Software as a Service)の長所・短所と同じだ」と語る。クラウドRPA製品なら、ユーザー企業はインストールやメンテナンスの手間が必要ないため、オンプレミスRPAと比べて迅速に使い始めることができる。
コンサルティング会社Protivitiでマネージングディレクターを務め、同社のデジタルプラクティスを担当するエバン・キャンベル氏は、今後の新規導入はクラウドRPAが主流になると予測する。同氏が勤めるProtivitiはクラウドRPAを導入済みだ。「一般的なRPA利用シーンで、瞬時の応答が必要になることはないため、RPAの遅延は問題視していない」と同氏は語る。クラウドRPAでセキュリティの懸念を感じたことはないという。「導入の迅速さ、拡張しやすさ、IT部門の運用の容易さなど、クラウドRPAにはさまざまなメリットがある」(同氏)
「クラウドRPAには遅延の問題やセキュリティ面のデメリットがある」と考える企業もある。このような企業はクラウドRPAの導入に難色を示している。「こうした懸念は今でも払拭(ふっしょく)されていない」と専門家は指摘する。費用もクラウドRPAの問題の一つとして挙げられる。クラウドRPAはオンプレミスRPAよりもコスト効率が良い場合があるが、導入規模が大きい場合や利用期間が長い場合はそうとも限らない。
キャンベル氏は「オンプレミスRPAを導入している企業は、クラウドRPAへの機械的な移行は望んでいない」と考える。特にレガシーシステムは、新しいクラウドRPAと簡単に連携できないことがある。こうした状況でオンプレミスRPAを使っていた企業にとっては、「その事実そのものがオンプレミスRPAの運用に固執する理由になっている」とキャンベル氏は語る。
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