IaaSの可用性を必要以上に高めようとすると、インフラの複雑さやコストが増大する可能性がある。HAが本当に必要かどうかを考えるための5つの観点を説明する。
アプリケーションのインフラとしてIaaS(Infrastructure as a Service)を選択すれば、ロードバランサー(負荷分散装置)サービスなど、高可用性(HA)の実現を支援するクラウドサービスを簡単に利用できる。ただしアプリケーションごとに可用性の要件は異なる。ユーザー企業はHAの実現を支援するクラウドサービスを利用する前に、自社のニーズを評価しなければならない。前編「SLAの『99.9%』は何を意味するのか 必要な可用性を計算する方法」と中編「可用性に無駄金を使わない基礎知識 『IaaS』の主な構成要素とは?」に続く本稿は、IaaSでHAを実現するための3つのベストプラクティスのうち、最後の3つ目を説明する。
可用性を向上させるためのクラウドサービスを利用する前に、以下の5つの点を自問する。
HAを実現しようとすると、概してコストとシステムの複雑さが増大する。可用性を高く保つことが必ずしも最適とは限らない。
ダウンタイム(システム停止時間)が発生したときの復旧までにかかる予測時間と、エンドユーザーの反応を考える。そしてダウンタイムの許容最大時間を計算し、その要件を満たす具体的なHA実現計画を立てる。IaaSの可用性とダウンタイムを監視して記録することが、ダウンタイムの許容最大時間を把握する方法の一つになる。
データ処理の高速化など、可用性向上に関する自社の目標を明確化する。アプリケーションがもたらす価値や用途に対して、稼働時間の要件が適しているかどうかを検討する。
HAは、さまざまな技術や手法によってもたらされる。それらは併用し、組み合わせることができる。より低いコストでHAを実現するシンプルな方法を検討する。
HAの実現を支援するクラウドサービスの導入後に、その成果を評価することで、導入が成功しているかどうかを確認する。自然災害などの実際に起きた混乱と照らし合わせて効果を評価する。インフラを監査し、定めた要件を満たしているかどうかを確かめることも必要だ。インスタンス(仮想マシン)に障害が発生したら、SLA(サービス品質保証契約)に規定された時間内にインスタンスが回復する必要がある。
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