可用性の「計画策定で終わり」はよくある間違い 「人」こそが肝になる理由「追求し過ぎない」可用性の管理術【後編】

可用性管理の成功に資するのは「人」だ。可用性管理の担当者はもちろん、企業の幹部といった周りの人を巻き込むことも重要になる。可用性管理の体制づくりのポイントは。

2021年10月12日 05時00分 公開
[Walker RoweTechTarget]

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 システムを継続的に稼働させる「可用性」は企業にとって重要だ。前編「『稼働率100%』のためにコストをかける意味はあるのか?」は可用性のポリシーを自社に合った形で定める必要性を説明した。後編となる本稿は可用性管理に取り組む際の効果的な体制づくりを考える。

大企業には専任チームの結成を推奨 体制づくりのポイントは?

 可用性管理を成功させるには、手順を文字化して計画書にまとめ、その手順を監視することが必要だ。可用性の担当者には常に可用性管理の進行状況を確認しつつ、うまくいかない場合は方向性を修正するといった柔軟な行動が求められる。

 企業規模によって、IT担当者が可用性管理を兼務するか、可用性管理の専任部隊を設けるかを決めなければならない。システムが複雑な大企業の場合は、複数人による「可用性管理チーム」が中心になって独自の可用性管理計画を策定することが不可欠だ。

 可用性管理計画に、企業はリスク分析やシステム停止によるビジネスへの影響を含める必要がある。企業が想定しなければならない主なリスクは、サイバー攻撃やシステム障害の発生だ。企業はこれらのリスクごとに「深刻度の評価」を付け、システムが停止した場合の被害額を試算しておくことが重要になる。

 計画を策定しただけでは、可用性管理は終わらない。計画が固まったら、経営幹部を含む関係者に共有し、理解を得ることが重要だ。企業が組織を再編したり、新規事業を始めたりするなどシステムを取り巻く環境に変化があった場合、それを可用性管理計画に反映させることも忘れてはいけない。

 可用性管理の支えになるのは、システムを監視して障害の原因を追跡できる各種監視ツールだ。可用性管理の担当者はこれらを活用することによっていち早くシステム稼働の異常を把握し、対策を講じることができる。

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