クラウド支出がいくら増えても「オンプレ支出」はなくなるどころか増え続ける謎クラウドインフラの動きを「ハードウェア」視点で見る【後編】

IDCの見方では、クラウドインフラ向けハードウェア支出額は増加する見込みだ。一方で従来型オンプレミスインフラ向けハードウェア支出額も増えると同社はみる。インフラ市場で何が起きているのか。

2023年08月23日 07時00分 公開
[Antone GonsalvesTechTarget]

 オンプレミス型のプライベートクラウド(リソース専有型クラウド)を含めて、クラウドインフラを構築するためには、サーバやストレージといったハードウェアが必要だ。こうしたクラウドインフラ向けのハードウェア支出額が増加傾向にあると、IT調査会社のIDCは説明する。一方で従来型オンプレミスインフラ(非クラウドインフラ)の構築ニーズは消えつつあるのかというと、実はそうでもないという。同社の市場調査結果から明らかになった、インフラを取り巻く“真実”とは。

クラウド支出好調でもオンプレ支出はなくならない?

会員登録(無料)が必要です

 クラウドインフラ向けハードウェア支出額の、2022年から2027年までの年間平均成長率(CAGR)は11.2%になるとIDCはみる。2027年には、クラウドインフラ向けハードウェア支出額は1530億ドルになると同社は予測。この支出額は、ハードウェア支出総額の69%を占める規模になるという。

 非クラウドインフラ向けハードウェアへの支出額も、クラウドインフラほどではないものの成長を維持するというのが、IDCの見方だ。同社によると非クラウドインフラ向けハードウェア支出額は、2022年から2027年までCAGR1.3%で増加。2027年には686億ドルに達すると同社は予想する。

 「2023年は企業向けIT市場が停滞している」と、IDCでアナリストを務めるクバ・ストラースキ氏は指摘。オンプレミスインフラの中では比較的堅調だった、オンプレミス型プライベートクラウドの構築ニーズにも、鈍化の傾向が見られるという。

 オンプレミス型プライベートクラウドを含めた、クラウドインフラ向けハードウェア支出額は、2023年には2022年比7.3%増の964億ドルになるとIDCは予測する。ただし、この支出額の相当な部分は「サプライチェーンの遅れによって累積したハードウェア需要に起因する」(ストラースキ氏)という。DellやHewlett Packard Enterpriseなどのハードウェアベンダーでは、納品の遅れが生じていた。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。