調査会社Gartnerが2023年の世界全体のIT支出予測を公開した。企業のIT支出は引き続き堅調との見通しだが、企業は“あること”で頭を抱える可能性がある。
調査会社Gartnerは2023年1月18日(米国時間)、2023年の世界全体のIT支出見通しについて、前年比2.4%増の4兆5000億ドルになるという予測を発表した。同社が2022年10月に発表した世界全体のIT支出見通しでは、前年比5.1%増となる予測だったため、今回の発表でその予測を下方修正したことになる。
Gartnerは2023年のIT支出において、ソフトウェア分野は前年比9.3%増、ITサービス分野は同5.5%増の成長を見込んでいる。その一方で、デバイス分野への支出は同5.1%減と予測する。
2023年1月11日にGartnerが発表した市場調査結果によれば、2022年の第4四半期における全世界のPC出荷台数は合計6530万台だった。2021年の第4四半期から28.5%の減少となった。この落ち込みは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によるテレワークの普及でデバイスの買い換えが進んだ結果、新たなデバイスの買い控えが起こっていることが要因だと考えられる。
デバイス分野への支出減は見られるものの、Gartnerは企業のIT支出が堅調なまま推移するとみている。同社のディスティングイッシュトバイスプレジデント兼アナリストのジョン=デイビット・ラブロック氏は次のように語る。「インフレの影響で企業における経営判断の道筋が変化し、CIO(最高情報責任者)はその判断に慎重になりつつあるが、企業のIT支出は依然としてインフレの影響を大きく受けていない」
ただしラブロック氏によると、企業はインフレやエネルギー価格の高騰を背景にしたソフトウェアやクラウドサービスの値上げに頭を悩ませている。企業がサブスクリプションの料金を前払いで払った後に値上げになった場合、支払い済みの金額ではサブスクリプション契約の全期間分を賄えなくなる可能性があると同氏は指摘する。
後編は、Gartnerの分析を基に、企業がIT人材の確保に苦戦している状況を考える。
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