世界のPC出荷台数が落ち込んでいる。その背景には何があるのか。パンデミックの影響はもちろんあるが、原因はもっと複雑だ。
調査会社Gartnerは2022年10月10日(米国時間)、2022年第3四半期(7月~9月期)の世界PC出荷台数が6800万台となり、前年同期比19.5%減少したと発表した。同社によると、世界PC出荷台数は4四半期連続の減少となり、下落幅は同社が1990年代半ばに世界PC市場の統計を始めて以来、最も大きかった。落ち込みの原因は何なのか。
2022年第3四半期の世界PC市場について、Gartnerリサーチ部門ディレクターの北川 美佳子氏は「部品供給は改善したものの、法人向けとコンシューマー向けの両市場でPC需要が減り、過剰在庫が生じた」と説明する。今回の出荷減は、世界PC市場の歴史的減速を示している可能性があると北川氏はみる。
北川氏によると、2022年第3四半期にはベンダーによる大掛かりな宣伝や値下げがあったにもかかわらず、PCの売れ行きは期待外れの結果となった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が本格化した2020年ごろから、消費者の大半はPCを買い替えており、購入ニーズがなかったという。法人については、「国際情勢の緊迫化や経済危機の懸念を受け、企業がIT投資を抑えている動きが響いた」と同氏は述べる。
Gartnerの調べでは、2022年第3四半期のPC出荷を地域別で見ると、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域は前年同期比26.4%減の1700万台となり、世界で最も落ち込みが大きかった。EMEA地域はパンデミックが始まった当時にPC市場が活況を呈していたが、今回は3四半期連続の減少になったという。
EMEA地域について「厳しいマクロ経済情勢に加え、法人やコンシューマーの需要減や在庫水準の高さなど、複数の要因が大幅減少につながった」と北川氏は述べる。ウクライナ侵攻を受け、世界のPCベンダー各社が2022年前半にロシアから撤退したことも影響したと同氏は言う。
後編はGartnerの調べによる、2022年第3四半期のPCベンダーの出荷台数シェア上位3社を紹介する。
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