ITRが国内企業を対象としてIT投資動向の調査を実施。4割超の企業が2022年度のIT予算を増額したと回答した。国内ではどの分野への投資が進み、どのような変化が起こったのか。動向を読み取る。
調査会社アイ・ティ・アール(ITR)が、「IT投資動向調査2023」を発表した。国内企業でIT戦略やIT投資の意思決定に関わる役職者に対して2022年8月19日から9月1日にかけてWebアンケート調査を実施し、2172人から回答を得た。
同調査によると、2022年度のIT予算額の増減については41%の企業が前年度から増額した。IT予算額の増減を指数化した「IT投資インデックス」は3.39ポイントで2年連続の上昇となり、2006年ぶりの3ポイント台となった。ITRは、国内企業が2023年度も積極的なIT予算の増額と2022年度と同程度のIT投資への意欲を維持するとみて、2023年度のIT投資インデックスを3.32ポイントと予測する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけとしたビジネスの状況の変化と、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進への関心が投資額の増加につながっているとITRは推測する。企業におけるDX推進の取り組み状況に関して、同社は「コミュニケーション/コラボレーションの高度化」「データ分析を基にしたマーケティングの遂行」「スケジューリング・需要予測の高度化」「新製品・サービスの創出」などの16項目のテーマから調査した(図)。
16項目の中では「ワークスタイルの変革」と「業務の自動化」の進展が顕著だった。2割超の企業がこれらの項目について「進行中・実施済みで成果も出ている」と回答した。全体を見ると、各項目で「進行中・実施済みだが成果は出ていない」と回答した企業がおよそ2割前後、「社内承認中または企画中」と回答した企業がおよそ3割前後存在している。国内企業はDXで成果を獲得する途上だとITRは考察する。
企業におけるITの主要製品とサービスについて、ITRは2023年度に新規導入する可能性と、既に導入済み企業での投資額の増減傾向を調査した。製品とサービスのジャンルは、「インフラ/デバイス」「ミドルウェア」「業務系システム」「情報系システム」「セキュリティ」の5分野から、全110項目を選出した。
2023年度に新規導入する可能性が最も高かったのは「電子契約/契約管理」で、2021年度の調査と同様の結果となった。投資額の増減指数の高さでは、前年度2位だった「ビジネスインテリジェンス(BI)/データ分析」が1位になった。
投資額の増減指数が高い製品として5位以内に入った、
は新規導入する可能性の高い製品の5位以内にも入っている。このことからITRは、これらの製品は未導入の企業と導入済み企業の双方で、投資意欲が高くなっていると推測する。
Web会議用アプリケーションなど、COVID-19の感染拡大で導入が進んだ製品やサービスへの投資はオフィス回帰の動きで落ち着き、2023年度はビジネスで成果を出す製品やサービスへの投資に関心が集まるとITRは予測する。
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