Western Digital分割がもたらす「SSD再編」どころじゃない「HDDのあれ」ストレージベンダー再編の影響【後編】

Western Digitalが計画を公表しているHDDおよびSSD事業の分割。この計画は、SSDとHDDのそれぞれの分野に、同社の分社化だけにはとどまらない重大な変化をもたらす可能性がある。何が起きるのか。

2024年10月15日 05時00分 公開
[Adam ArmstrongTechTarget]

 HDDとSSDの事業を2024年内に分割することを公表しているWestern Digital。この分社化は単に同社の問題にとどまらず、SSDとHDDの双方の分野にも“重大な転換点”になり得る変化をもたらす可能性がある。何が起きる可能性があるのか。

Western Digital分割後の本当の波乱は「HDDのあれ」

会員登録(無料)が必要です

 Western Digitalの事業がHDDとSSDに分社化することで、SSDとNAND型フラッシュメモリの分野ではさらなる事業の統廃合が進む可能性がある。2021年ごろから、キオクシアとWestern Digitalの合併がうわさされてきた。Western DigitalからSSDとNAND型フラッシュメモリの事業がスピンオフした後、2社が合併に乗り出す可能性は否定できない。だがその話について、正式な話はまだ出てきていない。

 一方のHDDの分野では、「企業の合併はない」とたいていの業界関係者はみている。Western Digital、Seagate Technology、東芝デバイス&ストレージのHDD大手3社に、近い将来に統合を匂わせる兆候はないということだ。

 Western Digital、Seagate Technology、東芝デバイス&ストレージの中で買収の対象になるとすれば、まず東芝デバイス&ストレージが挙げられる。だが「Western DigitalとSeagate Technologyがそれに乗り出すことはまずなさそうだ」とバーンズ氏は語る。

 仮に3社しかないHDDベンダー同士の買収案件が持ち上がれば、顧客にとっては不利益が生じる可能性がある。「規制当局には反競争的だと見なされるはずだ」とバーンズ氏は指摘する。

 HDDベンダー各社の顧客にとっても規制当局にとっても、市場に3社が存在し続けることにメリットがあるのだ。「2社になれば供給の多様性確保は困難になり、交渉の余地が少なくなる」とチェン氏は話す。

 とはいえ、そうした話はベンダー各社の社内の事情を考慮していない。各社がHDD事業を続けられるかどうかは、競争力のあるHDD製品を供給する役割を担い続けられるかどうかの問題でもあるのだ。「HDDベンダー各社は、今後は容量増大に主眼を置いた製品ロードマップの実現に力を注いでいくことになる」(チェン氏)

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

「SATA接続HDD」が変わらず愛される理由とは

HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

IOPSが5倍に向上&コストも80%削減、エクシングが選んだ大容量ストレージとは

カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。

製品資料 プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

データソート性能向上でここまで変わる、メインフレームのシステム効率アップ術

メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

従来ストレージの約8倍の容量を確保、エルテックスが採用したストレージとは

ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。

市場調査・トレンド プリサイスリー・ソフトウェア株式会社

クラウド統合を見据えたメインフレームのモダナイズ、3つの手法はどれが最適?

長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。