2011年上半期、最も読まれたデータセンター関連のホワイトペーパーは?2011年上半期ホワイトペーパーランキング

2011年上半期、仮想化製品の性能比較やネットワーク仮想化に関するホワイトペーパーが多く読まれた。ダウンロードランキングトップ10から、ユーザー企業の関心事項を探る。

2011年08月12日 09時00分 公開
[翁長 潤,TechTargetジャパン]

 TechTargetジャパンでは、ホワイトペーパーダウンロードセンターでITベンダー各社が提供するホワイトペーパーを公開している。以下、2011年1月1日〜6月30日におけるデータセンター関連ホワイトペーパーのダウンロード数ランキングトップ10を紹介する。

2011年1月1日〜6月30日のホワイトペーパーダウンロード数ランキング(カテゴリ:データセンター)
順位 ホワイトペーパータイトル 提供ベンダー
1位 ハイパーバイザーの製品比較:仮想化プラットフォームにおいて最高のワークロード統合率を実現するには ヴイエムウェア
2位 Yahoo! JAPANの膨大なトラフィックを支えるネットワークインフラの裏側 ジュニパーネットワークス
3位 東工大の最先端ネットワーク 構築成功の決め手は「スイッチの仮想化」 ジュニパーネットワークス
4位 バックアップ不要で高セキュリティなストレージ環境構築法 スカパーJSAT
5位 仮想化データセンター/クラウドに必要なネットワークの要件とは? ブロケード コミュニケーションズ システムズ
6位 売れる仮想化提案! ノベル
7位 停電・災害に左右されない「システム継続性」を迅速に確保する方法 クラウド テクノロジーズ
8位 ストレージは意外な盲点! 仮想化のコスト削減とパフォーマンスを両立する方法とは 〜VMware vSphere編 日立製作所
9位 徹底検証!! ディスクI/Oから見たデスクトップ仮想化のテスト結果を公開――VMware View編 デル
10位 開始11カ月で600社の導入実績。「ニフティクラウド」の活用事例集を解禁! ニフティ

主要なハイパーバイザー製品の仮想マシン統合率を比較

 2011年上半期に最も多く読まれたのは、サーバ仮想化プラットフォームの性能に関するヴイエムウェアのホワイトペーパー「ハイパーバイザーの製品比較:仮想化プラットフォームにおいて最高のワークロード統合率を実現するには」だった。

 このホワイトペーパーでは、調査機関Taneja Groupが2009年に実施した、主要なハイパーバイザー製品における性能検証の結果を紹介している(関連記事:仮想化のパフォーマンスを向上させる3つのホワイトペーパー)。「VMware vSphere 4.1」「Microsoft Hyper-V R2」「Citrix XenServer 5.6」「Red Hat Enterprise Linux 5.5 Kernel-Based Virtual Machine」を対象とし、「Microsoft SQL Server 2008 R2」を使用したワークロードの負荷テストを実施。それぞれの環境における仮想マシンの統合率を比較している。

 このホワイトペーパーによると、仮想マシンの統合率が仮想インフラストラクチャの購入コストに与える影響は大きいとしている。必要な物理マシン数やサポート対象となるハイパーバイザー数、それらを管理するソフトウェアやライセンスコストなどが統合率によって変わるためだ。また、「仮想マシンの統合率が1.5倍になると、一般的な仮想インフラストラクチャの購入コストを最大29%削減できる」という試算も紹介している。

 ヴイエムウェアは2011年7月にvSphereの最新バージョン「VMware vSphere 5」を発表した(関連記事:VMware vSphere 5の新機能)。vSphere 5では仮想マシンのサポート数が拡張され、ストレージを含めた包括的な自動化および管理機能を搭載している。進化する仮想プラットフォームへの関心は今後もさらに高まりそうだ。

クラウド構築に欠かせないネットワークの要件

 複数拠点間を結び多数の仮想サーバをネットワーク経由で運用する大規模なデータセンターでは、ルータやスイッチなどのネットワーク機器においても仮想化技術が導入されている。2位と3位には、ジュニパーネットワークスの製品を導入し、ネットワーク仮想化を実現した企業の事例に関するホワイトペーパーがランクインした。

 2位の「Yahoo! JAPANの膨大なトラフィックを支えるネットワークインフラの裏側」では、動画コンテンツなどのサービス拡充とともに増え続けるトラフィックに対応するため、Yahoo!がデータセンター間を結ぶネットワーク基盤にジュニパーネットワークスのルータ製品群「MXシリーズ」を採用した事例を紹介。また、3位の「東工大の最先端ネットワーク 構築成功の決め手は『スイッチの仮想化』」では、ジュニパーネットワークスのイーサネットスイッチ「EXシリーズ」やMXシリーズを採用し、2010年4月から10Gbpsに対応する新キャンパスネットワーク「Titanet3」を構築・稼働した事例を紹介している。

 その他、5位にブロケード コミュニケーションズ システムズの仮想化データセンターに適するネットワークアーキテクチャの要件を解説した「仮想化データセンター/クラウドに必要なネットワークの要件とは?」が入った。

 今後、オープンソースのネットワーク制御技術「OpenFlow」に代表されるように、仮想化/クラウドに対応したネットワークの自動制御や一元管理を可能にする技術や製品に関心が集まると予想される(関連記事:使える? 使えない? OpenFlowをめぐる賛否両論)。

 データセンターの構成要素の1つであるストレージについても、スカパーJSATのクラウド型ストレージシステム「S*Plex3」を紹介した「バックアップ不要で高セキュリティなストレージ環境構築法」(4位)や、クラウド テクノロジーズの社内システムデータのバックアップサービスなどを紹介した「停電・災害に左右されない「システム継続性」を迅速に確保する方法」(6位)なども上位に挙がっている。

省電力・熱対策、遠隔バックアップにも関心

 直近数カ月のホワイトペーパーダウンロードの傾向を見ると、東日本大震災や電力規制などの影響を受けデータセンターの省電力や冷却対策、遠隔バックアップサービスなどに関するホワイトペーパーも多く読まれている(関連記事:読者調査で分かった、計画停電後に企業が実施している電源対策)。

 仮想化/クラウド化が進むデータセンターにおいては、その基盤構築の要となる技術や製品に関するホワイトペーパーが注目されているようだ。今回紹介したホワイトペーパー以外にも、ホワイトペーパーダウンロードセンターでは、技術文書や製品資料、事例紹介などデータセンターに関するホワイトペーパーを掲載している。ぜひダウンロードしてご活用いただきたい。

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