使える? 使えない? OpenFlowをめぐる賛否両論注目を集めるネットワーク制御技術「OpenFlow」(後編)

前編に引き続きネットワーク制御技術「OpenFlow」のメリットを解説するとともに、スケーラビリティに対する懸念、それを解決するための動向を紹介する。

2011年08月02日 09時00分 公開
[Shamus McGillicuddy,TechTarget]

 前編「ソフトウェア定義型ネットワークを構築するOpenFlowで何が変わる?」では、OpenFlowの技術解説や製品動向について紹介した。後編では、引き続き技術的な側面を解説するとともに、スケーラビリティに関する課題について紹介する。

OpenFlowアーキテクチャはスパニングツリーの代替となるか

 Big Switch Networksの共同創業者で販売・マーケティング担当副社長を務めるカイル・フォースター氏によると、OpenFlowをベースとするソフトウェア定義型ネットワークは、仮想化に伴う変化に対応できるだけではない。OpenFlowは、コントロールプレーンをスイッチとルータから集中コントローラーに移行させることにより、高度なマルチパス転送手法を実現するという。すなわち、スパニングツリープロトコルの制約を回避するためにTRILLやShortest Path Bridgingに依存しなくても、OpenFlowコントローラー内でマルチパスフローを定義すればいいのだ。コントローラーはネットワークの全体像を保持しているので、ループの発生を防止することができる。

 フォースター氏によると、OpenFlowコントローラーはネットワークのプログラミングも可能にするという。コントローラーのAPIを公開すれば、サードパーティー各社は、OpenFlowコントローラーを利用して高度なネットワーク機能やネットワーク上のサービスを実行するソフトウェアを開発できるようになる。例えば、OpenFlowコントローラー上で機能するロードバランサを開発している研究者もいる。「セキュリティベンダーであれば、OpenFlowコントローラーに定義されたフローを通じて個々のスイッチとルータにセキュリティポリシーを適用する仮想分散型ファイアウォールや侵入防止ソフトウェアを開発できるかもしれない」とフォースター氏は語る。

 Big Switch Networksでは、ネットワーク技術者がネットワークインフラ上にマルチテナントモデルを構築するためのソフトウェアを開発中だ。これはクラウドコンピューティング環境ではとりわけ魅力的だ。技術者はBig Switchのコントローラーを利用することにより、複数の物理スイッチ上のポートで構成される仮想スイッチ作成し、それをサーバとアプリケーションの要求に対応した固定ネットワークとしてシステム管理者に提供することができる。

 「われわれがInteropで行ったデモでは、あるスイッチのポートを2個、別のスイッチのポートを5個、さらに別のスイッチのポートを7個使い、これらを統合して1つの大きな仮想スイッチを構成するというアーキテクチャを示した」とフォースター氏は話す。「ログインした管理者に見えるのは14ポートのスイッチだけだ。これらのポートがデータセンター内の複数の異なる機器に分散しているのは見えない。管理者は1台の物理スイッチ全体を所有しているように感じるが、実際にはそのスイッチは物理ハードウェア上に分散し、隔離・セグメント化されているため、管理者が仮想スイッチをクラッシュさせるような操作をしても、その下にあるハードウェアに障害が起きることはない」

OpenFlowへの期待と現実

 OpenFlowは大きな可能性を持っているが、ベンダー各社が製品をリリースして販売するまでは、このプロトコルは基本的に「科学プロジェクト」にすぎないとGartnerのファビー氏は指摘する。複数の製品が市場に登場するのは2年後になる見込みで、本格的なエコシステムが確立するまでには、かなり時間がかかりそうだ。OpenFlowベンダー各社は現在、ソフトウェア定義型ネットワークの機能を最も必要としているクラウドコンピューティングプロバイダーに狙いを定めている。しかしスケーラビリティも懸念されている。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

隴�スー騾ケツ€郢晏ク厥。郢ァ�、郢晏現�ス郢晢スシ郢昜サ」�ス

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

ネットワーク遅延の原因を追究、帯域利用の現状分析と将来予測を手軽に行う方法

リモートワークやクラウドサービスが拡大する中、ネットワーク遅延の課題を抱える企業も少なくない。通信遅延は生産性にも影響するだけに契約帯域の見直しも考えられるが、適切な帯域を把握するためにも、帯域利用状況を分析したい。

事例 株式会社マクニカ

通信コストを約4分の1削減&Web会議も快適に、事例で学ぶネットワーク改善術

在宅勤務でSIM通信を利用していたが、クラウドの通信量急増により、帯域が圧迫されWeb会議での音切れが発生したり、コストがかさんだりと、ネットワーク環境の課題を抱えていたシナネンホールディングス。これらの問題を解消した方法とは?

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VPNが「もはや時代遅れ」であるこれだけの理由

VPN(仮想プライベートネットワーク)は、セキュリティの観点から見ると、もはや「安全なツール」とは言い切れない。VPNが抱えるリスクと、その代替として注目されるリモートアクセス技術について解説する。

製品資料 アルテリア・ネットワークス株式会社

VPNの3つの課題を一掃する、次世代インターネットVPNサービスの実力

インターネットVPNサービスの市場規模は増加傾向にあるが、パフォーマンスやセキュリティなどの課題が顕在化している。VPNの利用状況などのデータを基にこれらの課題を考察し、次世代インターネットVPNサービスの利点と可能性を探る。

市場調査・トレンド ゼットスケーラー株式会社

ファイアウォールとVPN中心のセキュリティアプローチは危険? 4つの理由を解説

代表的なセキュリティツールとして活用されてきたファイアウォールとVPNだが、今では、サイバー攻撃の被害を拡大させる要因となってしまった。その4つの理由を解説するとともに、現状のセキュリティ課題を一掃する方法を解説する。

驛「譎冗函�趣スヲ驛「謨鳴€驛「譎「�ス�シ驛「�ァ�ス�ウ驛「譎「�ス�ウ驛「譎「�ソ�ス�趣スヲ驛「譎「�ソ�スPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

郢ァ�「郢ァ�ッ郢ァ�サ郢ァ�ケ郢晢スゥ郢晢スウ郢ァ�ュ郢晢スウ郢ァ�ー

2025/05/09 UPDATE

  1. 邵イ蜊ヲeams Premium邵イ髦ェ竊堤クイ蜊ヲeams陷キ莉」��Copilot邵イ髦ェ�ス遯カ諛��隰梧、巧隶匁コッ�ス遯カ譏エ�ス闖エ霈披€イ鬩戊シ披鴬邵コ�ョ邵コ�ス
  2. Copilot邵コ�ョ邵イ霆喉G邵イ髦ェ竊堤クコ�ッ�ス貅伉€ツ€Microsoft 365邵コ�ァ闖エ�ソ邵コ蛹サ�狗ェカ諛キ笏�§ツ€邵コ�ェ鬯�スュ髢シ�ウ遯カ�ス
  3. 邵イ驛。harePoint邵イ髦ェ竊堤クイ豐登x邵イ髦ェ�ス闖エ霈披€イ鬩戊シ披鴬�ス貅伉€ツ€遯カ�ス6邵コ�、邵コ�ョ郢晄亢縺�ケ晢スウ郢晞⊆ツ€譏エ縲定ア育「托スシ�ス
  4. Android霑壼現ツ€蜊ヲeams邵イ髦ェ縲定・搾スキ邵コ髦ェ�狗ェカ�ス3陞滂スァ郢晏現ホ帷ケ晄じホ晉ェカ譎�スァ�」雎趣スコ郢ァ�ャ郢ァ�、郢晢ソス
  5. PowerPoint��ス双pilot邵コ�ァ邵イ蠕鯉ソス郢晢スャ郢ァ�シ郢晢スウ髮会ソス萓ュ闖エ諛奇ス顔クイ髦ェ�ス邵コ阮呻ス檎クコ�ス邵コ螟ァ�、蟲ィ�冗ケァ�ス
  6. Teams郢ァ蜑�スス�ソ邵コ�スツ€蛛オ笘�クコ�ェ郢ァ閾・陦咲クコ�」邵コ�ヲ邵コ鄙ォ窶ウ邵コ貅假シ樒クイ蜊ヲeams Premium邵イ髦ェツ€髱エopilot邵イ髦ェ�ス鬩戊シ費シ�
  7. Android郢ァ�ソ郢晄じホ樒ケ晢ソス繝ィ陷キ莉」��遯カ諛�伯隴∝整ツ€譏エツ€阮ォffice邵イ蜥イ蛹ウ陜」�エ邵イ竏オ�ュ�」陟大�豐ソ邵コ�ッ邵コ�ゥ邵コ阮吮穐邵コ�ァ闖エ�ソ邵コ蛹サ�具ソス�ス
  8. 邵コ�ソ郢ァ阮吮�驕擾ス・郢ァ蟲ィ竊醍クコ�スツ€阮ォffice 2013邵イ髦ェ竊堤クイ阮ォffice 365邵イ髦ェ�ス邵コ�。郢ァ�ス笆イ邵コ�ィ鬯ゥ螢ケ�・鬩戊シ費シ�
  9. 陟包スケ陟主「難スッ遒托スシ�ス�シ螢ケツ€遯ェxchange Online邵イ髦ェ竊堤クイ遯ェxchange Server邵イ髦ェツ€ツ€闔ィ竏オ�・�ュ邵コ遒≫�邵コ�カ邵コ�ケ邵コ髦ェ竊醍クコ�ョ邵コ�ッ邵コ�ゥ邵コ�。郢ァ蟲ィツー
  10. Excel隰ォ蝣コ�ス諛奇ス堤ケ晏干ホ溽ケ晢スウ郢晏干繝ィ邵コ�ァ陞ウ貅ッ�。蠕後€堤クコ髦ェ�狗クイ髱エopilot邵イ髦ェ�ス陞ウ貅キ魘ィ邵コ�ッ�ス�ス

使える? 使えない? OpenFlowをめぐる賛否両論:注目を集めるネットワーク制御技術「OpenFlow」(後編) - TechTargetジャパン ネットワーク 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

TechTarget驛「�ァ�ス�ク驛「譎「�ス�」驛「譏懶スサ�」�趣スヲ 髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€鬮ォ�ェ陋滂ソス�ス�コ�ス�ス

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。