、「多くの企業が国の方針を見守りつつ待ちの姿勢を示していることが分かった」と東京商工リサーチは指摘している。
東京商工リサーチは8月10日、国内407社を対象としたIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)についての調査結果を発表した。金融庁 自見庄三郎担当大臣の発言でIFRSの今後の適用に関して不透明感が増していることから、「多くの企業が国の方針を見守りつつ待ちの姿勢を示していることが分かった」と東京商工リサーチは指摘している。
回答した407社のうち、85.3%に当たる347社はIFRS適用の検討を開始している。そのうち、300社は「適用対象となるので検討を開始している」と回答。残りの47社は「適用対象外だが検討を開始している」と答えた。適用を検討している企業で多いのは、海外企業から出資があったり、海外との取引が多い企業。IFRS適用を検討している347社のうち、222社(64.0%)は海外の企業から出資があり、249社(71.8%)は輸出入などで海外と取引があった。
一方、適用を全く検討していない企業60社では海外企業からの出資がなく、海外取引も少ないという傾向があった。製造業など輸出中心の企業はIFRS適用に積極的、国内事業が中心の企業は様子見といえるだろう。
ただ、IFRS適用に積極的で、既にIFRS適用を検討している企業でもその進捗はまだ入り口段階の企業が多い。IFRS適用を検討開始している347社のうち、203社(58.5%)は適用の第1段階である「事前調査・勉強段階」にとどまっている。第2段階の「計画段階」にいるのは35社(10.0%)、第3段階の「影響分析・評価段階」は87社(25.0%)、実行フェーズといえる第4段階の「設計段階」は20社(5.8%)、第5段階で「IFRSベースの財務諸表を暫定的に作成」しているのは1社に過ぎなかった。第4、第5段階の実行段階にいるのは合わせて6.1%となっている。
東京商工リサーチは「企業側も適用開始に向けて調査中や勉強段階とする回答が過半数を占めるなど、様子を見ながらの準備にとどまっており、積極的準備を進めている状況は見られなかった」としている。それでも、仮に当初いわれていた2015年にIFRSが強制適用される場合でも、IFRS適用対象企業と、適用対象ではないが適用の検討を開始すると答えた企業のうち、86.0%の企業は「対応可能」と答えた。
IFRS適用を検討開始している347社が実際の適用で懸念しているのは「システムやプロセスの変更」(59.1%)と「会計基準の変更関連」(32.9%)だ。会計基準の変更では、「有給引当のようにこれまで計上する必要のなかった項目への対応」や「売り上げが完成基準になることへの再対応」などが多かった。
また、既にIFRS適用を検討開始している企業でも、その大半は任意適用を行わずに強制適用まで待つ姿勢であることも分かった。IFRS適用の検討を開始している企業347社のうち、「強制適用まで行わない」という企業が最多で242社(69.7%)を占めた。「任意適用を前向きに検討」は23社(6.6%)、「状況次第で任意適用を検討」は82社(23.6%)となっていて、任意適用を検討している企業は3割程度にとどまる結果となった。任意適用を検討する理由は「国が適用させる方針だから」が36.2%で最も多かった。「会計基準としての優位性(対日本基準)」「グローバルベースでの比較可能性の向上」も理由として挙がっていた。
任意適用を検討する企業105社が考える実際の適用時期は「未定」が76社で最多。「2015年度」とする6社を合わせると82社になり、任意適用を考えている企業でも8割近くの企業は将来の適用を前提に考えているようだ。回答では任意適用を2012年度にするという企業は6社、2013年度は9社、2014年度は6社という結果だった。
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