PCI DSS準拠で実現する新しいデータ保護の概念国内外のPCI DSS最新動向【第2回】

法律による義務化で普及が広がる米国、クレジットカード悪用に対する危機感の差が見える欧州とアジア諸国など、各国でのPCI DSS普及状況、および国内の動向を紹介する。

2011年04月08日 09時00分 公開
[山崎文明,ネットワンシステムズ]

 前回「一般企業向けにも現実的になったPCI DSS」では、PCI DSSに関するここ数年の最大トピックとして、2010年10月に発表されたPCI DSSの最新バージョン「PCI DSS Version 2.0」を紹介した。今回は、国内外でのPCI DSSの普及状況や事例を取り上げる。

PCI DSS準拠の義務化で普及広がる米国

 海外でのPCI DSSの普及状況は、国ごとに大きく異なる。最も普及が進んでいるのは米国だ。米国ではここ数年、PCI DSSへの準拠を促す州法を施行する動きが相次いでいる。情報漏えいを起こしてもPCI DSSに準拠していたことが証明されれば、損害賠償を免除するなど事業者にインセンティブが働く仕組みとなっている。

 中には既にPCI DSSへの準拠を義務化した州もある。PCI DSSへの準拠を義務付けた州は、現時点ではミネソタ州、ネバダ州、ワシントン州の3州にすぎないが、いずれの州も「州内でカード決済を行う事業者」を義務化の対象としている。このことから、その州に本社が登記されていなくても、州内に店舗を構えていれば全て対象となるため、全米に波及するという見方がある。

 従って、マクドナルドやスターバックスのように全米に店舗展開しているチェーンストアのような業態では、PCI DSSへの準拠は、もはや必須となっている。また、法律で義務化されていなくても企業をPCI DSSコンプライアンスに向かわせる大きな動機付けになっているのがカード情報を漏えいした場合の莫大な金銭的損失である。

 カード情報が漏えいすることでクレジットカードが不正使用され、金銭的損失が生じることは過去から知られている。だが、それ以外にも情報漏えいを引き起こした企業が負わなければならない費用が無視できなくなっていることがPCI DSSの普及の背景にある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...