国内外で注目されるタレントマネジメント製品。今後はERPベンダーによる買収などで専業ベンダーの減少が予測される。企業は今後、どう判断して製品選定をすべきか。大手7社の動向から探る。
企業の人材を可視化し、経営戦略に沿って育成、採用するプロセスを管理するタレントマネジメント製品の市場が変化を迎えている。大手ERPベンダーによる買収などで、今後は収れんが予想されるからだ。日本企業はどのような観点でタレントマネジメント製品を選べばいいのか。ガートナージャパンのアナリスト 本好宏次氏の話から選定のポイントをまとめた。
ガートナーによると、グローバルで活動するタレントマネジメントスイート製品のベンダーは以下の7社だ。そのうち、3社は既にSAP、Oracle、IBMといったERPや業務アプリケーションの大手ベンダーに買収された。
本好氏は「今後も合従連衡は続くだろう」と予測する。かつて専業BI(ビジネスインテリジェンス)ベンダーが大手ERPベンダーに買収されたのと同じ動きで、大手ERPベンダーがタレントマネジメントをERPの今後の必須機能と定めているのが理由だ。以下ではこの7社のタレントマネジメントスイート製品がカバーする機能をまとめた。
今後、それぞれのタレントマネジメント製品で機能が手薄な領域を巡って買収や連係が起きる可能性があると予想される。例えばSAPが買収したSuccessFactorsは、コンピテンシー/パフォーマンス評価と、後継者計画の機能を自社で開発。その他の機能は買収戦略でそろえた(参考記事:オンプレミス、クラウドを自由選択、SAPタレントマネジメントの「いいとこ取り」)。これによってタレントマネジメントをスイート製品として提供できるようになった。同様の動きは他のベンダーでも起きる可能性がある。タレントマネジメント機能を持たないERPベンダーによるタレントマネジメント製品ベンダーの買収や、タレントマネジメント製品ベンダー同士の連係も考えられる。
将来が予測しづらい状況で企業が考えるべきなのは、製品選択の対象とするタレントマネジメント製品の機能が、そのベンダーの自社開発か、買収して得た機能かの確認だ。買収した機能の場合、他の機能と統合されているかどうかがチェックポイントになる。製品名は同じでも買収した機能が実質的に統合されていないケースもあり、その統合作業はユーザー側の負担となる。操作性が異なれば、エンドユーザーの定着を阻害する要因になりかねない。
また、タレントマネジメント製品を選ぶ際は、自社の既存の人材管理や給与管理システムの今後の開発方向性についても考慮したい。大手ERPベンダーによるタレントマネジメント製品ベンダーの相次ぐ買収は、「タレントマネジメントがERPの一部になりつつある」(本好氏)ことを示す。タレントマネジメント製品とERPの人材管理モジュールとの結合も今後のポイントになるだろう。「ベンダーの長期的なロードマップと、ロードマップ実現に向けた実行力を評価することが必要だ」(本好氏)
ERPベンダーによるタレントマネジメント製品ベンダーの買収は、製品選択する企業の投資動向にも変化をもたらす。これまでタレントマネジメント製品を検討する企業は、下図にあるタレントマネジメントスイート製品に含まれる機能のうち、2〜3機能程度を複数のベンダーから調達することが多かった。特に人材獲得(リクルーティング)や学習管理(ラーニング)については専業ベンダーが強かった。
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