ERPの基本モジュールの1つといわれ、企業での導入が多い人事モジュール。伝統的な給与・勤怠機能に加えて、タレントマネジメントの機能が注目されている。それに伴い複雑化する製品選択のポイントを解説する。
ERPモジュールの売り上げ別のシェアを見ると、本連載の第1回「失敗しないERPの選び方:会計モジュール編」で紹介した会計モジュールと、今回紹介する人事モジュールで約7割を占めるといわれている。販売管理や生産管理など多くのモジュールで構成するERPだが、会計と人事のモジュールは大半のERP導入企業が採用している。それだけ成熟した製品カテゴリともいえるが、その人事モジュールにも変化は訪れている。今後、人事関連のモジュールを選ぶ企業はどのようなポイントに注目すればいいのだろうか。アクセンチュアのテクノロジー コンサルティング本部 ヒューマンキャピタルマネジメント グループ シニア・プリンシパルの小河正之氏の話を参考にまとめた。
人事モジュールといっても実は大きく3つの製品に分かれる。1つは旧来から利用されてきた給与・勤怠管理の製品だ。もう1つは社員の台帳となる人材管理製品。最後が、社員のパフォーマンスやスキルを評価し、全社での人の情報をさまざまな角度から見えるようにするタレントマネジメントといわれる製品だ。ERPによってはこれらの製品を全て統合的に提供しているケースもあるし、一部製品だけを提供する場合もある。タレントマネジメントの機能だけを提供するポイントソリューションも多い。
人事モジュールの選定では、このような複数製品群をどう構成するかを考える必要がある。既に特定のERPで給与・勤怠管理や人材管理を行っている場合、同じERPが提供するタレントマネジメント機能をまずは検討するのが自然だろう。
ただ、世界各地の拠点を含めてグローバルで人材情報を管理したり、高度なタレントマネジメントを進める企業では、「脱ERP」ともいえる動きが始まっている。つまり給与支払いなどでERPの会計モジュールと強い結び付きがある給与・勤怠管理については旧来のERPをそのまま活用する一方で、人材管理やタレントマネジメントについては別のパッケージやクラウドサービスを模索するという動きだ(参考記事:クラウドERPの普及はいつ? ガートナーが示す次世代ERPの浸透時期)。
給与・勤怠管理は各国の法制度の影響を受けるため、ERPを使ってその国の事情に合わせて構築する方が合理的だ。一方、人材管理とタレントマネジメントについてはグローバルで共通にする。これによって経営層は世界のどの拠点、どのグループ会社の社員であっても共通の尺度で人材を評価することができ、人材戦略を立てやすくなる(参考記事:【市場動向】導入100億円は昔の話? ERPを高くする技術、安くする技術)。ERPを改修するとなると大プロジェクトになってしまう。人材管理、タレントマネジメントで行いたい施策が決まっているのならERPとは別のポイントソリューションを検討するのも一案だ。
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