Windows Server担当バイスプレジデントに聞く、米Microsoftのクラウド、BYOD戦略「Microsoftの管理戦略は根本的に変化した」

MicrosoftのWindows ServerおよびSystem Center担当コーポレートバイスプレジデント、ブラッド・アンダーソン氏の独占インタビュー。同社のクラウド、BYOD、OSアップデート戦略を聞いた。

2013年07月19日 08時00分 公開
[Tim Anderson,Computer Weekly]
Computer Weekly

 ITリーダーにとってますます重要な課題になっている「モバイルデバイス管理(MDM)」と「クラウドコンピューティング」。米Microsoftはこの両分野において、批評家からは「遅まきの」と形容されるであろう取り組みを進めている。

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 この取り組みの責任者が、MicrosoftのWindows ServerおよびSystem Center担当コーポレートバイスプレジデント、ブラッド・アンダーソン氏だ。本誌Computer Weeklyは、ラスベガスで開催されたMicrosoft Management Summitにおいて、同氏が指揮・管理するWindows ServerおよびMicrosoft System Centerの今後について、単独で話を聞く機会を得た。

 アンダーソン氏はまず、クラウドまたはオンプレミスのみのインフラよりも複雑になるにもかかわらず、Microsoftがハイブリッドクラウドを推奨する理由を説明した。

 「調査によると、企業の85〜90%が、複数のプロバイダーのクラウドサービスを利用する計画を立てている。大半の企業がハイブリッドクラウドに向かうのは明らかだ」

 「そこで、ハイブリッドクラウドならではの複雑さが課題になる。それを解決するのが弊社の役目だ。Microsoftは現在、できるだけ簡単に、自動的にネットワークを拡張してサービスプロバイダーやWindows Azureと連携できる機能の開発に取り組んでいる」

 IaaS(Infrastructure as a Service)市場はAmazonが支配しているように見えるが、Azureの戦績はどうだろうか?

 「この大規模なパブリッククラウドであるAzureは、半年ごとに規模が2倍になっている点に注目してほしい。2012年と比べると4倍になっている」とアンダーソン氏は言う。「Microsoftが他社と違うのは、これまでコンスタントに続けてきたプライベートクラウドとホステッドクラウドへの投資を継続しながら、パブリッククラウドにも投資をしている点だ」

VMwareを追撃するHyper-V

 パブリックであれプライベートであれ、MicrosoftのクラウドはWindows ServerとHyper-Vが基盤になる。Hyper-Vは、仮想化市場で最大のシェアを誇るVMwareにどう対抗していくのか?

 「VMwareの市場シェアは、2012年にピークに達した。現在は下り坂で、ピーク時から3〜4ポイント下落している。Hyper-Vは四半期ごとに1ポイントずつ伸びている。Hyper-Vのシェアは現在30〜31%で、VMwareは51〜52%だが、Hyper-Vは成長をしている」(アンダーソン氏)

 Microsoft Management Summitの基調講演の中で、アンダーソン氏はExchangeやSQL Serverなどの製品をHyper-Vでの運用向けに最適化していると話した。これはどういうことか?

 「Microsoftのパブリックサービスの効率と信頼性を最大限高めることを目的とした学習、構成、コーディングは、オンプレミスのクラウドプラットフォームにも適用できる。VMwareスタックを基盤にする場合は、そのようなメリットが得られない。弊社の方が、パブリッククラウドで得た教訓をプライベートクラウドに還元するという好循環を生むことができるため、信頼性や可用性が高く、効率的になるだろう」(アンダーソン氏)

私物端末の業務利用

 私物端末の業務利用(BYOD)の流れは、エンタープライズ市場のエンドユーザーコンピューティングを牛耳るMicrosoftの地位を脅かすように思えるが、アンダーソン氏によると、Microsoftは対策を講じているようだ。

 「私が見るところ、企業はBYODの解禁と会社の資産の保護を両立させることに苦慮している」とアンダーソン氏は語る。

 「Microsoftは、ユーザー、端末、ネットワークの場所を基にポリシーを設定できるようにしたいと考えている。つまり、BYODを実現したいと考えているし、業界の大半はこの方向に進んでいくと思う。ただし、企業には、増え続ける端末をどのように管理するか戦略が必要だ」

 アンダーソン氏は、BlackBerry 10や韓国Samsungが「Knox」プロジェクトで採用している、モバイル端末にコンテナを別途用意して仕事のデータと個人のデータを分けるというアプローチには否定的な立場を取る。

 「コンテナモデルは、負担が大きすぎると思う。このモデルでは、2種類のエクスペリエンスをユーザーの端末上に用意することになる。実際のドキュメント自体を保護する仕組みを提供するのが、正しい道だと考える」とアンダーソン氏はMicrosoftの見解を述べる。

 同氏は、「このようなコンテナは、業務関連のデータの周囲にフェンスを張り巡らそうとしているようなものだ。しかし、データがフェンスの外に出たら無防備になる。従って、データを保護する正しいやり方は、データ自体を保護することだ」とし、MicrosoftのInformation Rights Managementテクノロジーを挙げている。

 Microsoftは、クラウド管理サービスのWindows Intuneを使って、新たなモバイル端末対応機能をSystem Centerに追加している。iOS、Windows Phone 8、Windows RTはネイティブでサポートされるが、Androidは依然としてExchange ActiveSync(EAS)を利用する必要がある。Androidがネイティブでサポートされないのはなぜか?

続きはComputer Weekly日本語版 2013年7月10日号にて

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