AWS、Microsoft、Googleのいずれでも参考にできる
「クラウドAIサービス」の機能をAPI経由で利用する方法
主要ベンダーの「クラウドAIサービス」は、その機能を容易に利用可能にするためにAPIを提供している。APIを使ってアプリケーションにAI機能を組み込む方法に加え、その際直面する課題と対処方法を見てみよう。
人工知能(AI)技術は、今後のアプリケーション開発に重要な役割を果たすといえる。だがAI機能をアプリケーションに組み込む方法を理解するのに苦戦している開発者もいるだろう。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleなど主要ベンダーのクラウドAIサービスは、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)を提供している。こうしたAPIを利用すれば、開発者は既存のワークフローにAI機能を追加できる。ただし実際に作業を始める前に、こうしたAI機能をアプリケーションに組み込む方法を理解し、APIの利用に伴う潜在的な制限事項やデメリットを考えておく必要がある。
クラウドAIサービスの組み込み方
AI機能を組み込むプロセスは、対象のアプリケーションを記述するプログラミング言語や利用するクラウドAIサービス、データの保存場所によって異なる。
通常、最初の手順となるのは、クラウドベンダーのID・アクセス管理(IAM)サービスを利用し、APIへのアクセス権限を得ることだ。アプリケーションとクラウドAIサービスの両方が、必要なデータを利用できるようにしなければならない。
アクセス権限とストレージを正しく設定することで、クラウドAIサービスを呼び出せる。開発者が既存のアプリケーションを大幅に変える必要はない。プログラミング言語「Python」でアプリケーションを作成し、AWSのクラウドAIサービスが提供しているAPIを利用したいとする。その場合、PythonでAWSのサービスを利用するためのSDK(ソフトウェア開発キット)「AWS SDK for Python」(Boto3)をアプリケーションにインポートすると、アプリケーションからAPIを直接呼び出すことができる。アプリケーションを作成したプログラミング言語でBoto3をはじめとするAWSのSDKが利用できなくても、標準のAPIを通じてアクセスできるクラウドAIサービスもある。
クラウドAIサービス利用時のよくある課題
開発者が直面する共通の課題が幾つかある。画像・動画分析に活用できるAWSの「Amazon Rekognition」などのクラウドAIサービスを使う場合、分析する画像をインターネット経由でアップロードすると、低速のインターネット回線ではパフォーマンスが低下する恐れがある。データ転送の問題を緩和するには、データのアップロード前に不要なコンポーネントを取り除き、利用するクラウドAIサービスと同じインフラを使うクラウドサービスに、アプリケーションをホストする必要がある。
クラウドAIサービスは、特定のエコシステムにユーザー企業をロックインする設計になっている。同一のアプリケーションから複数ベンダーのクラウドAIサービスのAPIを利用するのは現実的ではない。クラウドAIサービスを切り替えると、一般的にはアプリケーションやプログラムを全面的に見直す必要があるため、簡単ではない。
クラウドAIサービスが完璧ではないということも覚えておきたい。クラウドAIサービスを利用したテキストの音声変換や画像検索では、正しい結果が得られない場合がある。クラウドAIサービスが全ての単語を正確に変換するとは限らないし、一部の画像を間違って解釈することもある。この種の間違いは、アプリケーションのエンドユーザーがデータやメタデータを手作業で入力するときにもよく起こる。開発者は、クラウドAIサービスが生成・処理するデータが不正確あるいは不完全である場合でも、アプリケーションが対処できるようにしなければならない。
結局のところ、クラウドAIサービスを利用できるとしても、利用する義務はない。さまざまなクラウドサービスのおかげで、開発者はアプリケーションにAI機能を組み込めるようになった。だが誰もがチャットbotに夢中になるわけではないし、アプリケーションのエンドユーザー全員がログインのたびに個人に合わせた商品のお薦めを受け取りたいわけでもない。ITチームはクラウドAIサービスを用いてAI機能を追加する前に、製品デザインチームと話し合い、クラウドAIサービスがエンドユーザーにとって本当に有益かどうかを考える必要がある。
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