SSDとメモリのそれぞれの分野において、IntelにはOptaneで成し遂げたい変革があった。ただし幾つかのハードルが、Optaneの普及を阻んだ。
「相変化メモリ」(PCM)の技術を基に、Intelは不揮発性メモリ「Intel Optane」(以下、Optane)を事業化した。新しいSSDとメモリに挑むこの挑戦は、結果的に終わってしまったが、この分野に関わる人に与えた影響がある。
Intelは1960年代からPCM技術の研究を続けてきた。PCM技術を利用しようとする競合ベンダーの試みを阻止するために、同社は独自の仕様をOptaneのメモリ製品に採用することにした。Optaneの事業において同社がまず製品化したのはSSDだったが、これは同製品群の量産を前にした序章に過ぎなかった。
SSDの利用者は、データ読み書きがより高速なSSDを好む傾向にある。Intelは、Optaneの技術によって高速さを売りにするSSDを提供しようとした。だがSSDのインタフェースがボトルネックになり、「3D XPoint」(Optaneの基になったメモリ技術)が実現可能な高速さを十分に引き出すことができなかった。
結果としてOptaneのSSDは、生産に見合うだけの販売数に達することはなかった。SSDの利用者は、わずかな高速化しか実現しないのなら、Intelが提示するプレミアム価格に見合う価値はないと判断した。
一方でIntelがSSDよりも重視していたのは、メインメモリとして使われるDRAM(Dynamic Random Access Memory)に近い読み書き速度で動作するメモリモジュールの提供だった。Intelはこれに当たり、独自のプロトコル「DDR-T」を開発した。これを利用するには、メモリモジュール「DIMM」(Dual In-line Memory Module)側とCPU側の両方でDDR-Tに準拠する必要がある。標準的な仕様では利用できないという意味で、言ってみれば「ウォールドガーデン」(壁に囲まれた庭)を構築するものだった。
SSDの場合とは異なり、OptaneのDIMMは、3D XPointによる読み書き高速化の可能性を最大限に追求した。Intelは2019年、プロセッサシリーズ「Xeon」の第2世代と同時に、OptaneのDIMM版を発売した。
OptaneのDIMMの問題は価格だった。企業にOptaneの採用を促すためには、一般的にはDRAMより遅いDIMMを、DRAMより安い価格で提供する必要がある。ところがOptaneのDIMMを製造するコストは、同社が市場における適正価格を目指すために必要な上限を超えていた。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。
クラウド全盛期になぜ「テープ」が再注目? データ管理の最前線を探る (2025/4/24)
データの多様化と肥大化が加速 ファイルサーバ運用は限界? 見直しのポイント (2025/4/8)
Hyper-Vは「次の仮想化基盤」になり得るのか 有識者の本音を聞く (2025/3/14)
「生成AI」の自社運用に“ちょうどよいサーバ”の賢い選び方 (2025/3/12)
クラウドストレージは便利だけど検索性が課題? 東急建設の解決策は (2025/2/25)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。