「SSD」の需要の浮き沈みはいつでも発生し得るトレンドだが、2022年以降のストレージ市場では、通常のサイクルに大きな乱れが生じた。どのような状況にあるのか。
企業が保管するデータ量の増加が続くことを前提にすると、ストレージ市場は堅調さを維持すると推測できるが、現実は違った。「SSD」が急激に売れなくなった実態が露呈したのだ。ストレージ市場に何の異変が起きているのか。
調査会社IDCのアナリストであるジェフ・ヤヌコビッチ氏によれば、NAND型フラッシュメモリは、コンシューマー向けだけではなく、企業向けの市場でも売上高が低迷している。サーバやクラウドサービスのベンダーの見方も、SSDの需要が落ち込んでいるという点で一致する。「その影響でNAND型フラッシュメモリの大幅な価格下落が起きている」(ヤヌコビッチ氏)
需要が低迷する理由の一つは、ストレージの在庫が過剰にあることだ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中、企業はストレージを必要に応じて購入するのではなく、在庫を余分に抱え込むようになった。「ストレージ部品を含むサプライチェーンが滞りがちになり、必要に応じてすぐに調達できないリスクが顕在化したことが影響した」と、ヤヌコビッチ氏は背景を説明する。
クラウドベンダーをはじめとしたハイパースケーラー(大規模なデータセンターを運営する事業者)は、特に在庫を余分に抱えている。そうした事業者は、ストレージの余剰在庫を消化している最中だ。
従業員がWeb会議を中心とするテレワークから、オフィス勤務に戻り始めている動きも需要低迷に拍車を掛けた。「企業はより多くのストレージを用意する必要がなくなり始めている」と、調査会社Objective Analysisのゼネラルディレクター兼半導体アナリスト、ジム・ハンディ氏は語る。その上でハンディ氏は「データセンターは過去数年のように急激に規模を拡大する必要がなくなった」と付け加える。
第5回は、SSDが再び売れ出すタイミングを考察する。
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