コラボレーションツール「Zoom」を提供するZoom Video Communicationsが、ジェネレーティブAI(生成AI)の活用に取り組んでいる。その目的は何なのか。具体的な機能と併せて紹介する。
コラボレーションツールベンダー各社がさまざまなコミュニケーションツールの選択肢を提示する中、Zoom Video Communicationsはエンドユーザーのニーズに応じてさまざまな製品を選択できる製品展開を進めている。それを具現化する取り組みの一つが、人工知能(AI)技術の活用だ。
Zoom Video Communicationsの創設者兼CEOのエリック・ヤン氏は、同社の2024年度第1四半期(2023年2〜4月)の決算説明会でAI活用に言及した。その内容は主に2つだった。コラボレーションツール「Zoom」の製品ポートフォリオ全体に「ジェネレーティブAI」(生成AI)を浸透させ、生産性を向上させること。もう一つは、その過程で同社製品の「カスタマイズ性の向上」を図ることだ。具体的にはどういうことなのか。
2023年5月、同社はAI技術のスタートアップ企業であるAnthropicとの戦略的提携を発表した。取り組みの一つとして、Zoom Video Communicationsの「CCaaS」(Contact Center as a Service:サービスとしてのコンタクトセンター)である「Zoom Contact Center」にAnthropicのチャットbot「Claude」を統合する。
ZoomのWeb会議機能では以下のようなAIを使った機能を使うことができる。
将来的には、Zoomのスマートコンパニオン「Zoom IQ」が会議の要約と次に取るべき行動を生成してワークフロー化することも可能になる見込みだという。営業支援機能を持つ「Zoom IQ for Sales」の開発も進んでいる。Zoom IQ for Salesは、Zoom Meetingsのアドオンだ。営業担当者と顧客との間のコミュニケーションから洞察を生成し、営業成績を向上できるように支援する。
「エンドユーザーが今日からでも利用できるAI関連の機能は既に存在しているが、効果創出という点ではまだ初期段階に過ぎない」。Zoom Video CommunicationsでEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域の責任者を務めるフレデリック・マリス氏はこう語る。
Zoom Video Communicationsが生成AIを活用するに当たっては、オフィス勤務とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークを支援することが重要だ。ハイブリッドワークを支援する上で同社は、2つの課題に取り組んでいるという。1つ目は、さまざまな場所で働き、一緒に過ごす時間を取ることが難しい従業員が、生産性とエンゲージメント(組織との信頼関係)を維持すること。2つ目は、従業員エクスペリエンス(業務における従業員の体験や経験)に可能な限り境界を設けず、シームレスな状態にすることだ。
マリス氏はこの課題を解決するために、「従業員同士がシームレスにコミュニケーションを取るための機能を1つのツール群としてまとめる必要がある」と述べる。機能の一例は、場所を選ばずに自宅やオフィスといった場所から会議室を予約したり、外出先から業務に関する要約や翻訳データを入手したりすることだ。
第5回は、コラボレーションツールの差別化を図るためにZoom Video Communicationsが注力する取り組みを紹介する。
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