HDDの「RAID」を徹底解説 よく使うRAID 50やRAID 6、非標準なあのRAIDの違い変化するRAIDの仕組み【第5回】

「RAID」はHDDやSSDのデータを保護したり、読み書き性能を改善したりするための仕組みだ。RAIDには幾つもの方法がある。定番の一つであるRAID 50やRAID 6の他、非標準のRAIDを解説する。

2024年02月26日 05時00分 公開

 ストレージの用語としてよく出てくる「RAID」(Redundant Array of Inexpensive Disks)とは、複数台のHDDやSSDを1台のストレージとして運用する仕組みだ。RAIDの仕組みは1つではなく、データ保護や読み書き性能などの要件に応じて、幾つものRAIDレベル(RAIDの種類のこと)がある。

HDDの基本「RAID」、その定番や非標準の仕組みとは

RAID 50またはRAID 5+0

 「RAID 50」は、「RAID 5+0」とも呼ばれる。このRAIDは、データを複数のHDDに分散させて書き込む「ストライピング」と、「分散パリティ」のネスト(組み合わせ)だ。分散パリティは、データを複数のHDDに分散して格納すると同時に、データを再構築(リビルド)する際に必要となる「パリティ」(2進数の誤り検出符号)を併せて書き込む方式であり、「RAID 5」の方式のことだ。要するにRAID 50は、RAID 5に「RAID 0」のストライピングを組み合わせている。RAID 50には、最低6台のHDDが必要だ。

  • 長所
    • RAID 50のデータ保護は、RAID 5よりも優れていると言える。
    • RAID 5がHDD1台の故障にしか耐えられないのに対して、RAID 50は同じRAID 5グループ内での故障でない限り、複数台のHDDに故障が発生しても耐えられる。
    • HDD1台が故障した場合、影響を受けるのはRAID 5グループだけなので、読み書き速度のパフォーマンスはRAID 5ほど低下しない。
  • 短所
    • 最低6台のHDDが必要になるため、他のRAIDレベルよりも高コストになる可能性がある。
    • より高機能なコントローラーが必要になる点にも注意が要る。
  • 用途
    • 耐障害性や信頼性が求められるアプリケーションに適する。

RAID 6

 RAID 6 は、パリティを二重に生成し、複数のHDDに分散して書き込むことで、RAID 5よりも耐障害性を高めている。データが複数のHDDに分散することでI/O(データの入出力)のパフォーマンスが向上しやすい利点も見込める。RAID 6の構成には、最低4台のHDDが必要になる。

  • 長所
    • パリティの二重化によって、2台のHDDが同時に故障してもデータ損失の防止が可能になる。
    • HDDを追加することで使用可能なストレージ容量の割合が増加する。
  • 短所
    • RAID 6はRAID 5と同様に読み書きパフォーマンスの向上が見込めるが、RAID 6はパリティを二重化することから書き込み速度がRAID 5よりも低くなる。
    • 2台のHDDを同時にリビルドする必要がある場合、パフォーマンスが大幅に低下する。
    • RAID 6はパリティ用に2台分のHDDを必要とするため、その分のコストがかかる。
    • パリティの計算と書き込み速度向上のために、RAIDコントローラー用の補助プロセッサが使われることがある。
  • 用途
    • データの長期保存に適している。
    • アーカイブやバックアップなど、大容量HDDを使用する用途に使われる傾向がある。
    • RAID 5よりもデータ保護に優れるので、重要なシステムにも使える。

Adaptive RAID

 「Adaptive RAID」(アダプティブRAID)では、パリティをどのようにHDDに保存するかをRAIDコントローラーが選択する。書き込むデータのタイプに応じて、「RAID 3」と「RAID 5」のいずれかを選択する。RAID 5は本稿でも触れた通り、分散パリティのRAIDであり、RAID 3はストライピングと専用ドライブでのパリティ保存をする仕組みだ。

RAID 7

 「RAID 7」は、「RAID 3」と「RAID 4」をベースにした非標準のRAIDレベルだ。データを一時保存するキャッシュ機能を追加した専用プロセッサを使用する。RAID 7はStorage Computerが保有するRAIDレベルであり、商標登録されている。

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