「うちは攻撃されない」の誤解こそが“被害案件の元凶”だった?セキュリティによくある5つの誤解【第1回】

セキュリティ分野では脅威も求められる対策も常に変化を続け、多様な情報が飛び交っているため、さまざまな誤解が生まれやすい。どのような誤解があるのか。誤解に付け込む攻撃の実例や対策と併せて解説する。

2025年02月19日 08時00分 公開
[Neil LangridgeTechTarget]

 サイバー攻撃が日々巧妙になる中で、セキュリティ対策は全ての組織にとって喫緊の課題だ。とはいえセキュリティを巡るさまざまな誤解があるので、正しい対策が打てずに攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)になっている組織もある。どのような誤解があるのか。本稿はセキュリティを巡る5つの誤解のうち、1つ目を紹介する。

1.「うちの会社は小さいから攻撃の標的にはならない」

 中小企業の経営者は、攻撃者は大企業のみを標的にすると考えがちだが、これは誤解だ。セキュリティ対策が不十分な中小企業ほど、攻撃の標的になりやすい。英国のセキュリティに関する政府機関である国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)によると、2022年に英国の中小企業の約4割が過去1年間に攻撃を受けていた。

実例

 マンチェスターの小規模小売店は、従業員が誤って不正リンクをクリックしたことでランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃の被害に遭った。決済システムのファイルが暗号化され、攻撃者は復号のために8000ポンド(約153万円)の身代金を要求した。この攻撃により、小売店は数週間の業務停止を余儀なくされ、大きな経済的損失を被ったという。ランサムウェア攻撃によって廃業した中小企業もある。

対策

  • 基本的なセキュリティ対策の実装
    • 強固なパスワードの設定、多要素認証(MFA)の導入、ソフトウェアの定期更新といった基本対策が重要。
  • 重要なデータのバックアップ
    • ランサムウェア攻撃を受けた際のレジリエンス(回復力)を高めるために、重要なデータの定期バックアップが必要。
    • バックアップの実施に当たっては以下の「3-2-1バックアップルール」が有効。
      • 計3つのデータ(本番データ以外に、バックアップとして2つのコピー)を保管
      • 2種類以上のストレージを使ってデータを保管
      • コピーのうち1つをオフサイト(本番拠点とは異なる拠点)で保管

 第2回は、2つ目の誤解を取り上げる。

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