Web2.0の時代を迎え、ヤフーは今後も王者として君臨できるのだろうか? ヤフーは先日、One to Oneマーケティングに最も近いといわれる「行動ターゲティング」を商品化した。この行動ターゲティングこそ、ヤフーの今後を占う重要なキー・サクセス・ファクターなのだ。(TechTargetジャパン・リポート)
インターネット広告の大きな特徴の1つは、さまざまな方法でターゲティングが行えることである。ヤフーは、このターゲティング広告に対して、最も積極的に取り組んできた企業の1つである。ヤフーのターゲティング商品の分野は実に多岐に渡る。そのターゲティング方法は多彩であり、「掲載面」「興味・関心分野」「年齢・性別・職業」「地域」などがすでに商品化されている。
そして本年7月、One to Oneマーケティングに最も近いといわれる「行動ターゲティング」がついに商品化された。Web2.0の時代を迎え、ヤフーが今後も王者として君臨できるのかどうかは、TechTargetジャパンの読者にとっても非常に興味あるところだろう。編集部は、この行動ターゲティングこそ、ヤフーの今後を占う重要なキー・サクセス・ファクターであると考えた。そこで、ヤフー広告本部にお話をうかがった。
従来からあるターゲティングがプロフィールやコンテンツカテゴリなどに基づきターゲティングをするのに対し、行動ターゲティングは、ユーザーの(正確に言えばユニークブラウザだが、本記事中はユーザーと記述)行動履歴に合わせて広告表示を行う。
「掲載面」(コンテンツカテゴリ)で分類したターゲティング広告とは、例えば自動車のサイトに自動車関連の広告を掲載するというものだ。
これに対して行動ターゲティングは、例えば自動車に興味がある人には、一定期間、そのユーザーがどのようなサイト訪れても自動車の広告を配信するというものだ。
ターゲットの選定のために、ヤフーではカテゴリグループを作成している。自動車のカテゴリであれば、自動車関連のサイトを訪れたり、「高級車」「トヨタ」「レクサス」などの検索ワードを入力したユーザーを、同一の興味関心を持つグループとして集積する(28日間)。このユーザーグループのそれぞれに対して、前述したように、一定期間、広告を行動に合わせて配信していくのである。自動車に興味のあるAさんが、ヤフー内のどのサイトを訪れようとも、自動車関連の広告が掲載されるのである。
検索ワードを利用した検索連動広告と比較すると、それぞれの利点は明確に異なる。検索連動広告は、ユーザーの興味が顕在化されているので、興味・関心に対して直接的に訴求できる。その半面、あくまでユーザーが検索しなければ情報が提示されないという問題がある。
これに対して行動ターゲティングは、カテゴリでグループ化しているので、興味・関心の部分ではダイレクト検索よりも、やや希薄だが、分野的な網羅性がある。また、周辺的な関心層、潜在顧客まで対象として含むことができるという利点を持っている。また、掲載期間も長いため、長期的な関心を獲得することも可能になる。
米国のヤフーにおいてはすでに3年前から運用が開始され、現在、四半期ベースで600社程度のクライアントが活用しているという。
日本においては、今年7月に商品化スタートしたが、1年間の試用期間を設けた。新商品の試用期間としては長い印象があるが、これは「代理店も含め、クライアント企業にその商品性格と使い方を完全に理解してもらうための期間であった」と近藤氏は語る。そのコンセプトからして、まだ日本では馴染みのない商品である。コンセプトや効果などについて十分に理解してもらわなければ、期待とのギャップにより誤解を生む可能性があるからだ。
また、市場の日米差もある。例えば、「不動産」というと日本では賃貸などの情報を思い浮かべるが、米国では基本的に不動産といえばローンが想起されるなどの違いがあり、米国で作られたユーザーグループのカテゴリを日本ではそのまま使えなかったという。
米国のビジネスモデルをそのまま持ち込み、すぐに商品化したわけではなく、日本市場に適応した商品にするために1年の歳月をかけたと言えるだろう。
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