【事例】三菱ケミカルがグローバル人材データベース整備で選んだ製品とはタレントマネジメントシステムで人材を可視化

事業のグローバル展開には海外人材の活用が鍵――そう考えた三菱ケミカルホールディングスは海外のグループ企業も含めた人材の可視化を実現するデータベースの整備を始めた。実現のために選定した製品とは。

2012年12月03日 08時00分 公開
[垣内郁栄,TechTargetジャパン]

 日本企業の海外市場開拓が続く中、人材の活用がその鍵になると考える企業が増えてきた。その実現には人材情報を一元管理し、必要な人材を迅速に探すことができる人材データベースの構築が不可欠だ。グローバル人材データベースの整備を始めた三菱ケミカルホールディングスの製品選定事例を紹介する。

三菱ケミカルホールディングスの二又一幸氏。2012年10月に開催されたワークスアプリケーションズのセミナーで講演した

 三菱ケミカルホールディングスは持ち株会社で、主な事業会社として三菱化学、田辺三菱製薬、三菱樹脂、三菱レイヨンを持つ。三菱ケミカルホールディングスの連結売上高は2012年3月期で3兆2000億円。従業員数は連結で5万3000人強。1万2000人以上が海外拠点で働く。

 三菱ケミカルホールディングスの海外売上比率は伸び続けていて、2011年度第3四半期は売り上げのうち、36.4%が海外から。同社では2015年度までに海外売上比率を45%以上にすることを計画している。「グローバル企業になるためには、グローバル人材と、個々の事業のグローバル展開をサポートするマネジメントシステムが必要」(三菱ケミカルホールディングスの執行役員 CEOオフィス部長 兼 三菱化学 執行役員 人事部長の二又一幸氏)と判断し、グローバル人材データベースの整備を決めた。

 三菱ケミカルホールディングスの主要会社はワークスアプリケーションズの「COMPANY 人事・給与」を導入している。特に三菱化学は2006年、2009年とバージョンアップも経験し、三菱化学グループ内での利用も広がっている。「今後は既に導入しているグループ企業も含めて、人事制度や給与制度の統合を目指す」(二又氏)という。

人事情報の共有を目指す

 三菱ケミカルホールディングスにおける人事管理の課題は海外グループ企業だ。国内グループ企業の人材情報はCOMPANYで統合しつつあるが、海外のグループ企業については整備が遅れている。「東京の人事部では海外のどこにどのような人材がいるのか、皆目分からない」(二又氏)。海外企業の買収も相次いで行っていて、人材管理が難しくなっている。そのため、買収した海外のグループ企業に優秀な人材がいても、適切なポストが用意できずに退職してしまうなどのリスクが想定された。仮にそのグループ企業にはポストがなくても、別のグループ企業に適切なポストがあったかもしれない。「人事情報が共有できていなかったばかりにせっかく採用し、育成した人材を逃してしまう」(二又氏)

 また、人事情報が共有できないために海外グループ企業の現地化が進まず、優秀な人材に経営を任せることができないという問題もある。経営陣は海外グループ企業の人材活用を望んでいても、情報がないために人事部が決定できない。海外での売上比率向上を目指す同社にとって「国内外の人材データベースとタレントマネジメントシステムの構築が経営の重要課題になっている」。

 グローバルで利用できる人材データベースを構築できるタレントマネジメント製品は多数ある。しかし「人材データベースを実現するために新たなシステム導入をするのには二の足を踏む」として現在のCOMPANYを拡張する方針を決めた。既にCOMPANYで人事情報の基盤を構築しているため、グローバル展開する上でも迅速に開発できるとの判断も働いた。

 「他のタレントマネジメントシステムも検討した。しかしゲームのような画面展開の製品もあり、使いこなせないと判断した。ジョブディスクリプション(職務記述書)が明確に定義できるような企業は使いこなせると思うが、われわれには無理だ」(二又氏)

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