仮想環境の事業継続製品 選定ポイント【第4回】
VMware環境に最適なDR製品の選び方 ~サイト間切り替え(グローバルクラスタ)編
代表的な3つのDR(災害対策)方式のうち、「サイト間切り替え(グローバルクラスタ)」の実装パターン、製品選定のポイントについて解説する。
今回は3つ目のDR(災害対策)方式である、レプリケーションされたプライマリデータとグローバルクラスタの仕組みを使用して切り替える「DR方式3:サイト間切り替え(グローバルクラスタ)」の概要、実装パターン、製品選定のポイントについて解説する。
DR方式3:サイト間切り替え(グローバルクラスタ)
グローバルクラスタ製品は、ローカルサイトに障害が発生した際に、リモートサイトにて複製されたプライマリデータを使用してシステムを自動/半自動で復旧させる。ローカルサイトで本番システムを運用させたまま、リモートサイトへの切り替え訓練を行うことができる製品もある。
サイト間切り替えを行うグローバルクラスタの実装パターンは、下記のように分類できる。
- VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)
- 仮想マシン上のグローバルクラスタ製品
- 「アクティブ/アクティブのボリュームミラーリング」+HAクラスタ製品
1.VMware vCenter Site Recovery Manager(SRM)
VMware vCenter Site Recovery Managerは、すべての仮想アプリケーションを対象とした統合リカバリプランの自動的なオーケストレーションと、ダウンタイムなしのテストを実現するディザスタリカバリソリューションです(ヴイエムウェアのWebサイトより)
この説明だけでは、一見何でもできてしまうように受け取れてしまう。ここでDRの仕組みを理解していると、このSRMはグローバルクラスタであることがお分かりいただけるだろう。
SRMはプライマリストレージのレプリケーション機能やストレージベースのCDPレプリケーション製品と連係し、データストア全体のレプリケーションを行い、仮想マシンのサイト間切り替えを行う。ストレージの操作はSRMが実行するので、サイト切り替えの際、管理者はストレージを操作する必要がない。
動作概要は下記の通りである。
- プライマリストレージのスナップショット/レプリケーションを実行する
- リモートサイトのレプリケーション先のボリュームを書き込み可能な状態に変更する
- そのボリュームをESXサーバへマウントし、仮想マシンをvCenterへインベントリ登録を行う
- 設定した順序で仮想マシンを起動する
仮想マシンの数が多くなると、vCenter Serverへのインベントリ登録を手動で行うことは非常に手間が掛かる。SRMはそれを自動化できるので、中大規模のDR構成では必須といえる。
しかし、SRMはVMware環境のデータ整合性については考慮しない。整合性はストレージの機能に任せている。SRMの機能ではVMwareの仮想マシンのスナップショットは自動で取得されない。整合性を考慮しなくてもよい領域、ファイルサーバ、ログ領域や、スタティックなコンテンツ領域については問題ないが、仮想マシンのOS領域やデータベース(DB)データなど整合性が必要な領域はバックアップのレプリケーションを必ず併用していただきたい。
リモートサイトへの切り替えは、NASの場合は最新のスナップショット、SANストレージの場合は、非同期レプリケーションの最新状態が使用される。整合性がとれたストレージのスナップショットが存在する場合はSRMで切り替えた後、管理者が手動でそのスナップショットに戻さないといけない。また、一部のCDP製品は、リモートサイトでSRMがどのリカバリポイントを使用するかを指定できるものがある。
2.仮想マシン上のグローバルクラスタ製品
本パターンで紹介するグローバルクラスタ製品は従来の物理環境でサイト間切り替えを実現するための製品である。仮想マシン上でのレプリケーション製品、またはプライマリストレージのレプリケーション機能と併用して構成する。ローカルサイト/リモートサイトで起動している異なる2台の仮想マシン間でアプリケーションの切り替えを行う。レプリケーションの対象はデータ領域である。プライマリストレージのレプリケーション機能と併用する場合は、共有データ領域をRDMで構成する必要があり、構成が複雑になる。
3.「アクティブ/アクティブのボリュームミラーリング」+HAクラスタ製品
アクティブ/アクティブのストレージミラーリングの製品を使用することで、サイト内向けのHAクラスタ製品で、サイト間をまたいでアプリケーションを切り替えを行うことができる。
サイト内向けのHAクラスタ製品は、下記の3種類がある。
- 仮想マシン間HAクラスタ
- vSphere HA
- vSphere HA+アプリ監視
それぞれの詳細の説明は、連載「仮想環境のHAクラスタ製品 選定ポイント」を参照していただきたい。
第2回~第4回で、DR方式「バックアップデータの遠隔地保管」「サイト間切り替え」の実装パターンとそれぞれの製品選定のポイントについて紹介した。多くの実装パターンがあり、複雑に思われた方も多いと思う。次回は、構成や運用をシンプルにするための推奨構成や各パターンについて、各社からリリースされている製品を比較する。
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仮想環境の事業継続製品 選定ポイント
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