複雑なシステムはもうあり得ない
徹底比較:ハイパーコンバージド vs. コンバージドシステム、企業ITの次の覇者は?
ITシステムの統合が進めば、データセンターのIT管理者の作業量は減る。だが、あなたの勤務先にとって、ハイパーコンバージドインフラとコンバージドインフラは正しい選択肢なのだろうか。
その場しのぎのデータセンターシステムをまとめ、複雑なハードウェア、ソフトウェア、データの統合に悪戦苦闘する日々は急速に終わりが近づいている。ITインフラのコンバージェンス(収れん)は、ハイパーコンバージドインフラやコンバージドインフラという形で進んでいる。データセンターシステムにとってそのメリットは明白だ。
統合されたコンピューティング、ストレージ、ネットワーク装置を単一の設備として導入すると、企業はより大きな価値と高い効率性を認識する。ITインフラの収れんは、さまざまなメーカーのデータセンターITシステムサービスをまとめて、事前に統合するという範囲を大きく超えている(下図参照)。専門分野に特化した企業に加え、ストレージやサーバ、仮想化など従来のIT分野のベンダーも、ハイパーコンバージドインフラ/コンバージドインフラの考え方を受け入れている。ベンダー各社は企業のあらゆるコンピューティング関連ニーズの単独の供給元になるべく競っている。
関連記事
ハイパーコンバージドとは?
- バズワードで終わるのか? アナリストに聞く“ハイパーコンバージド”の意義
- “ハイパー”って何? 注目IT製品「ハイパーコンバージドシステム」の謎
- 今さら聞けない「コンバージドインフラ」と「“ハイパー”コンバージドインフラ」の違い
ハイパーコンバージドの用途
ハイパーコンバージド製品について
- ハイパーコンバージドの主要3製品比較: Nutanix vs. VMware vs. SimpliVity
- 5分で分かる「ハイパーコンバージドシステム」の仕組みと主要製品
- 2015年、「失敗しない仮想化技術選び」の答えは“コンバージド”?
Nutanixの事例
EVO:RAILを知る
ハイパーコンバージドインフラとコンバージドインフラを採用するタイミング
データセンターはコンバージドインフラの採用に消極的だった。それは、このシステムの融通が利かない性質に原因があった。他のサーバやストレージのリソースがまだ利用できる状況でなぜコンバージドインフラに投資するのだろうか。従来型の統合インフラからコンバージドインフラに移行することが困難な場合もある。
例えば、従来型のサーバで実行しているアプリケーションは、コンバージドインフラのストレージにアクセスできないかもしれない。他にも、CPUの数に対するディスクの数などのリソースの比率に関し、コンバージドインフラで享受できる柔軟性より高い柔軟性が必要な企業もある。また、コンバージドインフラに関わるベンダーからの関与が密接になることを快く思わない企業も存在する。
コンバージドインフラの支持者は、データセンターを刷新するプロジェクトを進めることを強く主張していた。「仮想化が進んでいるデータセンターやプライベートクラウドに目を向けている企業では特に必要だ」と主張した。ベンダー各社は、自社のサービスの収れんレベルを高めることで、データセンターの顧客を引き付けてきた。
| テクノロジー | 概要 | データセンターにとってのメリット | このアプローチの制約 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 統合 | 統合は異なる機器を一体となって機能させることである。サーバ、ネットワーク機器、ストレージシステムなど、さまざまなベンダーから購入したデバイスが対象になる | ITアーキテクトとIT管理者が、IT機器やソフトウェアの組み立て、接続、構成、最適化を行うという企業における従来のコンピューティングのジレンマが解消される | ・機器とソフトウェアはネイティブに連係しないため、統合プロセスにはコストや時間がかかる可能性がある ・データセンターに機器などを新たに追加するたびに追加作業が必要になる |
コンサルタント、付加価値再販業者、ITインテグレーターなどが統合を行う |
| コンバージドインフラ | 基本的なコンピューティング機器、ストレージ機器、ネットワーク機器を事前にベンダーが組み立てて統合し、一般的な物理筐体に組み込んで単一の製品サービスとして提供する | ・少ないエラーでデータセンターへの導入が促進および簡略化される ・パフォーマンスとリソース利用効率を強化できる。共通の管理インタフェースが用意されており、試行錯誤による転換期がない ・単独のベンダーがサービスの提供とサポートを行う |
・ベンダーは統合に手を貸してくれるが、専用のハードウェアと管理ソフトウェアの代金は依然としてユーザーが支払う ・ベンダーによるコンバージドインフラ筐体の機能セットの更新頻度がベンダーの他の製品よりも遅い場合がある |
・米Dellの「Dell Active System」 ・日立製作所「Hitachi Unified Compute Platform」 ・米Hewlett Packard Enterprise「HP ConvergedSystem」 ・米IBMの「IBM PureFlex System」 ・米Cisco Systemsと米NetAppの「FlexPod」 ・米Oracleの「Oracle Private Cloud Appliance」 |
| ハイパーコンバージドインフラ | ソフトウェアベースでソフトウェア駆動型のアーキテクチャを採用したコンバージドインフラで、ベンダーが運用にホワイトボックスサーバなどの汎用(はんよう)ハードウェアを使用する | ・ユーザーは、各種コンピューティング機器、ストレージ機器、ネットワーク機器をシームレスに管理して拡張できる ・バックアップ、データ重複除去、WAN高速化、SSDストレージ、SSDキャッシュなど、非常に多くのサービスが統合される |
筐体の数を追加するだけで容量が拡張される。ただし、データセンターはさまざまなベンダー製の管理ソフトウェアやアプリケーションに最適なハードウェアを選択できなくなる | ・米VMware「EVO:RAIL」 ・米SimpliVity「OmniCube」と「OmniStack」 ・米Nutanix「Acropolis」と「Prism」を使用した「Nutanix Xtreme Computing Platform」 ・米Maxta「MxSP」と「MaxDeploy」 ・米Scale Computingの「HC3」とHC機器 |
データセンターにとってハイパーコンバージドインフラはまだ新しい。だが、製品は急速に成熟しており、企業のIT管理者が求めるスケールと管理容易性を満たしている。ハイパーコンバージドインフラは、広範な技術的根拠と投資利益率の目標次第でどの企業でも採用される可能性がある。だが、一部の共通の原動力が、ハイパーコンバージドとコンバージド、従来型のIT導入への関心を後押ししている。
ハイパーコンバージドインフラとコンバージドインフラの採用について、恐らく最も重要な原動力となっているのは、サーバやデータセンターを統合するプロジェクトの継続的なニーズだろう。統合で活用されるのは仮想化だ。仮想化によって、はるかに少ない台数の物理サーバでずっと多くのワークロードが処理できるようになる。老朽化したデータセンターが閉鎖され、リモートデータセンターが廃止または刷新され、企業が一部のワークロードをクラウドに移行しているため、統合の機会はあふれている。
ハイパーコンバージドインフラには、広く浸透する原動力がもう1つある。それは、運用環境で既に稼働している他のリソースを刷新またはリフレッシュすることなく、企業の重要な新しいテクノロジーをサポートすることだ。例えば、多くのリソースを消費することで悪名高い仮想デスクトップインフラ、新しいアプリケーションやソフトウェアのリリース用のテスト/開発ラボなどだ。また企業は、既存の環境ではサポートが困難な要件の厳しいアプリケーションをサポートするために、ハイパーコンバージドインフラに目を向けている。ハイパーコンバージドインフラは、追加のハードウェアをリフレッシュしたりまとめたりすることなく、重要な新規導入をサポートするためのすぐに使える手段になり得る。
ハイパーコンバージドインフラは、これまで企業のIT部門で弱点とされてきた領域も改善する。例えば、ハイパーコンバージドインフラには、バックアップやスナップショットなどの災害復旧ツールが組み込まれていることが多く、データ保護と災害対策が簡略化される。また、ハイパーコンバージド製品によって、まとまりのない各種システム管理ツール一式も置き換えることができる。コンバージェンスによって、多種多様なツール群を使用し、HTTP経由でWebベースの個々のスイッチ機器の設定にアクセスし、ベンダー指定の管理ユーティリティなどのエラーが発生しやすい難解なセットアップを学習するという煩わしさから解放される。単一のインタフェースで、プロビジョニング、監視、リポートなどの機能を扱うことができる。ハイパーコンバージドインフラを追加したり、リモートに配置したとしても、それらを全て1つの統合システムとして管理可能だ。
特定のプロジェクトを機に、ハイパーコンバージドインフラをデータセンターに導入する場合は多い。だが、データセンターのさまざまな要素が経年劣化してリフレッシュの対象になったら、既存の運用ワークロードをハイパーコンバージドインフラに移行することを検討する価値はあるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] なぜAIを導入しても効果が出ない? 組織全体で使いこなすための仕組みとは -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] ネットワーク全体を見える化、フロー分析で実現する広域監視と迅速な異常検知 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] SNMPより詳細で、パケット解析より簡単な「トラフィック可視化・分析」の方法 -
製品資料
[プログレス・ソフトウェア・ジャパン株式会社] 重要性を増す“侵入後の可視化” どのように実現すればよいのか? -
市場調査・トレンド
[クラウドストライク合同会社] 回避型攻撃が急速に拡大、連鎖する攻撃を防ぐためのアプローチとは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
負の遺産ではない! 今こそメインフレームを再評価すべし
-
6
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
7
毎日2時間の“無駄”を生む「紙とExcel」管理 田中精密工業はどう脱却したのか
-
8
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
9
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
10
IT製品の導入に関するアンケート「セキュリティ」編
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
3
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
4
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
5
顧客対応自動化の要点:RAGとデータ連携で“業務で使える生成AI”にする方法
-
6
マンガで解説:情シスの負担を減らす「MDRサービスのインシデント対応」の中身
-
7
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
8
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
9
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
10
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー