「プロプラはダメ」イタリア国防省のLibreOffice採用でオープンソース利用が加速プロプライエタリ製品の利用は例外的になる

イタリア国防省が、15万台のPCでMicrosoft OfficeからLibreOfficeへのリプレースを決定。プロプライエタリ製品の利用を事実上禁じる法律によって、公共機関のオープンソース利用が拡大している。

2015年12月18日 08時00分 公開
[Piero MacriComputer Weekly]
Computer Weekly

 イタリア国防省は、使用している15万台のPCに搭載するOfficeスイートを「Microsoft Office」から「LibreOffice」にリプレースする。LibreOfficeの導入例としては、ヨーロッパで2番目に大きい規模となる。

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 このリプレースはイタリアでLibreOfficeを推進する団体「LibreItalia Association」が2015年9月に発表したもので、2016年末までに完了させる計画だ。これに伴い、同省の文書の標準フォーマットも「Open Document Format」(ODF)に変更されるという発表があった。

 イタリアの政府機関が調達方針を変更したことで、他の組織にもこれが波及する可能性がある。例えばイタリア政府の一機関「Agenzia per l'Italia digitale」(AGID:政府機関デジタル化局)は、他省庁も同様のオープン化戦略に追随することを期待している。

 この方針転換は、プロプライエタリなソフトウェアへの依存からの脱却だけでなく、データを今後ODF形式で蓄積していくことも意味するものだ。

 LibreItalia Associationは、政府職員に対してLibreOfficeの操作方法の研修を実施し、職員がオープンソースソフトウェアを使い始めるための最大の障壁の克服を支援する。米Microsoft製品に親しんできた政府職員は、現在直面している変化を受け入れなければならない。

オープンソースソフトウェア採用の壁を克服

 「例によって、最大の課題は変化に対する抵抗感だ。職員は皆Microsoft Officeに慣れている。長年使い続けていると、ほとんど中毒のようになるからだ」と語るのは、LibreOfficeを支持する非営利団体「The Document Foundation」(TDF)の共同設立者であるイタロ・ヴィニョーリ氏だ。

 「(リプレースの)障壁は技術的なものではなく、心理的なものだ。相互運用性の問題は解決できるが、今まで長年続けてきたやり方を変えることの心理的な抵抗を克服するのは、なかなか厄介だ」

 結局重要なのはコミュニケーションで、組織内と対外的な行動の両方が必要だとヴィニョーリ氏は話す。TDFは「移行プロトコル」をまとめて公開している。これは、プロプライエタリなソフトウェアからフリーソフトウェアへの切り替えを希望する組織が実施するべき手順のガイダンスとなるものだ。

 「移行プロトコルはLibreOfficeをベースとしてまとめたものだが、特定の製品に関係なく、あらゆる移行プロジェクトに応用できる」と同氏は説明する。

LibreOfficeはMicrosoft Officeよりも望ましい選択肢

 イタリア国防省は、オープンソースのOfficeスイートへの切り替えを表明したイタリア初の中央官庁となった。

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