主要なセキュリティニュースをピックアップ
“アンナ先輩”の「Mirai」がより凶悪に? DDoS攻撃を約50倍に増幅する手口が判明(1/3 ページ)
一国のインターネットをダウンさせるなど、引き続き猛威を振るうマルウェア「Mirai」。その攻撃を増幅する攻撃手法が判明し、警戒は怠れない状況だ。他のセキュリティ関連ニュースと合わせて最新動向を解説する。
アフリカ西部の小国リベリアで2016年11月初めに、全国規模のインターネット接続障害が発生した。マルウェア「Mirai」を使った、モノのインターネット(IoT)に対するボットネット攻撃に見舞われたもようだ。同年10月に米国のDNS(ドメインネームシステム)サービス大手Dynが同様の攻撃を受けたときと同じボットネットから、攻撃が仕掛けられた可能性がある。
リベリアでインターネットにつながらないトラブルが大規模に発生したのは、強力な分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が同国のインターネットサービスプロバイダー(ISP)を襲ったからだ。これらのISPは1本の基幹インターネットケーブルを共有して全国にサービスを提供している。
数人の専門家が、この攻撃ではMiraiによるボットネットが使われたと指摘している。例えば英国リバプール在住のセキュリティアーキテクト、ケビン・ボーモント氏によると、攻撃に使われた「#14」というMiraiボットネットは、DynのDNSサービスに対するDDoS攻撃を仕掛けた攻撃者によってコントロールされている可能性があるという。Miraiは最近、ハッキングコミュニティーで「Anna-senpai」(アンナ先輩)というユーザーがコードを公開したことで話題となった。
併せて読みたいお薦め記事
「Mirai」についてもっと詳しく
「DDoS攻撃」についてもっと詳しく
さらなる攻撃のためのテストか
1週間にわたって、リベリアのインフラに対する断続的な攻撃が続いた。ISPは、攻撃時に500Gbps以上のトラフィックが送信されていたことを認めているという。「個々の攻撃は短時間しか続かなかったが、最大のMiraiボットネットから攻撃が仕掛けられた」とボーモント氏は語る。同氏によると、このボットネットを管理しているドメインはDynに対する攻撃の前からある。ただし規模は、DDoS攻撃に使われてきたボットネットの中でも「過去最大級」(同氏)だという。このボットネットの所有者は、トラフィック量から判断して、Dynを攻撃した攻撃者だと同氏はみる。
ボーモント氏はリベリアに対する攻撃について、さらなる攻撃のためのテストだった可能性を指摘する。「今回の攻撃は極めて憂慮すべきことだといえる。Miraiを操作している攻撃者が、一国のシステムに重大な被害を与えるだけの力を持っていることを示しているからだ」(同氏)
Linux/IRCTelnet:新手のIoTボットネットマルウェア
一方でIoTを狙った新手のボット「Linux/IRCTelnet」も出現しており、これはMiraiよりも厄介な可能性がある。Linux/IRCTelnetは「unixfreaxjp」というハンドルネームで知られるセキュリティ研究者のブログで解説されている。Linux/IRCTelnetは、サーバを介したチャットシステムであるIRC(インターネットリレーチャット)を使ってDDoS攻撃を実行できる。Miraiと同様に、遠隔操作プロトコルTelnetのパスワード認証に対するブルートフォース(総当たり)攻撃によって、LinuxベースのIoTデバイスを乗っ取ることができるという。
unixfreaxjp氏によると、Linux/IRCTelnetの構造は興味深い。他のボットネットマルウェアの要素や技術を組み合わせているからだ。例えばunixfreaxjp氏が発見したものとして、「Kaiten」とその亜種である「Tsunami」や「Linux.Gafgyt」(別名「GayFgt」「Bashlite」など)で使われている技術に加え、Miraiボットネットにハードコード(コード内に直接記述)されたIoTデバイスの認証情報リストの使用例がある。
このボットネットは、リアルタイム通信の主要手段であるUDPパケットを大量に送りつける「UDPフラッド」、サーバに対して大量のTCP接続待ち状況を発生させる「SYNフラッド」といったサービス妨害(DoS)攻撃メカニズムを活用する。その他、IPv4またはIPv6での特殊なIPスプーフィング(IPアドレス偽装)のオプションを持っているとunixfreaxjp氏は説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] クラウドネイティブ戦略ガイド:8つの主要課題と解決策を解説 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] プラットフォーム技術者のための「クラウドネイティブ」プレイブック -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] ハイブリッドクラウドでハードウェア価格高騰のリスクを回避する方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] AI時代に必要なインフラモダナイゼーションの考え方とは? -
製品レビュー
[Dropbox Japan株式会社] ランサムウェア対策で見直したい「復旧できるファイル基盤」とは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
2
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
3
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
4
「IBM i(AS/400)はクローズドなシステム」という誤解 DXに寄与する一歩
-
5
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
6
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
9
「野良Excelマクロ」に悩むSMBC日興証券が導き出した内製化の“現実解”
-
10
経営幹部が期待を膨らませる「AIエージェント」は何に使えるのか? 活用例5選
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー