「GPU」(グラフィック処理装置)は、画像を描写するための演算処理をするプロセッサだ。GPUは、データセンターのサーバにも、PCにも組み込まれることがある。GPUの当初の利用目的は、画像やアニメーション、映像のレンダリング(描画)だったが、より幅広い用途に使われるようになった。(続きはページの末尾にあります)
GPU(グラフィックス処理装置)の本来の役割はCPU(中央処理装置)を補完することだったが、現在ではGPUがAI関連のタスクを実行するための不可欠な存在となっている。GPUのどのような仕組みが生かされているのか。
グラフィックスを処理するために生まれた「GPU」は、いまやAI関連を含めて汎用(はんよう)的に使われるようになった。GPUを選ぶ際は、どのような要素を考慮して判断すればいいのか。
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GPUのリソースを有効に活用してAI技術の処理を実行するには、従来のインフラ設計とは異なる観点が求められる。GPUの効果的な活用を模索している研究機関CERNによる取り組みと、GPU活用の要点とは。
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GPU不足が深刻化する中、企業では組織やプロジェクト間のリソース争奪戦が起きている。この問題の解決に役立つのがNVIDIAの「KAI Scheduler」だ。GPUリソースの効率的な管理をどのように実現するのか。
経済安全保障推進法に基づく「特定重要物資クラウドプログラムの供給確保計画」について経済産業省から認定を受けた3社が、今後も高まるGPU需要に応えるための体制構築に着手した。
ビジネスPCに「AI PC」という選択肢が加わった。AIの進歩を前に、今のうちに“AIネイティブなPC”を手元に置いておくのが賢い選択だろう。自社に適したPCの見極め方について「プロセッサ」に焦点を当てて解説する。
メモリモジュール規格「DIMM」と「SO-DIMM」の違いは何か。近年台頭しつつある「CAMM」が両者に与える影響と併せて解説する。
AIチップの需要が急上昇している中、その裏で深刻化するのが使用済みチップの処理問題だ。なぜAIチップのリサイクルは難しいのか。その実態に迫る。
仮想メモリとは、現代の効率的なコンピューティングの基礎を成す技術の一つだ。メモリが不足してもパフォーマンスが落ちないその仕組みとは、どのようなものなのか。
希少資源の枯渇や電子ごみ問題など、AIチップ製造は環境面での課題を抱えている。環境負荷を減らしたAIチップ製造を実現するために必要な取り組みとは。
IntelがAI関連のタスクを処理することを前提にしたプロセッサを正式発表するなど、ノートPCの分野に新たな風が吹いている。これからノートPCとプロセッサを選ぶ際は、何を基準にすればいいのか。
Intelが2023年12月に正式に発表したプロセッサ新シリーズは、AI技術関連のタスクをこなすことを念頭に置いている。「NPU」を搭載するこのプロセッサの“革新的な点”はどこにあるのか。
TSMCによるIntelの製造事業立て直しができるのかどうかに関しては、さまざまな意見が出ている。実現すれば業界中に波及すると考えられるその影響を検討する。
Intelはデータセンター向けCPU「Xeon 6」新モデルで何を目指すのか。価格転換と専用アクセラレーターで、Intelは再び主導権を握れるのか。
NVIDIAは、AI向けGPUの強い需要を背景に、好調な業績を継続している。2025年後半には、GPUアーキテクチャ「Blackwell」のさらに高性能なバージョンを投入する計画も控えている。同社の事業は今後も順調に進むのか。
CPU(中央演算処理装置)と同様、GPUも演算処理のための部品だ。CPUとGPUの重要な違いの一つは、GPUが画像の描写を高速で実行し、PCやスマートフォンなどの端末に画像や動画をスムーズに表示するために設計されていることだ。
GPUを搭載した電子機器は、3D(3次元)グラフィックスやビデオコンテンツを高速でレンダリングできるため、ゲームや3Dモデリングソフトウェアでの利用に適している。GPUの技術的な進化によって、今ではより多様な用途に使用できるようになっている。GPUは現在、クリエイティブなコンテンツ制作やビデオ編集、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、人工知能(AI)技術などのアプリケーションでデータ処理をするために使用されている。
コンピュータの黎明(れいめい)期は、CPUが2D(2次元)や3Dの画像、アニメーション、ビデオのレンダリングなど、画像の処理に必要な計算を実行していた。しかし画像処理を多用するアプリケーションが開発されたことで、その要求は次第にCPUに負担を掛け、コンピュータ全体のデータ処理速度を低下させるようになった。
GPUは、画像処理のタスクをCPUの代わりに引き受ける方法として開発された。GPUは、画像処理に関連する並列計算を高速に実行する。GPUが画像処理を実行するため、CPUはコンピュータの稼働に必要な他のタスクを処理できる。
GPUは搭載する複数のコア(演算処理を担う部品)が単一タスクの別々の部分を同時に処理する、並列処理と呼ばれる方法で動作する。GPUは、処理中のデータを保存するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)を搭載している。このRAMは、GPUに入力される大量の情報を保持するために設計されている。
画像処理を必要とするPCアプリケーションの場合、CPUが画面に画像を描画するための命令をGPUに送る。GPUは並列処理で高速にその命令を実行し、画像をPC画面に表示する。
GPUはビデオゲームの処理に広く使用されている。低遅延かつ高画質なレンダリングを可能にしている。最近のGPUは初期のGPUよりもプログラムがしやすくなっていることもあり、幅広いタスクに利用できるようになっている。その代表的な例は、AIアプリケーションの高速化や機械学習だ。
GPUの一般的な用途には、以下のようなものがある。
近年、GPUはビットコインやイーサリアムなど暗号資産(仮想通貨)の採掘(マイニング)にも使われている。GPUはマイニングに必要な高速の並列計算を実行できる。CPUしか搭載していないノートPCでは、この作業を実行することは難しい。
一般的にGPUには2つのタイプがある。
内蔵GPUはコンピュータのマザーボードに組み込まれている。CPUと同一のマザーボードに載せることもできる。GPUとCPUを組み合わせることで、GPUを組み込むためのスペースが少なくて済むため、小型化と軽量化が可能になる。
内蔵GPUはシステムの消費電力やデバイスのコストも削減できる。しかしGPU内蔵のノートPCはアップグレードできない場合があるため、エンドユーザーのニーズが変わると、新しいデバイスに投資しなければならなくなる可能性がある。
GPUを内蔵したPCはゲーミングPCとして販売されている。ゲーミングPCは、ゲームのグラフィックスを遅延なく描画し、ゲーマーのプレイ体験を向上させる。
ディスクリート(専用)GPUは、サーバやPCなどの筐体(きょうたい)の内部で、CPUとは別の独立した回路基板に搭載されたGPUのことだ。取り外し可能なグラフィックカードの形でハードウェアに組み込まれる。
内蔵GPUと比較して、ディスクリートGPUはデータの処理速度が高い傾向にある。そのため3Dゲームなど、リソースを大量に消費する高性能なアプリケーションにディスクリートGPUは適している。ユーザーのニーズの変化に応じて、PCを買い替えなくても、GPUのみのアップグレードができるという利点もある。しかし内蔵GPUよりも多くの電力を消費する。内蔵GPUと比較して発熱が大きい傾向にあるため、十分なデータ処理能力を維持するためには、専用の冷却装置が必要になる。
クラウドGPUは、GPUを物理的に用意して利用する方法に代わる選択肢として台頭しつつある。クラウドGPUは、クラウドベンダーが提供する仮想GPU(vGPU)サービスを指す。Amazon Web Services(GPU)やGoogleといったさまざまなクラウドベンダーがクラウドGPUを提供している。クラウドGPUを利用することで、GPUの利用に必要なハードウェアやソフトウェアをオンプレミスインフラに導入する必要がなくなる。
大規模な計算能力を必要とする企業や、機械学習、3Dビジュアライゼーションを扱う必要がある企業に、クラウドGPUは適している。
クラウドGPUを利用することで、オンプレミスインフラのリソースを解放し、導入にかかる時間とコストを節約し、スケーラビリティを向上させられる。ユーザー企業は、ニーズに合わせてさまざまなクラウドGPUのタイプを選択できる。
エンドユーザーは3DレンダリングやAIモデルの学習、ゲーム、医療画像、金融リスク管理、生成AI(ジェネレーティブAI)、HPC、BI(ビジネスインテリジェンス)などのアプリケーションを実行するために、WebブラウザからオンデマンドでクラウドGPUを利用できる。
GPUはPCやサーバのマザーボードなど、CPUと同じ回路基板に組み込まれている場合がある。GPUとCPUの構造は似ている。しかしCPUはコンピュータを駆動するための基本的な命令に応答して処理するために使用されるのに対し、GPUは高解像度の画像や動画を素早くレンダリングするために設計されている。
CPUはコンピュータの基本的なコマンドを処理する役割を担う。GPUはより複雑な数学的・幾何学的計算を実行し、画像のレンダリングや集中的な計算を必要とするアプリケーションに使われる。
CPUとGPUは、コアと呼ばれる処理装置の数とトランジスタの数が異なる。各コアはそれぞれのタスク(スレッド)を処理する。CPUは1つのプロセッサにつき数個から数十個ほどのコアで、タスクを順次実行する。これに対してGPUは、数百個から数千個のコアを持ち、並列処理と高速なデータの出力を可能にする。
シングルコアのCPUは通常、並列処理の機能を持たない。マルチコアは、複数のコアを同じチップに搭載することで並列計算ができる。
クロック周波数(動作の速さ)ではCPUはGPUよりも速い傾向にあり、個々の計算を素早く実行できる。そのためCPUは基本的な計算タスクを処理するのに適している。
GPUとグラフィックボード(ビデオカード)は、同じ意味で使われることがある用語だ。主な違いは、GPUがグラフィックボードを構成する要素であることだ。グラフィックボードは、ディスプレイに画像を表示させるために必要な処理を担う部品を指し、GPUに加えてメモリや出力端子などで構成される。