「脆弱性対策」丸分かり 比較、事例、解説記事を紹介

ユーザー企業のIT担当者を対象に、IT製品/サービスの導入・購買に役立つ情報を提供する無料の会員制メディア「TechTargetジャパン」。このコンテンツでは、脆弱性対策に関する事例、比較、解説の記事を紹介します。製品/サービス選定の参考にご覧ください(リンク先のページはPR記事を含みます)。

脆弱性とは何か 「脆弱性対策」の具体的な方法も説明

 ITにおける脆弱(ぜいじゃく)性とは、ソフトウェアに含まれる、セキュリティ侵害の起点になり得る欠陥を指す。侵入者は脆弱性をサイバー攻撃経路として悪用することで、標的のシステムで悪意のあるプログラム(マルウェア)の実行や、メモリへのアクセスができるようになる。(続きはページの末尾にあります)

脆弱性対策関連の比較

脆弱性診断ツール「Nessus」「OpenVAS」「Burp Suite」「Snyk」「Intruder」を比較する

システムに潜む脆弱性を検出するために役立つのが「脆弱性診断」ツールだ。数ある脆弱性診断ツールの中から、“使えるツール”を5つ紹介する。

(2023/6/23)

脆弱性診断ツールを比較 無料の「OpenVAS」とWeb特化の「Burp Suite」とは?

システムに存在する脆弱性は「脆弱性診断」ツールを使うことで見つけやすくなる可能性がある。主要な脆弱性診断ツール「Open VAS」「Burp Suite」の特徴とは。

(2023/1/25)

「Python 3」と「Python 2」の“決定的な違い”とは?

「Python 2」と「Python 3」にはさまざまな違いがある。ペネトレーションテストでの「Python」活用を推奨する有識者が、特筆すべき両者の違いを解説する。

(2022/2/2)

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脆弱性対策関連の事例

Meltdown&Spectre用の「偽の修正パッチ」に注意

MeltdownとSpectreの脆弱性がついに悪用された。それは、偽の修正パッチを配布してマルウェアに感染させるというものだった。

(2018/3/8)

「最悪のシナリオ」対策とメール監査体制構築のススメ

メールに起因する最悪の事態は常に起こり得る。こうした事態の対策と、開封確認メッセージを利用して「メール監査」ができる体制を作っておこう。GDPRに順守しつつ、組織を守る一助となる。

(2017/11/22)

セブン銀行が不正口座対策で“脱Excel”を実現、その具体策とは?

振り込め詐欺や還付金詐欺に利用される「不正口座」を早期に見つけ出すため、さまざまな対策を実施してきたセブン銀行。被害の未然防止に向け、より広い視点で口座の動きを解析するために着手したこととは。

(2017/11/9)

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脆弱性対策関連の製品解説

ランサムウェアに悪用された“Windowsの穴”とは? パッチで直らない脆弱性も

2025年4月8日、Microsoftは同社のサービスに存在する126件の脆弱性を公開した。すでに悪用が確認されたものも含まれている。特に危険性の高い脆弱性と、取るべき対処を紹介する。

(2025/5/12)

セキュリティ対策にAIが使える「Microsoft Security Copilot」の実力は?

セキュリティ分野で人工知能(AI)技術を使った自動化による業務効率化が期待されている。「Microsoft Security Copilot」を使えば、何がどうよくなるのか。その活用法を解説する。

(2024/12/12)

P R2024年版脅威レポート(DBIR)で知る、今取るべきセキュリティ対策とは

サイバー攻撃は巧妙化を続けている。最新の攻撃の動向を知らないと、防御することは難しい。本資料で紹介する、世界94カ国、3万458件のセキュリティインシデントを分析した2024年版脅威レポート(DBIR)から、取るべき対策を探ってほしい。

(2024/9/30)

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脆弱性対策関連の技術解説

SAPやSamsung製品も安全ではない? 増え続ける脆弱性の実態と緊急度

攻撃者による脆弱性の悪用は後を絶たない。2025年前半に明らかになった脆弱性にはどのようなものがあるのか。SAPやSamsung Electronicsといった大手ベンダーの製品に関する脆弱性を含む3件を紹介する。

(2025/6/3)

“PC乗っ取り”の恐れも Microsoft製品の危険な「ゼロデイ脆弱性」とは

広く普及しているMicrosoft製品に、幾つかの重大な脆弱性が見つかった。攻撃者が悪用すると、システムを完全に制御して機密情報を漏えいさせる可能性がある。影響を受ける製品やサービスは何か。

(2025/6/2)

CVE管理体制が大幅転換? IT部門担当者がやるべきことはこれだ

米国立標準技術研究所が、脆弱性情報の更新方針を一部変更すると発表した。さらに、脆弱性識別子を管理する新たな組織が発足した。この混乱にIT部門担当者はどう臨めばいいのか。

(2025/5/20)

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脆弱性対策関連の運用&Tips

セキュリティツール開発が訴訟リスクに? Metaの242億円勝訴で走る“激震”

イスラエルの企業がMeta Platformsに敗訴し、約242億円の損害賠償金の支払い命令を受けた。この評決は、サイバーセキュリティやソフトウェア業界の従来の考え方を一変させる可能性がある。その内容とは。

(2025/5/20)

“当たり前”の不備が大問題 企業によくある5つの脆弱性と対策

事業を脅かしかねないサイバー攻撃は、どの企業にも存在し得る脆弱性が引き金になる場合がある。放置すべきではない代表的な5つの脆弱性と、その具体的な修正法を解説する。

(2025/5/16)

「ITアウトソーシングなら安全」は幻想? 法律事務所がはまった“わな”とは

IT運用のアウトソーシングはさまざまなリスクを招きかねない。英国の法律事務所もそのわなにはまってしまった。同社の失敗から何を学ぶべきか。

(2025/3/19)

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脆弱性対策関連の用語解説

バグ修正の成否を決めるのは「連絡窓口の一本化」 それはなぜなのか

重大なバグは発生したら、IT部門に問い合わせが殺到する。それでも冷静に動いて適切に情報発信するための手法がある。緊急時におけるコミュニケーションのノウハウを紹介する。

(2022/4/28)

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脆弱性対策に必要なプロセスとは

 攻撃者は脆弱性を

  • ソフトウェアに外部から不正な文字列を入力して侵害する「インジェクション攻撃」
  • バッファ(データを一時的に格納するメモリ領域)に許容量を超えるデータを書き込み、侵入の糸口にする「バッファオーバーフロー攻撃」

といった、さまざまなサイバー攻撃手法に悪用する。脆弱性が発覚してから、その脆弱性が解消されるまでの期間を狙うサイバー攻撃を「ゼロデイ攻撃」と呼ぶ。

脆弱性対策の5つのプロセス

 脆弱性対策は、ハードウェアやソフトウェアの攻撃経路になり得る欠陥を特定し、分析、対処する手法で構成される。脆弱性対策は、一般的には以下のプロセスを踏む。

  • 1.脆弱性の診断
    • ネットワークの定期的なスキャンや、ファイアウォールのログの記録、実際にシステムに侵入して脆弱性を確認するペネトレーションテスト、脆弱性スキャンなどを実施する。脆弱性の診断(脆弱性評価)やその自動化には、脆弱性スキャンツールを利用できる。業務プロセスに潜む脆弱性を特定するには、ペネトレーションテストが必要だ。このような脆弱性はネットワークやシステムをスキャンしても検出できるとは限らない。
  • 2.脅威の特定
    • 脆弱性の診断結果に基づき、セキュリティの脆弱性を悪用する可能性があるマルウェアや攻撃手法といった脅威を特定する。
  • 3.リスクの検証
    • 特定した脆弱性がサーバやアプリケーション、ネットワークなどのシステムで悪用される可能性があるかどうかを調べ、脆弱性の深刻度と企業にもたらすリスクを分析する。
  • 4.リスクへの対処
    • セキュリティパッチが利用できるようになるまでの期間で、脆弱性が悪用されるのを防ぐ「リスク軽減」の方法を見つけ出す。システムの重要度が高くない場合には、影響のある部分をオフラインにするといった「リスク回避」の策を実行したり、何も対処しない「リスク受容」の判断をしたりする。
  • 5.セキュリティパッチ適用
    • 脆弱性が発覚したハードウェアやソフトウェアのベンダーからセキュリティパッチを入手して適用する。セキュリティパッチ管理ツールを使用すれば、セキュリティパッチの適用を自動化できる。このプロセスではセキュリティパッチのテストも実施する。

なぜ脆弱性対策が必要なのか

 攻撃者は、組織のITシステムの脆弱性を常に探している。悪用可能な脆弱性を発見すると、システムへの侵入や企業データへのアクセス、業務運営の妨害を試みる。さまざまなシステムやアプリケーションを保有する大規模な組織では、一つの脆弱性が組織全体への攻撃のきっかけとなる可能性がある。

 医療機関や金融機関は、法律や条例で脆弱性対策が求められる場合がある。HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、金融機関の情報管理やプライバシー保護の要件を定めるGLBA(グラム・リーチ・ブライリー法)、クレジットカード業界のセキュリティ基準のPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)といった法律や業界規制は、脆弱性対策の実践を義務付けている。国際標準化機構が策定した情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001」も、脆弱性対策を要求している。

脆弱性対策の仕組み

 上述のように脆弱性対策は単一のタスクではなく、ITセキュリティチームが継続的に実施する複数のステップからなるプロセスだ。未適用のパッチや設定ミス、保護されていない機密データなどの問題を調査する脆弱性診断に加えて、実際に攻撃が起こった時のリスクを測定するために、システムの脆弱性を意図的に悪用して検証するペネトレーションテストも含まれる。

 脆弱性スキャンとペネトレーションテストの結果を用いて、潜在的な脅威を評価するため脆弱性評価を実施する。特定された脆弱性に関する情報は脅威インテリジェンスソフトウェアに取り込まれ、攻撃を受けた場合の影響の大きさや脆弱性の悪用の可能性に基づいてスコア化される。例えばシステムでリモートコードの実行を可能にする未適用のパッチは、高リスクと判断される可能性が高い。

 セキュリティチームは、脆弱性の性質に合わせてさまざまな対策を講じ、検出された問題の優先順位付けと修復を実行する。組織のセキュリティチームは、脆弱性が発見されたシステムを担当するIT運用チームに対して、修復を依頼する。IT運用チームが修正パッチを適用した後に、セキュリティチームは脆弱性が適切に修正されたことを確認するためのスキャンを実行する。

 脆弱性対策のプロセス全体を通じて、脆弱性の発見や修復の状況は追跡できるようにする。こうすることで組織のセキュリティリーダーと経営幹部は、セキュリティリスクの低減とコンプライアンスのための取り組みをリアルタイムで把握できる。

脆弱性対策で発生しがちな問題とは

 脆弱性対策のプロセスは、必ずしも順調に進むとは限らない。組織が対策を実施するときに直面する一般的な課題を以下に挙げる。

  • 資産目録の欠如
    • 組織内で利用する全てのITシステムを把握できていない場合、確実な脆弱性スキャンが困難になる。
  • リソースの優先順位付け
    • スキャンの結果、システムの脆弱性が数千個規模で発見される場合がある。どの脆弱性を最初に修正すべきかの判断には、セキュリティ担当者のスキルや優先順位付けのプロセスが必要となる。
  • チーム間の連携
    • 脆弱性の確実な修復にはセキュリティチームとITチームの協力が必要だ。プロセスの不備やコミュニケーション不足がその妨げとなることがある。
  • 手作業への依存
    • 脆弱性の発見や修復で手作業のタスクが生じると、属人化や問題解決の遅延を招く。
  • ツールの乱立
    • 連携されていない複数の脆弱性対策ツールが組織内で利用されると、業務プロセスが複雑化したり、セキュリティリスクの可視性が低下したりする可能性がある。
  • 脆弱性の把握の困難さ
    • 特に大規模組織では、複雑なシステム構成により、組織全体の脆弱性を一元的に把握しづらくなる。
  • 攻撃対象の継続的な変化
    • 新たな脆弱性が継続的に発生するため、組織におけるシステムの監視と管理のプロセスはますます複雑化する。